作品情報キャストの紹介
ナチスの最重要戦犯アドルフ・アイヒマンの告発に執念を燃やすバウアー検事。
アドルフ・アイヒマンは、各地のユダヤ人移住局を総括する立場で手腕を高く評価されていました。
しかし「ヨーロッパにいるユダヤ人を絶滅する」と総統アドルフ・ヒトラーが決定すると強制収容所でのガス殺や銃殺を視察するよう命じられます。
これでは若い兵士たちをサディストにするだけだと抗議したが受け入れられる事はなく、親衛隊中佐に昇進したころヴィンゼー会議で絶滅政策が決定してしまいます。
各地にいるユダヤ人をポーランドの絶滅収容所へ列車輸送する最高責任者になり500万人ものユダヤ人を運びました。
ドイツが連合軍に敗戦するとアイヒマンはアメリカ軍に拘束されるが偽名を使って脱出し逃亡生活を送ったのちアルゼンチンのブエノスアイレスに潜伏していました。
この映画はそんなアイヒマンをバウアー検事がナチ残党による妨害を受けながらも追い詰めようとするストーリー。
ネタバレあらすじ
アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男
1650年フランクフルト。
ドイツは奇跡的な経済復興が進められていたがバウアー検事長はナチス戦犯アイヒマンを国内で裁くため行方を追っていました。
ナチス残党から脅迫状が送られてくる事が頻繁にあり、睡眠薬を飲むようになっていたバウアーは風呂で溺れてしまい自殺未遂した噂を立てられます。
病院から帰宅したバウアーは戦犯捜査ファイルが無くなっている事に気付きます。ナチス残党の資料も盗まれた事があり検察官を呼び寄せたバウアーは「戦後12年何も進展がないのは職場が敵地だからか!」と訴えます。
ある日、大量虐殺者アイヒマンが偽名を使いアルゼンチンのブエノスアイレスに潜伏していると手紙が届きます。
情報提供者ヘルマンの娘はアイヒマンの長男と付き合っていました。
ドイツの法廷で裁きたいと願うバウアーだが連邦刑事局も連邦情報局もナチス残党であるため情報をモサド(諜報機関)に流します。
しかしそれは国家反逆罪になる可能性が高い危険な行動でした。
ナチス残党の妨害
イスラエル、エルサレムに到着したバウアーはモサド長官に会うとアイヒマンを見付けられなかったと知らされます。
しかし、電気使用者であるクレメントとダゴト、2つの名前が怪しいと思い調べるよう要求するとモサドは規模が小さく部下はアラブとの戦いに投入されているため「第2の証拠があれば協力する」と言われます。
この時代、同性愛を禁止する法律があったがバウアーも、そして唯一の理解者である部下アンガーマンもゲイでした。
同性愛者の売春の罪で裁判を行うことになったアンガーマンはバウアーのアドバイスを受け罰金刑で押し通そうとします。
アンガーマンはゲイを隠すため偽装結婚をしており、なんとか軽い判決にもっていく事に成功したがそれでも禁固刑となってしまいます。
アンガーマンは被告の恋人から感謝され働くクラブの名刺を渡されます。
バウアーはヘルマンの手紙を見せ「第2の証拠があればモサドは動くから 協力してほしい」と話します。
アンガーマンから信頼するフリージャーナリストを紹介されたバウアーは「東の手先なら刑務所行き、連邦情報局の人間ならアイヒマンを逃してしまう」と思い躊躇します。
第2の証拠
第2の証拠を見付ける可能性もあるためおもいきって賭けに出るがナチス残党の官房長官に筒抜けだと気付きます。
裏切られたと思うバウアーとアンガーマンだったがフリージャーナリストはオランダ系の従事記者ザッセンがアイヒマンを取材した時の録音テープを提供してくれました。
ザッセンは金銭面で苦しみテープを売っていたのです。
アイヒマンはユダヤ人を輸送しただけであり殺してないから有罪になるのはおかしいと訴えていました。
アルゼンチンでアイヒマンは何の仕事をしているのかと考えている時にメルセデスベンツに元親衛隊であるシュナイダーが働いていることを思い出します。
親衛隊だった証拠を黙っている変わりにダゴトかクレメントという名前の人がアルゼンチンで勤務しているか聞きます。
「リカルド・クレメント」
第2の証拠を得たバウアーはナチ犯罪追求センターの会長に本当のことを伝えれば筒抜けになると警戒しクエートに潜伏していると伝えました。
現に官房長官や次の検事長を狙う者たちの耳に入り脅迫状を口実に連邦情報局の職員に監視させようと企てていました。
結末
バウアーは第2の証拠を得てイスラエルに向かうが監視がついていたため官房長官たちは国家反逆罪に問えると企みます。
エルサレム法務省を訪ねアイヒマンの偽名はクレメントだと伝え拘束後に身柄の引き渡しを申請すると述べます。
そしてドイツに戻ったバウアーは記者会見を開きユダヤ人の移送を担当した親衛隊中佐アイヒマンはクエートにいると話します。
そして新聞を見て油断していたアイヒマンはモサドに拘束されるのです。
アンガーマンは被告の恋人を買ったことがありました。
同性愛は法律で禁じられているため片方が女装して誤魔化すことはよくありました。バウアーから1回目は男だと思わなかったと誤魔化せるが二度目はダメだと忠告を受けていました。
アンガーマンはまた買うつもりで会いに行ってしまうが被告を出所させるため官房長官と手を組んでおり証拠写真を撮られていました。
官房長官からバウアーを国家反逆罪で告発しないのなら刑務所に送られると脅されたアンガーマンだが自ら出頭しバウアーを守りました。
アイヒマンはイスラエルで裁かれイスラエルはドイツから兵器を買うことで話がまとまりました。
政府が引き渡しを申請しないと聞かされたバウアーはナチでありながら政府の要職につく悪人を挙げられないなら負けだと思います。
アンガーマンの件を担当する上席検事に「覚えとけ、私は自分の仕事をする。生きている限り誰にも邪魔はさせない」と睨みつけました。
1962年、エルサレムでアイヒマンの絞首刑が執行。
1963年、バウアーによるアウシュヴィッツ裁判でホロコーストに関わった収容所の幹部ロベルト・ムルカがドイツ人によって裁かれました。
アイヒマン拘束に関わったことはバウアーの死後10年経ってから明らかになりました。