作品情報とキャストの紹介
数多くの作品が映画化されている直木賞を受賞した三浦しをんのベストセラー小説を大森立嗣が映画化した「まほろ駅前多田便利軒」の続編となります。
キャッチコピーは「俺たちパパになってもいいですか」、「バツイチ二人、その愛を命懸けで守れ便利屋」、「子守に恋にバスジャック」、「便利屋コンビに危機迫る」などが上げられW主演は前作と同じ、瑛太と松田龍平が演じる。
バツイチ30男同士の共同生活がマンネリ化してきた頃、多田は行天の5歳になる娘の子守役を行天に内緒で引き受けるがすぐにばれてしまう。
ネタバレあらすじ/まほろ駅前狂騒曲
まほろ駅前で便利屋を営む多田啓介が中学の同級生・行天晴彦を居候させてから三年。
中学の時に不注意で行天の小指をちょんぎってしまった多田は追い目を感じており偶然再会した行天を一晩泊めるつもりがずるずると経ってしまったのです。
息子さんに変わりここ一年毎週曽根田さんのお見舞いに来ている二人は病院から報せを受け駆け付けます。「つい先ほど・・」と聞かされ悲しむ多田だが「つい先ほど、ゼリーを食べて寝ちゃいました」と言われます。
看護婦さんは息子さんに連絡しても全然お見舞いに来てくれないからすぐ来てくれる便利屋さんに連絡を入れたらしく、曾根田さんが先週危険な状態だったのは間違いないようでした。
バスの間引き運転の証拠を掴むよう何年も依頼してきた岡から終わりにしようと告げられます。生き甲斐を失くした老人が急に病気になったりする事もあり多田は心配します。
新年早々、行天の元妻である三峯凪子から連絡があり娘・ハルを預かってほしいと依頼があります。ハルは行天が精子を提供して生まれた子だが多田は生後間もない赤ちゃんを亡くしているためどうやって世話をしていいか不安になります。
また、それよりもハルと会った事もない子供嫌いな行天に何て言えばいいのか頭を悩ませます。
天の声教団
まほろ駅前でHHFAの小林代表が無農薬の野菜が大事だと街宣し売っていました。
HHFAのビラを配る少年の中には三年前に母親から依頼され塾の送迎をしていた少年・由良もいました。
まほろ市内の学校給食に納入したいと考える小林代表はヤクザの岡山組に口利きを頼んでいました。市民の安全を求める団体がヤクザと手を組むのは変な話だと思う若頭の飯島はHHFAは表向きは健康食品の市民団体だが裏では会員にボランティアで野菜を作らせぼろ儲けしている噂を知ります。
HHFAの中心のメンバーは十数年前にまほろ市内に本部があった新興宗教「天の声教団」の残党であり組長の意に反してでもそんな奴等と手を組みたくない飯島はまほろ市の裏社会でヤクを捌く星にHHFAが農薬を使ってる証拠を掴んでほしいとお願いします。
ハルちゃんを預かる日が迫り多田は何回も正直に話そうとするが結局真実を伝える事ができず行天に「俺の姪を預かることになった」と伝えます。
子供嫌いな俺が殴り殺したらどうするんだと言う行天は「世話になったね」と出て行こうとします。多田は「俺だって怖いよ。でも愛せるようになれば楽になるから、子守手伝うからやってみよう」と説得しました。
そんな時、星が訪ねてきてHHFAが農薬を使ってる証拠を写真に撮り新聞社に流してくれと依頼されます。断る多田だが耳元で「お前に姪はいないはずだが・・・」と言われ「やります」と返事しました。
多田と行天は潜入し農薬をまく決定的瞬間を写真に撮りました。多田は星の部下にカメラを渡し金を受け取るが早坂刑事に目撃されていました。多田はとぼけるが「行天さんは前に”天の声教団”にいたんですよ」と知らされます。
行天の母親はHHFAの前身「天の声教団」の信者であり行天と小林代表は昔仲良かったのです。
その頃、星は若頭の飯島が組長とばして世代交代を狙っている事を組長に教えヤクの卸値を5%引きにする事に成功します。
5歳になるハルちゃんを預かる多田だったが落ち着きがなく話しかけながら部屋中をウロウロします。
帰ってきた行天にハルが「私の名前は三峯ハルだよ」と言ってしまったためあっさりとバレてしまいます。
ハルと会わせるために騙したのだと激怒する行天は出て行こうとするが多田は「行天、逃げるなよ」と声を掛け、ハルは「行天って変な名前~」と言いました。
多田はカレーの材料を買いに行くから留守番を頼むと行天は「俺が行く」と手を出します。多田は握手するが「金だよ」と言われ仕方なく渡し「お前が帰って来ないと俺とハルが飢え死にだからな!」と訴えました。
子守
ハルは「お母さんに会いたい」と泣くようになり距離を置く行天は無視して部屋を出て行きます。
寂しくて泣きじゃくるハルを多田はぎこちないながらも優しく抱き締めました。
びしょ濡れになって戻ってきた行天を見て多田はハルにタオルを渡して持って行くよう頼みました。無視してタバコを吸う行天に「おまえふざけんなよ!」と多田は怒ります。
ハルが寝たあと多田は「親だから子供を愛せと言ってるわけではない。お前がハルと向き合えばいいと思ってる」と声を掛けます。
そして母親が「天の声教団」の信者であった事を早坂刑事から聞いたと伝えると行天は「風邪をひいても病院にもいけないし薬も飲んではいけない。少しでも悪い事をすると神様の声が聞こえなくなるとして痛めつけられた」と言いました。
多田は「お前と過ごしてきたから分かる。お前は自分がされて嫌だった事を小さな子供にする奴じゃない・絶対に!」と伝え「デートの約束があるから一晩ハルの子守を頼む」とお願いします。
「痣だけになるかもしれない」と言われた多田は「ハルに何かあれば俺は死ぬ事にする」と伝え出て行きます。
多田は「キッチンまほろ」の未亡人オーナー柏木亜沙子と一夜を共にする事になって帰ると、行天とハルが一緒に朝食を摂っていました。ハルは行天が教えてくれた歌「あなたが噛んだ~小指が痛い」と歌っていました。
ハルのパパ代わりが様になってきたころ由良から電話があります。
ビラ配りを手伝わされている由良は「嫌だからさらってほしい」とお願いしてきました。
その日は息子の命日なため多田は行天とハルに任せます。スーツを着た行天はハルを連れて塾の先生のふりをしてHHFAの農作業場を訪ねます。中学受験の大事な時に農作業してる場合ではないと由良を連れて行くが浸入して写真を撮った奴だとばれハルを抱っこして逃げます。
バスに乗り込むと岡を含めた老人たちがバスジャックし間引き運転による抗議デモをし始めました。後部座席に座っていたヤクの売人シンちゃんが「どうなってるんだよこれ~」と情けない声を出します。
行天はシンちゃんから携帯を借りて「由良の件はうまくいったが乗ったバスがハイジャックされた」と笑いながら報告します。
岡率いる老人たちは「間引き運転反対の垂れ幕だけでなくもっと世間に広めた方がいい」と話しあいます。
その時、老人たちの話を聞いて焦っていたシンちゃんはバスの窓から逃げ出すがバックを忘れてしまいました。そのバックは由良が手にすると中には拳銃が入っていました。
結末 まほろ駅前狂騒曲
バスには小林代表が乗っており「由良、今日は労働の日なのに何やってるの・・・行天久しぶりだね。むかし教団で一緒だったじゃないか」と言います。行天はそこではじめて昔一緒に遊んだ小林だと気付きます。
小林は由良に「こっちに来い」と怒鳴りハルを見て「神様の子にしようか」と言いました。行天は小林を殴り付けると殴り合いの喧嘩となります。
小林はナイフを取り出し指を切り付けるが急ブレーキのせいで由良が拳銃を発砲してしまい行天は撃たれてしまいます。
多田が駆け付けると警察がバスを包囲し銃を構えていました。
ナイフを手にして近付く小林に由良は銃口を向けるが行天が銃を取り上げます。
本当は神様の子ではないと気付いていた小林だが「信じる者は救われる」と思い込み精神を守っていたのです。ハルと由良を守る行天を見て小林は「生きていれば何度でもやり直せる」と思い応急処置をしたあとバスを降ります。
怪我人がいるから医者を呼んでくれと警察に訴え行天に近寄ろうとするが拳銃を手にバスジャックしたのだと勘違いされた小林は撃たれます。
泣き叫ぶハルを抱きしめた多田は行天の指がちぎれているのを見てすぐに「医者を呼べ」と叫びました。
岡と老人たちは処分保留のまま釈放され一命を取り留めた小林はHHFAを解散しました。
予定よりも早く凪子がアメリカから戻ってきました。ハルは凪子を「お母さん」と呼びパートナー(凪子は同性愛者)を「ママ」と呼んでいました。
みんなで行天のお見舞いに行くが動物的感が働く行天は隠れて出てきませんでした。
お別れの時、ハルに「お父さん、一緒に行こう」と言われた多田は抱き締め「いつでも遊びにおいで、行天も俺も待ってるから」と伝えました。
病院の屋上で曽根田さんが「これが最後の春になるかも。あの世ってあるのかしらね」と疑問を口にすると行天は「あの世なんてない。でも俺は死ぬまで曽根田さんを忘れない」と言いました。曽根田は納得したように「それはいいねぇ~」と笑いました。
この後、行天は姿を消すが、ふらっと「タバコある」と戻ってきました。すべて完治した行天は当たり前のように助手席に乗り込み多田は車を走らせます。