ブレイクニュース(薬丸岳)ネタバレ感想・あらすじを結末まで紹介

 

ネタバレあらすじ/ブレイクニュース(薬丸岳)

薬丸岳・2005年のデビュー作「天使のナイフ」でいきなり第51回江戸川乱歩賞を受賞。2016年に「Aではない君と」で第37回吉川英治文学新人賞を獲得し後にドラマ化された。2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞を受賞。韓国では「誓約」が大ヒットとなり、ドラマ化された「刑事・夏目信人」シリーズも代表作の1つ。私のオススメは映画化された「友罪」や映像化されると予想しているのにされない「ハードラック」など。近著では「ガーディアン」「告解」など

ブレイクニュース

ユーチューブチャンネル「野依美鈴のブレイクニュース」、児童虐待や冤罪事件などの実情を取り上げマスコミの真似事と揶揄され中には訴えられてもおかしくない過激な動画もあるが野依美鈴の魅力的な風貌などもあり人気はあった。

週刊誌記者の真柄新次郎は情報を収集し始める。すると彼女の以外な過去が見えてきた、デジタル社会の現代へ警鐘を鳴らす、SNS時代の新な社会派小説。

ネタバレになってしまいますのでご注意くださいませ

 

 

ブレイクニュース

人気ユーチューバを取材

不正や人が苦しむような事件をなくしたいと思う週刊誌記者・真柄新次郎は人気ユーチューバー・野依美鈴を記事にしないかと上司に勧められます。

「野依美鈴のブレイクニュース」を検索すると一番新しい動画は児童虐待を疑い聞き込み調査をしていました。

許可を得たからと児童の兄・9歳の文哉の顔をさらして公開し、そのせいで母親の名前や住所などが掲示板にさらされるようになったので納得できないでいました。

彼女がモザイクなしで母親から話を聞いている動画が公開されていました。生活に苦しくなった母親は短時間で収入のいい仕事をはじめると自分が汚れてしまったように思えてじゃれてくると怒ったりするようになってしまったのです。

翌日に母親が子供を突き飛ばしたと出頭しそのことは動画にアップしていなかったので記者の真似事は止めろと忠告しにいきます。

しかし美鈴は母親の犯行だと文哉から相談されており母親の苦悩が多くの人から共感してもらえれば出頭するのではないかと考えていたのです。文哉の顔をさらしたのも本人の意志であり離婚した父親に家庭環境を知ってもらおうとしたのです。

 

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巣立ち

引き籠もりだった智が着々と一歩ずつ進んでいる話

動画撮影や編集を手伝っている樋口智は美鈴に呼ばれ向かうと自分たちを取材して欲しいと老夫婦がやってきました。引き籠もりの51歳の一人息子・陽介がブレイクニュースを見ているので自立への道筋になるのではと思ったのです。

智も10年以上引き籠もっており興味半分で自作の動画をアップするうちに美鈴からダイレクトメッセージをもらい四ヶ月前に勇気を持って外に出てそれから美鈴の仕事を手伝うようになっていました。

智は支援している人の言葉を借りて「自分の事を語れることこそが自立、それが出来るかが分岐点かもしれない」とコメントしました。

そのコメントがきっかけで陽介から電話をもらった美鈴はさっそく取材に出向きます。陽介には出来が良い亡くなった兄・陽一がいて葬儀の時に「どうして陽一だったんだ」と悲しみ暮れる両親の言葉を聞いて自分だったら良かったのかと変換して受け入れてしまったのです。

成績などすべて兄より上回ろうと努力したがかなわず家を出ようと就職したが自分が何も出来ない無能だと気付かされ完全な引き籠もりになったのです。

陽介は楽になりたいと思い、いつでも自殺するため、また心の中で両親を何度も刺して楽になるためにナイフを買って引き出しにしまっていました。陽介はモザイクなしに公開するよう望み、同じ経験をして理解出来る智は編集を終えると部屋ではなく両親と一緒に食事を摂りました。

 

嫌疑不十分

無実を証明してほしいとブレイクニュースにすがるが過去の悪事がバレてしまうおバカな話

杉浦周平は女性を襲った疑いを掛けられて逮捕され23日間身柄を拘束されました。嫌疑不十分(犯罪の疑いは晴れないが裁判で有罪を証明するのが困難)で釈放されたがSNSで出回っているせいでアルバイトの面接で採用されることはありませんでした。

やっていないのに逮捕されたおかげで仕事はクビになり両親からも絶縁を言い渡され、滞納しているせいでアパートも追い出されそうな状況でした。そこで救いを求めたのがブレイクニュース。

 

杉浦は落としたハンカチを拾って渡そうとしただけだが被害者は押し倒されて口を塞がれたと言います。美鈴は片方だけの話を公開するのはフェアではないので聞き込み調査をすると被害者を後押しするような証言も出てきました。

しかし本人に直撃したあと被害者の親友からダイレクトメッセージをもらい杉浦が働いていた店に行っていた事が分かりました。どこにでもあるような店なのにわざわざ遠い場所まで行くのが不自然に思えたため再び直撃すると明らかに様子がおかしく逃げるように去って行きました。

この動画により被害者の名前(遠藤早苗)がSNSで広まり完全に白だと同情するコメントが多く寄せられたことで杉浦は職場復帰することが出来ました。早苗が偽造告訴罪で逮捕されたことで名誉は回復されると喜ぶ杉浦だったが未成年の時に無理に犯した事があり新しく公開された動画をチェックすると「早苗はたぶん私の復讐をしようとしたんだと思います」と証言する女性が映し出され過去が暴かれてしまいました。

 

最後の一滴

パパ活しなければ生活できない家庭環境

「悲しみを絶望を社会に伝えてほしい」

パパ活をしている27歳の教師・谷村麗子から遺書が書かれたダイレクトメッセージを受け取った美鈴はホテルで自ら命を絶った彼女を知るためにも調査を始めます。

子供の頃から家には母親の相手をする男が出入りしているのは近所では有名であり自分で大学に行き教師になれたが1千万の借金を抱え返済の追われる日々でした。

母親を憎んでも捨てる事はできないので働いても生活費は取られる日々、いくらあってもたりません。

 

美鈴はパパ活をする人物から話を聞くため智が待ち合わせをした詩織に取材協力を求めます。詩織は家庭裁判所の調査官になる夢を持ち麗子と同じような家庭環境でした。

美鈴の取材を終え麗子に手を合わせることもできた詩織だったがブレイクニュースの名刺を持ったままにしていた事から彼氏にバレてしまい新しいアルバイトを見付けるのに一週間かかりました。

生活が苦しくパパ活をして待ち合わせをするが相手が麗子と最後にいた男であり「今の仕事辞めて本職にすればいいのに」と麗子に言ったことを聞かされ麗子の遺書の内容が胸に突き刺さります。

美鈴に相談すると「自分の尊厳や誇りを守るために闘ったことはあるか?」と聞かれます。男に何も言えなかったのは逆に傷付けられるのを恐れたから・・・詩織は認めると一矢報いる方法はあると言われます。

男と待ち合わせをして麗子が自殺した事を伝えるとまったく反省するどころか侮辱しだいたので詩織は言い返すと殴られます。それをスマホで撮っていた美鈴はブレイクニュースで流します。また詩織はモザイクなしで取材を受け入れ逃げずに闘いました。

すると美鈴から300万を渡されブレイクニュースを手伝わないかと誘われました。

 

憎悪の種

ヘイトスピーチがテーマ

勇気を持って顔を出して取材に応えた詩織だが世間はやはり厳しく大学でもどこにいても息苦しさを感じます。

ブレイクニュースを手伝う話は断ったが美鈴が訪ねてきてヘイトスピーチをする集団の誰かと接触して全貌を聞き出して欲しいと頼まれます。

新しく公開された動画にはアルバイトをクビになったり学校に行かれなくなった在留外国人たちが悲しみ暮れヘイトスピーチをどうにかして欲しいと訴えていました。社会から排除されそうになっているのは自分と同じであり詩織は受け入れ「山下さとみ」の偽名を名乗ってSNSで連絡を試みます。

こうして集団のトップの森山修と出会えたが美鈴は調べると彼は中国人シュウ・ズハンだと分かります。ブレイクニュースで訴えるように進言したのもシュウであり国に帰る前に日本人が差別していることを世間に広めるのが目的だったのです。

嘘で在留外国人を排除してきたメンバーの本名と住所を明かし陥れられたことまで既にSNSで打ち明けていました。

 

「愚かな人間はどこの国にもいるが人種差別をしない人の方がはるかに多い。強いから優秀だから人を差別するのではなく弱くて無能で怯えているから人を差別する心が生まれると思う」

同じアルバイトをしている在留外国人を陥れたシングルマザーの沙紀だったがシュウの書き込みによりバレてしまい仕事を首にされていました。しかし在留外国人が自分を庇う発言をした事で戻れる事になり理由を聞くと「あなたのためではなくお子さんのため」と言われました。友達になれたはずの人を失い続け孤独だった自分に気付きました。

 

正義の指

先のことを考えず軽い気持ちでSNSに書き込んだが広まって名前や住所がネット上に暴かれ誹謗中傷に悩まされる話。

人気芸能人が宿泊することになりファンだったAさんが舞い上がって軽い気持ちでSNSに書き込むと個人情報を漏らすなと酷い仕打ちを受ける事になります。

親友のBさんはAさんが旅行会社に勤めること、訳あって最近仕事を休まなければいけないこと、SNSのペンネームからAさんに違いないと思い込み裏アカウントで犯人はAさんだと書き込みました。

称賛の声で溢れ嬉しかったがブレイクニュースを見るとAさんの母親が出ていて命に別状はないがAさんが自殺を図ったことを知ります。軽い気持ちだったのに親友を自殺に追い込んだ事を悔やむBさんはブレイクニュースに自分だと白状し顔をさらけ出すようお願いしました。

そしてどれだけ辛い日々を送る事になるのか自分の身をもって世間に人たちに訴え自分の償いにしました。

 

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結末

ハッシュタグ

美鈴は柚木の取材許可を取ってくるよう詩織と智にお願いします。医者を目指す柚木の母親は5年前に京北医科大学病院で大腸ガンの手術をして翌日に亡くなり先生が何か隠していると察知し本当の事を言って欲しいとお願いしたが逆に威嚇されてしまいました。

当時はまだ16歳でどうしていいか分からず悔しい思いをしたが母親が亡くなってから毎月50万と激励の言葉が送られており、もしかしたら病院の関係者かもしれないと思っていたのでブレイクニュースの取材を受けることにしました。

パワハラを取材する中で真柄は命を絶った医者の同僚などの写真を見ているうちに野依美鈴がいる事に気付きます。またブレイクニュースで新しい動画が公開されると病院では噂が広まり、子供が病気のため絶対に高収入の仕事を手放すわけにはいかないと頑張る芦名先生は動画を見て「皆川靖子」だと気付きます。

 

医療過誤を告発した看護士Aとは美鈴(皆川靖子)のことであり柚木の母親の手術に立ち会った看護士でもありました。

あの日、医院長の息子は深酔いで急遽できなくなりまだ経験浅い和田医師に執刀するよう押し付けたのです。命令でカルテを改竄した和田は罪悪感に苦しみ続け1年後に自ら命を絶ち、恋人だった美鈴は辞職後に告発したが逆に返り討ちに遭ってしまったのです。

整形をして銀座でホステスを始めると当時スクープを連発していた夏八木と出会い「死ぬ気になって言葉を伝えようとしたか」と言われYouTubeを始めたのです。

 

病院名と医院長の息子の実名で訴えるとあまりの過激な内容にブレイクニュースは停止となってしまいます。

SNSで南池袋公園に集まるよう呼びかけると脅迫を受けブレイクニュースの手伝いから遠ざかっていた詩織や智、そして柚木も向かいます。警察に阻止されるが駆け付けた真柄が「彼女を連行する理由を説明しろ」と訴えると集まった者達から首相の差し金かと野次が飛びます。

スマホがたくさん向けられるなか、怖くなった美鈴はブルブルと震えてしまうが駆け付けた芦名先生の激励で震えが止まり、真実を訴えました。

 

感想・ブレイクニュース

今までの薬丸岳さんの作品と比べたら正直面白くなかった。だけど結末のなかの本当に最後はうっすらと感動した。このために命をかけてYouTuberとなった事を思うと感動する。

しかし、めっちゃ稼いどきながら毎月50万送り続け自分はボロいアパートに住んでいるのはやりすぎというか・・・。

それと「モザイク無しで公開してください」パターンの繰り返し、そんな勇気のある人はいないだろう。芦名先生も急に出てきて一瞬で説得に応じたし夏八木や病院の事も結末で急に出てきて一気に詰め込んだ感じがしてしまう。いろんな事件については最近誰もが耳にしたことがあるような事ばかりだし逆に詳しく描きすぎで「目的を果たすために、人気者になるために」には直結しているけど病院とは関係ない。

美鈴が看護士を辞めてから今に至るまでも最後に一気に詰め込んできたし、真柄が少しずつ突き止めていく描き方だったら面白かった気がする。真柄が出てきたのは途中智に情報は求めたものの最初と最後だけと言っても過言ではない。それに病院を調査し始めたのも美鈴を追っていたわけではないし。好みの問題ですが好きな作家さんだけにちょっと残念でした。

 

 

小説/BOOK
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鑑賞感想