「AX アックス」ネタバレあらすじと結末(伊坂幸太郎)妻を恐れる恐妻家の一流殺し屋

 

作品情報/伊坂幸太郎「AX アックス」

累計260万部を突破している伊坂幸太郎の殺し屋シリーズで「AX アックス」はフタバベストコレクションで1位を獲得し本屋大賞にもノミネートされた作品。

2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞を受賞。08年「ゴールデンスランバー」で第21回山本周五郎賞、第5回本屋大賞を受賞。「グラスホッパー」、「マリアビートル」、「重力ピエロ」、「フィッシュストーリー」、「陽気なギャングが地球を回す」など多くの作品が映画化されている。

 

殺し屋シリーズの中で、殺し屋がそれぞれ別の目的で東北新幹線に集結したマリアビートルが私は1番好きです。

 

妻を恐れる恐妻家の営業マンの正体は超一流の殺し屋「兜」。

息子の克己が生まれた時に引退しようとしたが綺麗に離れるためには大金が必要だったので今でも仕事を続けているがそんな息子も既に大学受験を控える年頃です。

ある日、仕事の依頼を受けるが相手は友達だった。兜はまよったあげく家族と友達を守るためにある選択をする。助けられた友達は数年後に克己を救って恩返しをする。

 

ネタバレあらすじ/AXアックス

 

文具メーカーの営業社員である男は裏の顔は一目置かれる超一流の殺し屋「兜」です。武器は使わず驚異的な身体能力で相手を倒すが恐妻家であり、夜遅く帰る時にはゆっくり鍵を差し込んで入るほど神経を尖らせます。

夜食を食べる時にはカップラーメンでも意外にうるさいため音もしなくて日持ちする魚肉ソーセージがベストだと思っている。前に同業者の檸檬と蜜柑に話して笑われた事があったが最近会ってないなとふと思います

(檸檬と蜜柑はマリアビートルの作品で命を落としています)

 

都内のオフィスに診療所を構える医師が仲介者

仕事の仲介者をする医師から「手術」をすすめられます。

「手術」とは「殺害」の事で「悪性」は標的の者がプロを意味します。息子の克己が生まれてから仕事を辞めたいと思うようになっていた兜だが「卒業」するには大金が必要なのです。

結局「卒業」するための金を稼ぐため手術をしており克己はもう大学受験を控える年まで成長していました。

兜は罪の意識を減らすために高額な「悪性の手術」を望むと仕事が入ります。

 

手術と進路相談

爆発物を仕掛け籠城する集団の噂があり海外で暮らしていた爆弾職人が日本に来るから空港で接触するよう言われます。

その日は克己の進路相談があり兜はタイミングを見計らい妻に「仕事が急遽入り行かれなくなった」と恐れながら伝えました。

空港の清掃員に扮した兜は爆弾職人を電気ショックで気絶させ車で運びます。その場で手術するのはフェアではないと思ったからです。

「親父が帰る時に煩いと怒り、親父が寝てる時は掃除機使うおふくろはアンフェアだ」

どんな時でもフェアでなければダメだと教えた時に克己が言った言葉だ。その時、理解者を見付け感動したが克己は母親の味方にもなるので油断大敵、何か話せば妻の耳に入る可能性が高いため何も返しませんでした。

兜は爆弾職人を起こし正々堂々と勝負して背後から締め上げ、携帯を抜き取ってから雑木林に埋めました。

急いで克己の学校に行くが爆弾職人の携帯を拾った美人教師に攻撃されます。同業者だと察知した兜は素早く背後に周り手術しました。

集団はヘリを使う噂があったため校庭をヘリポートがわりにするため美人教師は潜り込んだのではと兜は疑います。また調査をする担当者もいるはずだと医師から聞いた時に近所でルールを守らない者が最近になって引っ越した事を思い出します。

思い込みが激しいとよく注意される兜だが次のターゲットはヘリ操縦士でもあり間違いないと確信します。

 

ターゲットとされる兜

「あなたを手術しようとしている人間がいます」

男女のペアで仕事をする業界内で有名なスズメバチ。東北新幹線はやての事件(マリアビートル参照)で死んだ噂があったがオスの方は生きているらしい。

妻から「大変なの!ハチが!」と電話があり兜は急いで帰ると庭の木に大きなスズメバチの巣がありました。

家にはスズメバチの巣があり業者のスズメバチにも狙われるなんて運が悪い。しかも妻からは「危ないから自分でやらないでね。でもキャンプに行くから荷物を運ぶ時までに何とかして」と心配されているんだか分からない事を言われます。

人に対しては慣れているので怖がる事はないが妻以外で久しぶりに緊張を感じます。

相手は同業者なんだと切り替えると落ち着くことができ区役所に連絡しようとするが自力で駆除した投稿サイトを発見しこれなら出来そうだと決心します。

服を何枚も重ね着しフルフェイスのヘルメットを被り隙間ができないようガムテープでぐるぐる巻きにしました。早朝4時とはいえお盆の季節でとにかく暑い。蜂は何も悪いことはしてないが家族を守るためだと自分に言い聞かせスプレーを噴射させ駆除する事に成功しました。

その時、人影が目に入り咄嗟に同業者だと察知した兜は飛び出して男の前に立ちます。

かなり集中していたのと暑さのせいで疲れが出始め、これから同業者と格闘するのは不利だと思った兜は自分が蜂退治の服装のままだと気付きます。

「来るのは分かっていたから準備して待っていたんだ、まぁ~今日のところは帰れ」と訴えると男は後ずさりして去っていきました。

 

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決断/家族と友達を守るために

兜は裏稼業の事もあり人とは深く関わらないようにしていたが、それよりも性格的に他人の感情をうまく理解出来ないのです。

そんな兜にも奈野村という警備員の友達が出来ました。

奈野村には同じ年頃の息子がいて価値観、考え方などが一致し何より人柄がとても誠実でした。

自分をある程度さらけ出して話せる相手、何よりの理解者、そして初めての友達なのです。

しかし、

医師から「卒業」できるほどの高収入の仕事が入り受け入れるがターゲットは奈野村であり同業者だと知らされます。

1度は決心して任務を遂行しようとしたが奈野村も我が子のために卒業しようしていると知り心情を理解します。傷を負った兜だが奈野村を救って逃走します。この稼業は高収入ではあるが失敗すれば命を狙われる。

兜は自ら命を絶つ選択をしマンションから飛び降りました。

 

結末/AX アックス

10年後、結婚して子を授かっていた克己は父親がなぜ命を経ったのか疑問をずーっと抱えていました。

父親の兜に助けられた田辺という者が接触してきます。救ってくれたときに兜は診察券を落としていたのです。田辺はずっとお礼がしたいと持っていたが叶いませんでした。

克己は診察券を頼りに診療所に行くと何か自分に託したと言っていた事が分かり遺品を取り出して細かくチェックしていくと見たことがない鍵を手に入れました。

その鍵から一件のマンションに行き着きます。

そこは自分が大学生になるときに部屋探しのために訪れた事がある場所でした。自分や母親に内緒で父親は購入していたのだと知ります。

「家族の人は絶対に中に入ってはいけない、誰か入ろうとしたら必ず止めてくれ」と管理人は父親と約束していたそうです。

どうゆうことかと躊躇していると医師が銃を持って現われました。強引に連れて行かれ鍵を奪われるが医師がロックを解除してドアを開けるとボウガンの矢が突き刺さり倒れました。

そこに奈野村がやってきます。克己は自分がスーツを出しているクリーニング店の人だと気付きます。奈野村は10年前に父親に救われたから今幸せに生きている事を説明して感謝し死体の掃除を買って出ました。

 

小説/BOOK
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