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横山秀夫<出口のない海><ネタバレ・あらすじ> 人間魚雷回天~死と向き合う精神状態


戦争については詳しく書かれていません。

甲子園で優勝投手だった並木が海軍となり人間魚雷回天に搭乗する事を選んだ。

いつ突撃命令がくるか分からない状態で必死に生き少しづつ死と向き合っていく精神状態が書かれています。 

今を生きている我々にはやはり気持ちが分かるはずもないですが永遠のゼロ同様涙が出てきます。

(市川海老蔵・伊勢谷友介・上野樹里など)映画化もされてますね。

 

ここから先、完全ネタバレですのでご注意ください

 

出口のない海 (講談社文庫)

 

< ネタバレ あらすじ > 

  出口のない海

 

並木は甲子園の優勝投手で幾つもの有力大学からオファーがあったが万年最下位であるA大学の自由な校風に惹かれ大学を選んだ。しかし肘の故障でおもうように投げれなく甲子園の時に並木のボールを受けていた剛原力は2年連続でA大学受験に失敗し高等補習校として通っていた。
あの時のような球のキレもなく何より球が遅すぎるから諦めろと言われた並木は本気で魔球をつくりだそうと努力していた。

{日本が真珠湾攻撃開始}
何かあると喫茶店「ボレロ」に集合するのがA大学の伝統だった。
日本が負けるはずがない、油で戦争するなんて馬鹿げている、など、
野球部の仲間達の討論で盛り上がってる中、何かとすぐ突っかかってくる競走部の北勝也が現れ魔球の事をチクチク言われた。
ロンドン五輪を本気で目指していたが戦争のあおりをうけ目標を失った北は海軍となるのだった。

{日本海軍の誇る航空艦隊が米海軍の機動部隊にミッドウェー海域で大敗}

戦局は逆転する。
ガダルカナル島の激戦に敗れ撤退開始した時期に大学リーグ解散も決まった。
剛原は自分より年下の人達が戦死している事に我慢できず陸軍の幹部候補生に志願した。

{戦局は悪化の一途を辿った}
南方の島々で苦難を強いられ日を追って日本兵のしかばねが陸に海に増え続けていた。
「学徒出陣」生徒達は学業半ばにして軍隊に送り込まれる事になり野球部の仲間達は否応なく剛原や北の後を追う事になる。
野球部の仲間がバラバラになる前にA大学壮行試合をやろうとマネージャー小畑から声がかかり集まった。
そこで並木はボコボコ打たれ、あれが魔球か?笑い声があふれた。。

並木は海軍となり特殊兵器に乗る事に志願した。特殊兵器とは何か知らずに。。
海兵団や対潜学校より酷く毎日のように鉄拳の嵐が吹き荒れそこで回天と対面した。
黒くて長い胴体、前の方が太く後ろ半分はやや細い、大きな魚に小さな魚が突っ込んだかのような格好だ。
脱出機能はない事を聞かされ並木は絶望した。
自分の命と引き換えにして敵艦に突っ込む。。。。。人生とは長いものと思っていた並木。

{フィリピンのレイテ沖海戦で日本海軍の艦隊は惨敗し大和とならぶ大鑑武蔵まで失う}
後がない事から神風特攻隊も出陣、南方はすべて全滅し東京は爆撃による被害がすさまじかった。
この時、回天隊となった北に再会した並木。
ロンドン五輪が中止になり自棄になって志願したのかと北に問いただしたら、
己の弱さを正当化するために同類にしたてあげるなと言われ階級が並木より上だった北に殴られる。
自棄にならずして死ねるのか・・・・運命と心静かに死ねるのか・・並木は天を仰いだ。
はじめての搭乗訓練で何にも出来なかった並木は北の「演技しているのか?」の言葉に「生」を意識してしまい己の弱さを知る

兵舎にいる犬(カイテン)の犬小屋変わりにしている木箱をキャッチャーのミット変わりとして、
自分の気持ちと毎晩たたかいながら魔球開発に取り組んでいる並木。。

近く出撃する回天搭乗員の清々しい表情をみて胸が熱くなった。
自分も出撃隊員の仲間だ、守りたい人もいる、見事に自分も散ってやろうと酒を一気に呷った。
死に対する感覚が麻痺していた並木は訓練に没頭し誰もが認める回天隊となっていった。

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 {出撃命令}
空母や戦艦に出くわせばそれにこした事はないがサイパンに補給にくる大型油槽船を狙えとの事。隊長は北だった。


休暇をとり帰省した並木は「ボレロ」に行きそこで小畑が戦死した事を知った。
特殊兵器に志願しなかった小畑はルソン島に向かう船に米軍の魚雷をくらい浸水し溺死したそうだ。。

マネージャーの小畑は並木の魔球が完成するのを楽しみにしていた・・・・生まれて初めて声を上げて泣いた。

久しぶりに家族と過ごした並木は出発の日、父親だけに本当の事を話し別れを告げた。見送りにきてくれた家族、ごったかえす東京の駅のホームで美奈子を見付け思わず名前を呼んでしまった。

美奈子とは大学の時から仲良く軍隊になっても手紙のやりとりをしていた彼女みたいな存在であるがもう自分は死ぬため連絡をしなかった。

船に乗っている事だけ伝え汽車が動き出す・・二度と帰れぬ故郷に背を向け独り忍び泣いた。


心の平静を保てる場所はここしにしかなかった。
訓練中の自己で死ぬもの、ガス漏れ、燃料に点火しない冷走、気筒爆破、故障原因や不具合を数えたらキリがない状態だった。
並木は「己の戦争」だと考えた。
戦争が始まってから一回も敵兵も敵艦も見た事がないからだ。
日本を守るため、愛する人を守るため、小畑にあってほめてやろう・・・・
すべて本当の気持ちだったが死ぬ理由がはっきりとしなかった。


光基地の総員が見守る中、潜水艦は動き出した。
海も心も静かだ、、
仲間や家族、彼女と別れ、そしてたった1人回天に乗り1人で死ぬんだ。
美しい海、母なる海、そして出口のない海でもあった。
米軍が沖縄に上陸したことによりウルシー島と沖縄を結ぶ敵の海上補給路で待ち伏せし攻撃することになった。
しかし爆雷の雨が潜水艦を襲い艦が傾き右に左に振られ敵の追跡を振り切れないでいた。
もはやこれまでと思った時、艦長の一か八かの賭け一気に浮き上がる作戦により助かった。
母艦の損傷は軽かったが2つの回天が損傷、使用不能となり乗るはずだった搭乗員は悔し涙を流した。


爆雷もなく静かな艦内が一週間続いたが、
{回天戦用意・搭乗員・乗艦!!!}スピーカーから聞こえた!!!!

乗りこみ、ハッチを仲間が閉めた。

己の戦争が終わると思ったが一基が出撃しただけで後はすべて故障で修理不可能だった。。

最後に出撃命令がきた並木だったが冷走により燃料に点火しなかったのだ。。


帰投命令を受け光基地に戻った並木は人と会うのが恐ろしくひっそりと過ごした。
陸地に居場所がないと感じ取った並木はすぐに次回出撃隊員に志願する。

 
回天は救国の兵器でもなんでもない、日本は負ける。

太平洋のど真ん中で爆雷で故障した回天を見て確信したのだった。

「回天を伝えるために死ぬ」・・・これが並木の出した己の戦争の決着だった!!!

人間魚雷という兵器がこの世に存在した事を伝える


潜水艦から発進した並木の訓練艇が行方不明になった


沖縄は敗北し広島・長崎は原爆で壊滅、そして終戦


だれも戦争を振り返らなくなった頃、
並木の訓練艇、回天が波間に浮かびあがりその日に回収され、
内部には海水の流入はなかったが変わり果てた並木の亡骸と足元に野球ボールが落ちていた。


「魔球が完成した」と書かれたボールだった。終

 

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