作品情報・キャスト
シングルマザーの私は家政婦として顧客を紹介されると80分しか記憶が持たない元数学者だった。
小川洋子による原作では杏子(私)の視点で書かれているが映画では数学教師になったルートが生徒に思い出を語る作りになっている。
数学用語がたくさん出てくるので苦手な人には退屈に感じるかもしれません。
ネタバレ あらすじ
博士の愛した数式
杏子は結婚出来ない人を愛しシングルマザーでした。
家政婦紹介所の中では1番若かったがキャリア10年の杏子は、数年で9人も変わった手強い顧客を紹介されます。
●義弟の起こしたトラブルは離れで解決すること。
●11時から19時まで食事と身の回りの世話をする事。
●離れと母屋を行き来はしない事。
弟に会いたいとお願いすると交通事故に遭い80分しか記憶が持たないから会っても意味はないと言われます。
80分の記憶
記憶は1975年で止まっている元数学学者・博士の元へ伺う杏子。
「君の靴のサイズは?」 24です。
「4の階乗で潔い数字だ」
「電話番号は?」 576の1455です。
「5761455?、1億までの間に存在する素数の数に等しいとは素晴らしい」
博士はなんでも数字に例え背広にはメモ用紙がクリップされていました。
80分しか記憶が持たないことで杏子は毎回、玄関で同じことを聞かれます。
ルート
息子がいることを知った博士は連れて来るよう言いました。
頭のてっぺんが平らである事から杏子の息子は「√(ルート)」と呼ばれるようになります。
杏子の誕生日は2月20日=220
博士が大学時代に論文で学長賞を貰った腕時計には「NO.284」と記してあった。
「220」と「284」は1番小さな友愛数の組だと説明されます。
友愛数は自分自身を除いた約数の和が互いに他方と等しくなる数でピタゴラス学派の時代に知られていた。
10歳のルート、杏子、そして博士は阪神ファンでした。
しかし博士の記憶は事故にあった1975年で止まっているため当時活躍していたエース江夏の話をします。
それでもルートはなんでも数字に例える博士の話に興味を持ち数学を楽しむようになります。
ルートの野球の試合に杏子は博士を連れて行きます。
座席表「714」を見て博士はベーブルースが1935年に作った通算ホームラン記録だと話します。
またルートの背番号は「√」であり、どんな数字にも友情を与えてやれるから良いと納得します。
結末
野球の応援の疲れのせいで博士が熱を出して寝込んでしまいます。
杏子とルートは泊まり込みで看病するが、それが規則違反となり未亡人に解雇されてしまいます。
未亡人と博士は実は不倫関係にあり嫉妬からくるものだったが、
杏子は「恋愛」や「お金」が目的ではなく、ただ「友達」として会いたいだけだと説明しました。
大事なのは「今」であり杏子やルートにとって博士と過ごした時間は大切なものなのです。
博士は背広にクリップされたメモ用紙をすべて外し、あるがままを受け入れ自然に任せて一時を生き抜こうと言いました。
未亡人にも受け入れられ、再び博士の家政婦になった杏子。
ルートの誕生日に、博士はグローブをプレゼントし、ルートは「28」番(江夏の背番号)の野球のユニホームをプレゼントしました。
〜数年後〜
数学教師になったルートは生徒たちに博士との思い出を話します。
「博士と一緒にいたありのままの時間を今でも大切にし、時は流れず、今でも博士と一緒にみた夢を追い続ける」