「危険なビーナス」ネタバレあらすじと結末(東野圭吾)妻夫木聡主演でドラマ化

作品情報/危険なビーナス

人気作家・東野圭吾のミステリー小説。
1958年大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍らミステリーを執筆。1985年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞してから専業作家になる。1999年「秘密」で第52回日本推理作家協会賞、2006年「容疑者χの献身」で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で第7回中央公論文芸賞、2013年「夢幻花」で第26回柴田錬三郎賞、2014年「祈りの幕が下りる時」で第48回吉川英治文学賞を受賞。

動物病院で働く惚れっぽい伯郎の前に弟の妻・楓が訪ねてきます。

弟が結婚していたのも知らなかった伯郎だが弟が行方不明だと聞かされ更に驚きます。

遺産目当ての事件ではないかと楓は疑い、資産家である親族会に顔を出すから一緒に来てくれと伯郎は頼まれ協力するが徐々に彼女に惹かれていってしまいます。

事件を追ううちに不可解な出来事で亡くなった母親の真相も明らかに・・・ 

 

キャスト・妻夫木聡主演でドラマ化

手島伯朗(妻夫木聡)

いきなり異父弟の妻と名乗る美女が現われ失踪したから行方を一緒に追って欲しいと頼まれる。美女をほっとけないので協力を買って出るが徐々に惹かれていくと共に縁を切った矢神家と関わる事に。

矢神楓(吉高由里子)

伯郎の義父弟・明人の妻。30億の相続権を持つ夫が失踪し矢神家を疑い伯郎に協力を願う

矢神勇磨(ディーン・フジオカ)

矢神家の養子で若手実業家で伯郎を見下す子供の時から嫌な性格は変わらない

矢神明人(染谷将太)

伯朗の異父弟。母親が矢神家の御曹司と再婚して誕生。総額30億とも言われる遺産の相続権を持つが謎の失踪。

蔭山元美(中村アン)

伯朗が院長代理を務める動物病院の看護師。

矢神貞子(斉藤由貴)

伯朗と明人の母親。伯朗の実父の死後、矢神家の御曹司・康治と再婚。16年前事故死と言われているが・・・。

矢神康治(栗田芳宏)

貞子の再婚相手。矢神総合病院院長、末期のガンで昏睡状態

兼岩憲三(小日向文世)

貞子の妹・順子(坂井真紀)の夫で数学学者。

 

 

ネタバレあらすじ/危険なビーナス

 

動物病院院長代理の手島伯郎は矢神楓と名乗る女性から電話があります。

楓は弟の明人の妻であるらしく結婚していたのかと初めて知るが弟が行方不明だと聞かされ驚きます。

複雑な家庭環境

伯郎は幼い頃に画家だった父親を脳腫瘍で亡くし、母親の禎子が総合病院の御曹司である矢神康治と再婚し明人が生まれたので弟とは父親が違います。

康治の両親が暮らす豪邸に暮らすことになるのだが祖父の康之介が金持ちであるため全員が媚びている環境でした。

豪邸の中で出会う勇磨から「弟が生まれ後継ぎが出来たから伯郎やお前の母親の役目も終わったな」などと言われていました。しかし明人は徹底して後継ぎとして教育されていたが別の道に行きました。

母親の禎子が事故で亡くなった時に伯郎は居心地が悪いので相続権などいらないからと告げ旧姓の手島を選びました。

 

サヴァン症候群

明人は置き手紙を残していたのでだったら心配ないと伝えるが義父の康治が癌で入院しているらしく付き添いを楓から頼まれます。IT関係の仕事をしている明人が急遽シアトルから帰国したのはそのためでもありました。

母親の七回忌の時から10年会っていなかったので断ろうとしたが「大学まで行かせてもらったのに?」と聞かれ渋々受け入れます。

意識朦朧とする康治は「明人に……背負う必要はないと…」とつぶやくが伯郎には意味がさっぱり分かりませんでした。

康治はサヴァン症候群についての研究をしていて遺品として残された一枚の絵は伯郎の父・一清が描いたものでした。

父親は健常者なはずだと思うが未完成の幾何学模様のような絵を思い出します。静物画を得意としていた一清は脳腫瘍を発症してから幾何学模様のような絵を描き出したので伯郎はその時5歳だったが何となく覚えていました。

 

遺産目当てかの犯行か

これから親族で集まり遺産問題について話し合うから明人の代理として同席してくれと楓に頼まれた伯郎は断るが、美人の楓に頼まれたこと、また母親の遺品もあると言われ引き受けます。

・康之介は2回結婚しており養子も2人いる。

・佐代は康之介の愛人で養子、その子供が憎たらしい勇磨。

・長弟・研究者の矢神牧雄。

・法定相続人は実子、養子合わせて6人。

・明人に惹かれる姪の支倉百合華。

亡くなった康之介の遺言状には個人資産はすべて明人に譲ると書かれているので楓は妻としてお受けすると皆に伝えます。

 

母親の不可解な最期

伯郎が大学生の頃に母親は亡くなりました。

荷物の整理をしてくると実家に出かけた禎子が戻らないので様子を見に行ったところ風呂場の湯船に浸かっている状態で発見されたのです。

湯船の中で足を滑らせ頭を強打し、風呂で溺死した事故だと警察に判断されたが当時明人は「母親がドアチェーンをしないのはおかしい」とずっと言っていた事を伯郎は思いだします。

明人の家に実家の鍵があったので楓と一緒に行ってみると家はそのままになっており明人が来ていたと管理人から知らされます。

もしかして、母親は事故死ではなく殺人で明人は証拠として残していたのではと推理します。また幾何学模様のような絵を見たいと思い伯母の順子と数学学者の叔父・憲三の家を訪ねます。

連絡していたこともあり順子は父親が描いた絵を用意してくれていたが幾何学模様のような絵はそのなかにありませんでした。

 

疑惑

憎たらしい性格の勇磨の母親・佐代(康之介の愛人で養子)は母親と同じ高校で同級生でした。父親が意識朦朧としているときクラブのホステスをしていた佐代が康之助に頼み康治を紹介したと知ります。

当時の康治は脳に電気を流すことで痛みを和らげたり精神的な疾患を改善する研究をしていたので伯郎は人体実験を疑います。

また禎子が「康治から貴重な物を貰ったから明人が相続人にならなくてもいい」と発言していたと佐代から聞き病院に行くが康治は「明人…恨むな」とまた意味不明な事を言います。

伯郎は康治が持っていた絵と同じものをネットで見付け投稿者に会いに行くと脳に損傷を受けてから急に描き始めたことを知るが後天性サヴァン症候群の研究のため康治が訪ねてきた事を知ります。・・・やはり実験だ!!

”意図的にサヴァン症候群を引き起こすことが可能であり生まれつきの場合は知的障害を抱えるが後天的ならば回避できる。

人為的に天才脳を作り出す事ができる画期的な発明だが康治は発表していない”

 

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結末/危険なビーナス

康治の研究資料は禎子の実家にあると予想した伯郎は楓を連れて行こうとするが彼女から全てを聞いた大嫌いな勇磨が接近してきます。

明人失踪の件を黙っている条件で研究をビジネスに使おうとやってきたのです。ばらされても嫌なので仕方なく勇磨も連れて行くと屋根裏から研究資料を発見します。

帰り道、伯郎は前にも屋根裏を見たはずだと思いだし1人で戻ると叔父の兼岩憲三がいました。

”一清が最後に描いた絵「寛恕な綱」はウラムの螺旋とは違い曖昧なところがなく完璧な法則性を持っていた”

数学学者の憲三は一清が亡くなるときに絵は処分されてしまったと思っていたが明人が禎子のアルバムから剥がしてきた「憤怒の網」の写真を見てまだ存在するのだと知りました。

そして家に侵入するが管理人からたまに家の電気がついていると知らされた禎子が待ち構えておりどうしても絵が欲しくて争っているうちに頭を強く打って気を失ったのです。動揺した憲三は事故に見せかけるために風呂に運んだのでした。

 

解明

罪を告白した憲三はガソリンを巻いて火を放ちました。楓はすぐに憲三を救出し出て行くが伯郎はむかし空気銃で襖をボロボロにしたのに綺麗になっている事に気付きます。

急いで戻り襖を調べると中から絵が出てきました。焼けた天井が崩れかけたとき「絵なんかほっといて逃げよう」と言われ振り向くと弟の明人がいました。

憲三は康治の元に憤怒の網があると予想し闇サイトを利用し明人を誘拐して監禁するよう頼んでいました。康治が亡くなれば遺品として伯郎を通して回ってくると思ったからです。

しかし実はサイバー犯罪対策課が動きだしており明人は母親の件と何か関係があるのではないかと思い捜査に協力するために姿を消していたのです。

楓は妻ではなく女性捜査官だったのです。

明人は「不幸な天才より幸せな凡人を増やしたい」と康治の遺言を読み研究報告書は保管しておく事に決めました。

「背負わなくていい」とは絵のことであり「恨むな」とはウラムのことだったのです。

前から話しを頂いていた伯郎は院長の池田の養子になり動物病院を引き継ぎます。そこにミニブタを飼うことにした楓が「これから長い付き合いになると思うのでよろしくね」とやってきました。