メインキャスターの澄田は番組の打ち切りを告げられ、更にサブキャスターの圭子から交際している事を生放送で発表しようと言われる。動揺する澄田だったが立て籠もり犯から交渉役に指名され現場に向かうことに。
監督 = 君塚良一
◆澄田真吾(中井貴一)◆小川圭子(長澤まさみ)◆三木沙也(志田未来)◆石山聡(時任三郎)◆澄田明美(吉田羊)◆西谷颯太(濱田岳)◆黒岩哲人(松重豊)
ネタバレ あらすじ
グッドモーニングショー
朝のワイドショー「グッドモーニングショー」のメインキャスター澄田真吾は出勤のため起きると元女子アナの妻・明美と息子が深刻そうに話をしていました。
「彼女が妊娠したから結婚する」
学生が何言ってんだ、社会人になって胸の晴れる仕事に就いてからだと一喝する澄田だが息子に「親父は胸張れる仕事してんのか!」と言われてしまいます。
以前は報道キャスターだったが災害現場で顔に泥を塗り笑っている姿がテレビで流れてしまい世間からヤラセだと非難され降板していたのです。
実はその時、被災地の子供を元気付けるために同じ姿になろうとしただけだったがテレビにはその場面だけ流れてしまったのです。
プロデューサーで澄田と同期の石山聡から今でも「なんで何も言わなかったんだ」と責められています。
出勤時間が迫っているので息子との話はとりあえず保留しタクシーで出かけます。
すると同じタクシーが並び隣に乗っていたサブキャスターを務める女子アナ・小川圭子から電話がかかってきます。
圭子は一方的に恋愛感情を持つ病気みたいなもので彼氏と別れて落ち込んでいたところ澄田に慰めてもらってから自分に気があると思い込んでいます。
「いつ奥さんと別れてくれるんですか。私たちの関係を番組で発表します。責任取ってくださいね」と言われ澄田は焦って何も言えませんでした。
スタジオでは大勢のスタッフが動いていました。
「政治家の脱税でいきましょう」
「インタビュー撮れてるから芸能人の熱愛で」
「国際問題になっているウルゴビア紛争で」
各担当者が取り上げて欲しいニュースを述べます。
情報は商品になってなければダメだと澄田は芸能ニュースでいいんじゃないかと口にします。
報道部長はこっちが汗水垂らして取材してきた情報を「グッドモーニングショー」は流しているだけだとして威張っています。
石山プロデューサーから呼ばれた澄田は視聴率が悪く番組が打ち切りになると知らされます。
圭子から電話があり澄田は石山に渡して顎の下をかく仕草を見せます。(誤魔化してくれという合図)
番組直前、立てこもり事件が発生し担当者の府川が中継を繋ぐために現場に急いでバイクで向かいます。
澄田はトップニュースで速報を伝えるが詳しい情報は入ってきませんでした。しかし他の報道番組が犯人は銃を持っていると報道しました。
政治家の脱税ニュースを伝え終えると圭子が「隠し事はダメですよね。私も実は隠していることがあります。実は…」
圭子が暴走しそうだったので澄田は「一旦CMです」と言いました。勝手にCM行くなとディレクターが怒るなか「立てこもり犯が澄田を出せと要求している」と石山から言われます。
現場へ行くよう言われるが澄田はあの事件以来、現場へは怖くて行かれなくなっていました。「グッドモーニングショー」だけの報道ができるためスタッフは行かせようとするが局長はまた非難を浴びたら困るとしてスタジオで仕切れと言います。
しかし圭子が更に暴走しそうになったので澄田は「中継に向かうためスタジオを離れます」と口走ってしまいます。
澄田がバイクで向かっている頃、「従業員は2人で単独犯、客は10名」だと情報が入ります。犯人の要求は澄田キャスターだと伝えると「またドッキリか!、真面目にやれ」と苦情の電話が殺到します。
澄田が現場に到着するとすべてのテレビ局が澄田を映します。また現場にいる府川が警視庁特捜班の黒岩の話を盗み聞きし犯人の名前が「ニシタニ ソウタ」だと分かります。
「グッドモーニングショー」は先駆けて犯人・西谷颯太の名前を報道し立てこもったカフェは二年前にも火災が起こっていた事が分かります。また犯人の叔父が所有する猟銃が無くなっている情報が入ります。
石山から電話がありカフェに行くよう言われた澄田はどうしようかと悩んでいると特捜班・黒岩からもお願いされます。
近くに土木用ダイナマイトがあるとして警視庁から爆発しても平気なようにフル装備されます。府川は澄田の防弾スーツに澄田の顔と前方が見えるよう小型カメラを取り付けました。
澄田は「これがないと落ち着かない」と言いマイクを持って特捜班と一緒に現場に行きます。
犯人と話しても「否定しない、信用しない、約束しない」を守ってくれと澄田は言われます。
店内に突入するため報道規制が入るが「グッドモーニングショー」だけは小型カメラを澄田に取り付けているためそのまま流します。
テレビを見ていた明美は「パパ、生命保険入ってたかな」と息子につぶやきます。息子は被災して恨んでいる人の仕業じゃないかと予想していました。
澄田はヘルメットを上にあげて顔を見せます。
「僕はあなたに何かしましたか?」と震えながらインタビューすると西谷は「カメラの前で謝れ、ワイドショーでくだらない事してごめんなさいって謝れ」と言いました。
…「あなたは….それで怒っているのですか」と澄田は口にします。
スタジオにいる圭子は「要求ってそれ」と呟きます。
ディレクターから「反省したフリしてさっさと謝っちゃいましょう」と指示があります。
他の局はヘリコプターやビルの屋上から報道し始め特捜班は突入準備に入ります。
店から出た澄田は「僕への要求は…犯人が言うには番組がくだらないみたいで…なんか分かりませんが…私が謝罪すれば人質が解放されるみたいです」と説明し「グッドモーニングショー」がどういった事をしてきたか話し始めます。
その頃、スタジオでは報道部がグッドモーニングショーのスタッフを追い出し指揮し始めます。
テレビは中断され報道キャスターに切り替わるが抗議の電話が殺到します。
「なんで途中で止めるんだ」「澄田を見せろ」
指揮権は再び「グッドモーニングショー」に移りスタッフは喜び仕切り直します。
西谷颯太は立てこもったカフェで働いており2年前の火災が原因で辞めていた事が分かります。
報告を受けた澄田は店内に入り「怒っているのは番組に対してじゃないですよね、これはあなたの時間です。話してください」と伝えます。
黒岩にこれ以上刺激するなとマイクを取り上げられるが澄田に取り付けてあるカメラで音声は拾えていました。
「テレビが力になります。あなたの言葉を伝えたい、勇気を出して」と澄田は訴えます。
スタジオで聞いていた新人女子アナ・三木沙也は澄田が被災地で笑いながら顔に泥を塗った真相を話しました。
仕事はキツくいつも辞めたいと思いながらも頑張っていた西谷だったが二年前の火災の濡れ衣を着せられ解雇されていました。
本当は店長に会いにきた西谷だったが当時の店長は辞めていたので仕方なく立てこもってしまったのです。
澄田は二年前の火災を報道したのは自分だと思い出します。
「僕たちは必ず真実を手に入れる。汚名を晴らしてあげる、本当の事を話してくれてありがとう」と伝えます。
すると西谷は澄田の方に向けて発砲し窓ガラスが割れました。
澄田は当時、火災について取材をしており西谷は真実を書いた封筒を「呼んでください」と必死に渡そうとしていたが澄田は気が付きませんでした。
しかし当時澄田と一緒にいた圭子は封筒を持つ西谷を思い出していました。
「あんたには俺が見えないんだな、俺はこの世にいないのか」と西谷は封筒を投げ付けます。
封筒にはその後の澄田と圭子の密会写真が入っていました。(彼氏と別れて落ち込む圭子を澄田が慰めた日)
スタジオにいた圭子は好機とばかり「私は愛されてます」と宣言します。
テレビを見ていた明美は「パパの見る目が怪しいから分かってた。だけどパパの好みじゃない」と言います。
息子がその場を離れようとしたので「最後まで見なさい、これがパパの仕事よ」と伝えました。
西谷が自殺しようとします。澄田は「親を悲しませるな、僕にも息子がいる。死んでほしくない。大事な息子に子供が出来たんだ。早く孫を抱きたい」と訴えます。
テレビを見ていた息子は「お父さん…」と感動するが明美が「嘘に決まってるでしょ」と冷静に語りました。
スタジオにいる圭子は「犯人の命を捨てる? それとも取っておく?」とアンケートを取ります。
捨てるが69%だと聞かされた澄田は顎の下をかきます。(誤魔化せ)
石山は集計結果を反対にして「取っておく69%」にして公表しました。
グッドモーニングショーを見ていた西谷は視聴者が生きろと言っている事を受け止め銃を降ろし特捜班に確保されました。
黒岩から「否定して信用して約束した、3つのすべての約束を破ったな」と澄田は言われます。
「立て籠もっていた犯人は確保され人質は全員無事です」と澄田は締めくくりました。
放送終了後、沙也には11時のキャスターの仕事が舞いこみ圭子にはバラエティから声がかかります。
圭子はディレクターから優しく声を掛けられエクレアを差し出され新しい恋が芽生えます。
事情聴取を受けスタジオに戻った澄田は「ワイドショーは好きだね、放送したら消えていくけど何か生まれるかもしれない、これこそテレビだ」と石山に話します。
帰宅すると西谷が立て籠もったように明美が机や椅子を重ねバリケートを張っていました。
明美は「息子は最後までテレビ見てた。勇気をもらったから結婚するって」と言いました。
澄田は「明日も3時起きだ、トップは謝罪会見で見所満載だ」と言いました。
2人は机や椅子を取り外していきます。