作品情報・キャスト
癌で余命を宣告された夫が、妻や息子のために自分の代わりになれる男性を探す物語。
樋口卓治の原作を「アンダルシア 女神の報酬」の織田裕二と、
「ハナレイ・ベイ」の吉田羊の共演で三宅喜重監督が映画化。
ネタバレあらすじ/僕の妻と結婚してください
バラエティ放送作家の三村修治はスケジュール表が書ききれないほど忙しい日々を送っていました。
体調の異変に気付き病院に行くと末期の膵臓癌で余命を宣告されてしまいます。仕事中も腰に痛みが走り薬を飲むことが頻繁にふえていきます。
今までどんな困難や出来事も「楽しい」と変換してきた修治は治療に専念し余命を家族と暮らすだけでは「面白くない」と思います。
「人生最後の企画」として自分の代わりとなる妻・彩子と小学生の息子・陽一郎を幸せにしてくれそうな男性を探そうと思います。
三村修治のラストプラン。
「妻の結婚相手を探そう」
誠実・経済力・子供好きで妻を愛してくれる人。
司会者が変わっても続く番組のように、みんなが笑顔でいられるような家族にしてくれる人材。
こんなプラン、彩子が怒るかもと不安になる修治だが、とりあえず婚活を勉強するため本を何冊も買い婚活パーティーに参加します。
修治は妻に相応しい男性を探すために率先して話し掛けるが周囲の者は不思議がります。
すると婚活パーティーを主催した者が元仕事仲間で現在結婚相談所の社長を務める知多かおりだと知り「妻の結婚相手を探したい」と協力を求めます。
「死ぬんです。もうすぐ膵臓癌で。」
彩子だったら笑ってくれるはず。妻と息子には笑っていてほしいからと修治は話すと知多は依頼を受け付けました。
妻を守ってくれそうな人を探す
修治は「もう一回結婚するならどんな人が良い?」と聞いてしっかりメモを取ります。
「健康で元気なら外見はどうでも良い」と言われ一瞬ペンを止めてしまいます。
修治は「仕事を辞めます」と各局に挨拶して本格的に婚活を始めます。
ご希望に叶う人が1人見付かったと知多から連絡があります。
千葉県出身、港区在住、伊藤正蔵 39歳 未婚。
慶応大学経済学部卒でインテリア会社代表取締役、年収1500万。
知多と共に修治は窓口主任・鈴木たかしと名乗り正蔵に会いに行きます。
しかし、正蔵から「妹が親を安心させるために勝手に申し込んだんです。申し訳ありません」と断ってきました。
仕事に専念したく結婚は考えてない正蔵だが人柄を気に入り修治は推薦するために頻繁に営業に出向きます。
なにより正蔵の笑顔を見て「幸せな理想的な家族」が見えてしまったのです。
お見合い
修治の営業力に心を動かされた正蔵は「会ってみます」と言いました。
知多は修治が辛くないのか心配します。
修治はわざと知り合いのタレントさんに頼みイチャイチャしている現場を彩子に見せます。そして帰宅した修治は「別れてほしい」と言いました。
その場にいるのが耐えられなくなった修治は家を出て行きます。
「大事な事を言い合えない夫婦はなしだから」
昔、親の借金を背負わされた時に彩子が言ってくれた言葉を思い出します。
翌朝帰宅すると手帳を彩子に見られた事に気付き最後のページには「あなたの命が足りないなら私の使って。そしてもっと生きて!」と書かれていました。
「彩子を幸せにするために結婚したがもうすぐ出来なくなります。僕の命はあと数ヶ月です。この先彩子と陽一郎を支えてくれる人を探したい」
彩子は泣きながら抱きつき「へんな芝居なんかして何やってんの!一緒に生きてよ!」と言います。
その時、修治は倒れてしまいます。
有名放送作家だった修治とタレントがイチャイチャしてる写真が雑誌に載ってしまった事で正蔵に「鈴木たかしは彩子の夫・三村修治」だとバレてしまいます。
退院した修治はすぐに謝罪に訪れ「自分はもうすぐ死ぬから…」と真実を話すが正蔵は「最後までご家族と過ごしてください」と言いました。
また家では父親の異変に陽一郎が気付いてしまいます。陽一郎に抱きつかれた修治は「いつから自分はダメになったのか」と思い直します。
お見合いすると正蔵から連絡があります。
どうして見合いしてくれる気になったのか聞くと正蔵は「幸せな家族が見えちゃったんでしょ」と言いました。
結末
デートはしばらく3人ですることになり修治は彩子のすべてを語ります。そして徐々に修治はデートに行かなくなり家で待つ日が続きます。
修治は彩子が帰るまでは起きてようと思いテレビの前のソファーで寝る日々を送ります。
陽一郎と2人で出掛けた修治は「大好きな彩子が陽一郎を抱いて嬉しそうな顔をしたのが忘れられない。陽一郎が父親になるのを見たかった」と伝えました。
そして彩子のことを頼むと手紙を渡しました。
「将来お金を稼ぐようになったらジャンジャン思い出を買いなさい。飲み会は三次会まで残った人にしか分からない事もある。人の悪口は言ってもいいけど本人の前で笑えるように変換すること。陽一郎、君の名前そのままに皆をお日様みたいに照らしてください」
もう先はないと不安になった修治は「結婚式が見たい」とお願いします。
練習ではあるがウェディング姿の彩子を見て修治は「綺麗だ」と褒めました。
修治は初めて番組を担当した時に視聴率が良かったことでラッキーボーイと呼ばれたが写真の現像屋で彩子と出会ったことが1番のラッキーだと語り出します。
そして彩子の「取扱説明書」を伝え正蔵に「あなたは必ず幸せになります。だから、どうか僕の妻と結婚してください」と言いました。
数ヶ月後、修治は自宅で静かに息を引き取りました。
彩子は「なんか亡くなった気がしない」と正蔵に報告し演技をしてくれて感謝を伝えます。
彩子は修治の最後の望みを叶えるため「お見合いしてください」と正蔵にお願いしていたのでした。
「会ったその日から大好きです。そして今も。いつかまた巡り会えたら僕と結婚して下さい。」