作品情報・キャスト
10歳で母親を亡くした紀子の成長を支えたのは二十歳になるまで毎年届いた母親からの愛のこもった誕生日メッセージカードだった。
監督=吉田康弘
◆鈴木紀子(橋本愛)・4歳(新津ちせ)・9〜12(篠川桃音)・中学生(中村ひなの)
◆鈴木芳恵(宮崎あおい)◆鈴木宗一郎(ユースケ・サンタマリア)
◆鈴木正男(須賀健太)・幼少期(星流)・少年期(小野寺永遠)
◆立石純(中村蒼)
ネタバレあらすじ/バースデーカード
長野県諏訪市。引っ込み思案の鈴木紀子はいつも本を読んでくれる明るくて優しい母親・芳恵が大好きです。
小学生になった紀子は自分は脇役でいいと考えていたが芳恵から「物語は多々あって1つ1つに主人公が必要。自分の人生は自分が主役なんだ」と言われます。
クイズ大会でクラス代表に選ばれた紀子はやる気になり父・宗一郎から出されたクイズを弟・正男と一緒に答えて行きます。
しかし、クラス代表に選ばれなかった女子から「間違えたら恥ずかしいから一問も答えない方がいい」と言われ自身を失くします。何も答えずうつむく紀子を見て芳恵と宗一郎は心配します。
帰り道、芳恵から「あなたには未来がある。いっぱい希望がある」と言われ、やっぱり脇役でいいと思う紀子は「ママは希望通りの人生なの?。私には期待しないで」と言い放ってしまいます。
芳恵が入院したため学校が終わると紀子はお見舞いに行きます。
クイズ番組アタック25を見て正解する芳恵を見て紀子は「番組に出てよ~」ってお願いしました。
元気になったら出ようかな~って返事する芳恵だが、ママはもう治らないのだと紀子は気付きます。「もうママは帰って来ないんでしょ」と聞くと宗一郎は「ママは治るよ」と言いました。
嘘が下手な宗一郎を見て紀子と正男は泣きます。
紀子10歳の誕生日、みんなでピクニックに行くと一時退院した芳恵からハンカチと誕生日カードをプレゼントされます。芳恵は紀子と正男に、二十歳になるまで毎年誕生日カードを届けると約束しました。
亡くなった母親からの誕生日カード
芳恵が病気で亡くなるが約束通り誕生日にカードが届きました。
11歳の時にはクイズが書いてあり、紀子は庭にひまわりの種を植えます。
12歳の時にはお菓子の作り方が書いてあり紀子はクラス全員に渡して喜ばれます。
13歳の時には学校をさぼって映画を見ようと書かれていました。
14歳の時には口紅が入っていて「キスの仕方」が書かれていました。
「口の中はいつも清潔に上目使いを心掛ける」
歯を磨き過ぎてすぐに血を出すようになってしまうが紀子は口紅を塗って宗一郎を上目使いで見詰めます。
「イメージトレーニングは大事」
紀子は枕で練習するが正男見られ宗一郎にばらされてしまいます。
「素敵な相手を選ぶこと」
紀子は立石純のことが好きになります。
夏休み、浴衣を着てお祭りに行くと屋台でアルバイトする純を見付けます。
免許をとってバイクを買うためにアルバイトする純は「買ったら後ろ乗せてやる」と言いました。純がくれたタコ焼はタコの変わりにコンニャクが使われていたが紀子はとても美味しく感じます。
「時が来たら迷わずいけ」
紀子は芳恵から教えられた心得通りイメージするがキスする瞬間に口から血を出すことを妄想してしまいます。
母親の願い
17歳の誕生日。紀子は芳恵のお願い通りママの故郷である小豆島に行きます。
ママの中学校のタイムカプセルが掘り起こされる予定でありママの親友だった石井沙織が迎えに来てくれました。
前日、宴会が開かれ修学旅行の写真を見せて貰うとママは不参加でいませんでした。
修学旅行は東京に行く予定だったが旅行会社とつながる教頭が代金をピンハネするつもりで行き先を京都に変えたのです。それを知った生徒会長だったママはボイコットしたため不参加だったのです。
親友だった沙織は最後までママと一緒にボイコットすると言い張っていたが当日、沙織だけは参加し、それから二人の仲が気まずい感じになったと同級生から知らされます。
紀子は沙織の家に泊めてもらいます。沙織には中学生の引きこもりの娘・マホがいました。紀子は話しかけてほしいとお願いされるが「すいません。そうゆうのは苦手で・・」と断りました。
翌朝、沙織は一緒にボイコットしてお互い大好きだったピンクレディーのコンサートを一緒に行く予定だったと言いました。沙織は親に泣きつかれて修学旅行に行ってしまい今でも裏切ってしまった事を後悔していました。
紀子は沙織が用意してくれたTシャツを着るがマホが大事にしていたロックフェスのTシャツであり激怒されます。でも紀子はマホの好きなバンドの話をすると徐々に打ち解けていきました。
ママがいない紀子は「お母さんをもっと大事にして」とお願いしました。
タイムカプセルが掘り起こされ紀子はママのタイムカプセルを受け取ります。
ピンクレディーのパンフレットが入っていて沙織は行ったんだと驚きます。紀子からパンフレットを手渡された沙織は「沙織、ごめんね」と書かれたメモを見付けます。
涙を流しながら沙織は「ごめんね」と言いました。
紀子は帰るためフェリー乗り場に到着するとマホが自転車でやってきました。
バンドのCDをプレゼントされ「いつかカラオケ行こう」と誘われた紀子は「その時はピンクレディー歌おう」と言いました。
思春期
大学生になった紀子。19歳の誕生日カードが届くがママに振り回されてる感じがして開けることができません。
正男は「今読まなくちゃ意味ないだろ」と言います。宗一郎から「読んでから考えたら」と提案された紀子は「ママに人生決められたくない」と言いました。
ママに謝れと宗一郎は怒るが紀子は「だったら連れてきてよ」と言い放ち家を飛び出します。
泣きながら歩いているとバイクに乗る純と会います。紀子はバイクの後ろに乗り純が修行中のラーメン店に連れて行かれます。
パパと喧嘩した事を告げると純は「俺には父親がいないから喧嘩したくてもできない」と言いました。
自分と兄のために死ぬほど働いてきたから母親とは喧嘩できないと純に言われ、紀子は家に帰りママからの誕生日カードを開けます。
芳恵は19歳の紀子が想像できなくて書けなくなっていたが宗一郎から「その分からない事を伝えればいい」と言われていました。
「どんな19歳になっていてもママは紀子が大好きです」
苦しんでいたのはパパもそうなのに自分の為に手紙を書くようママにお願いしていたのだと紀子は気付き涙を流します。
甲子園を目指して頑張っていた正男だがベスト4で夢破れます。
宗一郎は紀子の誕生日も兼ねてピクニックに行こうと言いました。
みんなでカレーを作り食べたあと紀子はママからの最後の誕生日カードを開けます。
そこには小さい頃に紀子から「ママは希望通りの人生なの?」と聞かれた返事が書かれていました。
「ママの人生は思い通りではなかった。だけどパパと結婚して紀子と正男と過ごし満足してるよ。感謝しています。ありがとう」
21歳の誕生日は恋人の純から時計と誕生日カードをプレゼントされます。
結末
純が働くラーメン店のテレビにはクイズ番組アタック25が放送されていました。
クイズが得意だったのに子供の頃なにも出来なかった話をすると純から「リベンジすれば?」と言われます。
優勝してエーゲ海クルーズ連れてってよと純に言われた紀子は応募して勉強します。
何度も挑戦している間に紀子は大学を卒業して就職し、正男は大学受験に三度失敗しています。
正男はママからの誕生日カードに「迷ったら旅に出ろ」と書かれてあり、宗一郎から逃げるように自転車で全国の旅に出掛けてしまいます。
ついに予選を突破した紀子は面接で家族の事、そして母親を悲しませた事を話します。
「21世紀の「紀」に子供の「子」と書いて紀子。この時代に存在した証という意味を込めて父が名付けてくれました。私は小さい頃から引っ込み思案で一人でした。母は明るくて優しくていつも本を呼んでくれました。私はそんな母が大好きでしたが”もう私に期待しないで、ママは希望通りの人生なの?”と聞いて悲しませてしまった事があります。」
テレビ収録本戦
解答席に座る紀子。客席には宗一郎と純、そして小豆島からマホが応援に駆け付けてくれます。
順調に正解を出し最後の一問に正解すれば優勝となります。
その時、応援席にいた純は「紀子さんと結婚させてください」と宗一郎にお願いしました。
最後の問題。「第一回芥川賞の受賞作・・・」まで聞いた紀子は間違ってもいいから勇気を持ってボタンを押します。
ママと小さい時に話していた会話を思い出します。紀子が「蒼氓」の本を手に取るとママは「一生懸命生きていつか死んでいく。名もなき人々って意味かな~」と言いました。
しかし、問題は作者名だったため優勝はなりませんでした。
紀子は最後に「正男、お姉ちゃん結婚するから戻っておいで」とテレビで呼びかけました。
自転車屋のテレビで見ていた正男は水を吐き出します。
紀子が植えて立派に育ったヒマワリの前で写真を取ります。正男もギリギリのところで間に合い、純も入れて一緒に写真をとります。
結婚式、ウェディングドレス姿の紀子の前に宗一郎と正男がやってきます。
正男は「実はママからの手紙がある」と言いました。
正男の20歳の誕生日カードと一緒に入っていて紀子が花嫁になる時に渡すよう言われていたのです。
「のんちゃん、結婚おめでとう。花婿を見れないのが寂しいけれどママはとっても幸せです。あなたの周りには支えてくれるたくさんの人がいる事を忘れないでください。本当に困った時は必ず味方になってくれるパパを頼ってね。感謝の気持ちを忘れないで、幸せになってね」
紀子はママが編んだベールを身にまとい宗一郎と一緒にバージンロードを歩きました。