むかし僕が死んだ家(東野圭吾)ネタバレあらすじ/父親の遺品から謎の地図と鍵が

 

作品情報

東野圭吾による長編ミステリー

幼い頃の思い出が全然ない沙也加は父親の遺品にあった謎の地図や鍵が気になり直感的にこれをたどれば原因が分かるのではないかと思います。

7年前に恋人だった沙也加から連絡を受けた私は彼女の記憶を取り戻すために山の中にひっそり建つ家に家に到着するが入り口のドアは開かないようになっており地下から入れることに気付く。

徐々に手掛かりを目にするたびに彼女の記憶が断片的によみがえるが私はとんでもないものを発見し彼女が何者なのかを知ってしまう。

二人を待ち受ける真実とは・・・

 

ネタバレあらすじ/むかし僕が死んだ家

「私」と 「倉橋紗也加」はかつて恋人関係であり7年後の学校の同窓会で再会すると紗也加には結婚していて娘がいました。

たった1人の肉親である父親が亡くなるが遺品の中に地図とライオン型の鍵が見付かり気になるので一緒に行って欲しいと私は頼まれます。

●私

実の両親じゃないため、息子を演じながら生きてきた。

●紗也加

幼い頃の記憶がない。手首にリストカットの痕がある。夫は出張中で娘は夫の実家にいる。子供に憎しみを持って叩いたりしてしまうことに悩む

 

 「松原湖駅」-「三本松」ー「石碑」-「ライオン」

地図に記されている通り松原湖へ車を走らせるとやがて森が現れ松の木が三本立っており車で入るとライオンの絵が描かれている小さな道標が立っていました。

地下室に通じている鍵で入り玄関のドアを開けようとするが固定されていて開かないようになっていました。

この家は23年間放置されており時計はすべて同じ時刻、電気やガスは止まっていました。

 

子供部屋から「小学6年生、御厨祐介」日記を見付けます。

日記から推測される事は、チャーミーという猫と「さやか」という女の子と仲良かった事が分かります。

紗也加は自分の名前が出てきて驚くが何も思いだせません。

また祐介は「あいつ」と書く者を憎んでおり父親が死んだあと「死ねばいい」と書いてあったがその翌日に亡くなっていました。

 

御厨啓一郎が中野教授宛てに書いた手紙が見付かります。

この手紙と日記に書かれている事を整理するとこの家には三人の家族が住んでいる事が分かります。

●御厨夫妻・・・法律家。祐介を同じ道に進めたいと思っている

●御厨夫妻の長男・・教師。結婚するが妻は病死。ギャンブルで借金を抱え実家に戻っている

●倉橋夫妻・・運転手とお手伝いさんが結婚して生まれたのが沙也加

 

なんでこんな不便な場所に住んでいたのか?

私が考えていると紗也加の悲鳴が聞こえました。黒い花瓶や緑のカーテンがある暗い部屋にいた事を思い出したそうですがそんな部屋は何処にもありませんでした。

 

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長男が最初に結婚した時に生まれたのが佑介であり祖父である啓一郎が引き取っていたことが判明します。

幼い頃から祖父母に育てられてきたから祖父を「おとうさん」と呼ぶようになったのだろうと「私」なら理解できる。

佑介の日記から長男の事をダメな奴だと叩き込まれ佑介から長男を遠ざけようとしているのが分かります。長男は実家に戻ってくるが子供から嫌われ軽蔑され虐待をするようになったのだろうか。

 

天体観測の記録からここからでは方角的に不可能だと分かり、また見付かった花瓶などは焼けたような跡があることから火事によって家は燃え建て替えられたのだと気付きます。

そして佑介はこの火事で亡くなってしまったのではないだろうか・・

この家はお墓で紗也加の父親は墓参りをしに来ていたのだと分かります。

 

結末

「佑介、安らかに眠れ」と書かれている十字架を見付け地下室にも同じような十字架がある事に気付いた時に私は嫌な予感が的中してしまいました。

「さやか。安らかに眠れ」

紗也加は金庫を開けると警察からの手紙が入っており、無理心中をはかって佑介と実父が死んでしまった事が分かりました。

火事のあった日、夫人の事を動物園で見掛けたという通報がありましたと最後に書かれており動物園のチケットがあった事を思い出します。

そこで紗也加は夫人と動物園にいた事、そして焼けた家跡を見ていた事を思い出しました。

 

●自分の名前は御厨久美でチャーミーと呼ばれていた

●佑兄ちゃんと呼んでいた

●父親から性的虐待を受けるたびに夜になるのが怖かった

●焼けた家を見て佑介が死んでしまった時から記憶を無くしていた

 

佑介は父親を殺そうとしたが自分も死んでしまい、そして紗也加もその火事で死んでしまったのです。

娘が記憶を亡くしているのも倉橋夫妻には幸いしチャーミーを紗也加として育てたのです。

”私も育ての親と住んでいた家を思い出し、自分もあの家で死んでいるのではないだろうかと思うのです。
子供の頃の私はあの家で死んで、迎えに来るのを待っているのではないだろうか。

離婚した彼女から葉書が届くと名前は倉橋紗也加となっていました”