作品情報キャスト
幼い頃、飛行機事故で両親を失い生き残った木山慎一郎は「人の運命が見える」特殊能力を持つようになる。
最期の人が透けて見えてしまうため苦悩し人との関わりをなるべく避けて育ってきたが店員の桐生葵と出会い、透けて見える彼女を救ってから徐々に惹かれていく。
ようやく恋する事を学んだ青年だったが街ゆく大勢の人々が透けて見えてしまい代償があるため悩むようになる。
「自分は飛行機事故でなんで生かされたのか」と。
・子役時代から活躍する神木隆之介と、女優として成長し続ける「コーヒーが冷めないうちに」などの有村架純ダブル主演でおくる切ないラブストーリー。
・原作は大ヒットした「永遠のゼロ」の著者・百田尚樹。
・監督は「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」などを手掛けた三木孝浩。
ネタバレあらすじ「フォルトゥナの瞳」
6歳の時に飛行機墜落事故で両親を失い生き残った木山慎一郎は人と深く関わろうとせずに育ち自動車整備工場で働いています。
両親に心配され笑わせる事すらできなかった木山は深く後悔しているが何より事故後フォルトゥナ(運命の女神)の瞳を持ち人の運命が見えてしまう望まない特殊能力を持ってしまった事に苦悩しています。
16歳の時から10年間コツコツと真面目に取り組んできたことで遠藤社長から高く評価され2号店の店長に抜擢されるが先輩を差し置いて自分がなっていいのか悩みます。
案の定、早速妬みを買い自分が修理したばっかりの車に嫌がらせをされ「俺がやった証拠はあるのか」と金田に突き飛ばされてしまいます。
携帯にヒビが入っているのに気付きお店に行くと明るい笑顔の店員、桐生葵に話しかけられ修理を頼みます。なんでこんな古いガラケーを使っているのかと質問され「むかしからいろいろ選ぶのが苦手だったので」と答えると「この携帯がいいならそれも立派な選択だと思います」と言われ応急処置をしてくれました。
特殊能力
通勤電車で吊革につかまってる乗客の手が透けて見えてしまい木山は目を伏せます。
最期の人が透けて見えてしまうため「また見てしまった」と落ち込んで歩く木山は透けて見える人とすれ違い後を付けるとその人は目の前で車に轢かれてしまいました。
ガラケーの液晶がおかしくなったので再び店を訪ねると「さすがにもう無理かも」と言われこの際新しい携帯に変えようと決心するが葵の手が透けていることに気付きます。
怖くなって店を出て行くが無視できないと引き返し勇気を持って「大切なお話があるので時間ください」と伝えました。駅前のカフェを指定され待っていると葵はやってくるが透けていなかったので安堵します。
大切な話は何かと聞かれた木山は「信じるかどうか分かりませんが人の運命が見えるんです。でも助かったようなので良かった」と伝えました。
木山は店長を引き受ける決心をし仕事に専念していると葵が訪ねてきたので驚きます。
化学工場で爆発火災が起こった記事を見て葵は木山に誘われなかったらいつもの帰宅通路で巻き込まれていたので助けられたのだと信じたのです。
「救ってくれてありがとう」と感謝される木山は「偶然ですよ、忘れてください」と誤魔化します。
代償
金田がお客様の車で遊んでていた事が社長にばれて衝突します。金田は反省もせず誤魔化す発言ばかりで不当解雇で訴えるとあばれ社長に殴られます。
社長の手が透けて見えてしまった木山は全然帰ろうとしない社長に「一緒にご飯でもどうですか」と誘うがそれでも透けて見えるので辺りをキョロキョロしながら歩き始めます。
するといきなり金田が鉄パイプで殴りかかってきたので木山は間に入って強打されます。しかし金田の胸倉を掴む社長の手が透けていなかったので安堵し許してあげてと伝えるが胸が苦しくなって倒れてしまいます。
意識が戻ると病院にいて社長夫人の美津子が付き添ってくれていました。胸部を調べてもなんともなかったが透けて見える少女を見ているとドクターから「止めとけ、余計なことは考えるな」と忠告されます。
ドクターも研修医の時に生死を彷徨ってからフォルトゥナの瞳を持ち人の運命が見えるようになっていました。
「だれかの運命を変えてはいけない。人の運命に関わるな」
木山は葵を救った時も胸が苦しくなったのを思い出します。
告白
誰かの運命を変えて、その後の運命を背負う覚悟はあるのかとドクターに言われ考えていた木山は葵とカフェで待ち合わせして「好きです。僕と付き合ってください」と告白します。
他のお客さんがざわついたので木山は声が大きかったのだと気付きます。
葵に外に連れだされた木山は恥ずかしい思いをさせてゴメンと謝罪するが葵は自分の返事を聞かせたくなかっただけであり受け入れました。
初めて恋人ができて喜ぶ木山は金田が反省していると知り社長に直談判して働いて貰います。
結果、あれだけ反抗していた金田は木山を店長と呼び心を入れかえ働き始めます。また木山が16歳の時から見ていた社長は苦痛を埋めるために仕事に没頭しているように見え心配していたので喜びます。
デートを重ねていた木山は6歳の時に飛行機事故で両親を失い自分だけが生き残った苦悩を伝えると「幸せになるために生かされたんだよ」と葵は言います。
これから結婚して子供を作って遊びに行くの、未来を生きていくの。
葵の言葉に木山は癒やされ初めて目標を持った未来に向かって生きていると実感するが精密検査の結果、狭心症だと診断されます。
「これから気をつけろ、自分の事は透けて見えないから」
葵との未来があるので他人の運命と関わらないと決意し指輪を買いに行きます。
若い宇津井社長がフェラーリを預けにやってきます。本店の受付嬢マリコをよく誘っていたので彼女は元気にしているか聞くと「貢ぐ金ないというので風俗店紹介してやった」と言われます。
人を見下す発言にさすがの木山も怒りが込み上げるが金田が胸倉を掴み「フェラーリを磨く人間にもプライドがあるんだ」と言い放ちます。木山は争ったら損すると思い我慢して頭を下げました。
マリコに宇津井に誘われていると相談された事があり「生きたいならいいんじゃないの」と伝えてしまったことを後悔していたが「人の選択が正しいかなんて分からない」と美津子に言われます。
車を取りに来た宇津井の手が透けて見えた木山は悲しむマリコの顔が浮かび何も忠告せずキーを渡しました。その後、宇津井は居眠り運転で事故に遭い命を落としました。
葬儀に参列した木山はあんなしょうもない宇津井にも子供がいて悲しむ奥さんがいたんだと後悔します。
結末 フォルトゥナの瞳
救えたのに助けなかった木山は人の運命を弄んでいるのは自分だと落ち込むようになり彼女にも「葵には分からない」と苛立ちをぶつけてしまいます。
飛行機事故の時に「助けて」とお願いする少女を救うことができなかったので「あの時と同じだ」と苦しむようになります。
木山は何故か街ゆく人々が次々と透けて見えるようになります。幼稚園生が持っていた紙には「遠足・芦山グリーン牧場」と書かれてあり駅のホームに行くと全員が透けて見えました。
芦山行きの電車だと知った木山はこの時間は葵も乗っている時間だと気付き遠足の日の明後日に列車が事故を超すのだと気付きます。
葵に会いに行くと彼女の手が透けていたので思わず嫌だと抱き締めます。
誰かの運命を変えるのはダメだと決心していたが葵を守るために沖縄に旅行に行こうと誘います。そして幼稚園に電話し「よくない事が起こるから遠足を延期してくれ」と伝えるが当然イタズラだと思われてしまいます。
「自分はなんで生かされたのか、それはこの能力で人を救うためではないだろうか」
もし自分の命を失う事になっても大切な人を守れるなら意味はあると決心し、金田に仕事を頼み2号店の売り上げが伸びないことを心から社長に謝罪します。
木山は「旅行のこと嘘付いてゴメン」と葵に置き手紙を残し出かけるが「急遽行かれなくなった」と葵からメールが来ます。
急いで向かおうとするが幼稚園に変な電話を掛けてしまったことで警察に呼び止められてしまいます。隙を突いて逃げ出し駅に駆け付けるがドアがしまってしまい葵が乗っているのを目にしてタクシーで追いかけます。
そしてタクシーにあった発煙筒を持ってホームから飛び降り列車を止めました。
葵はドアから飛び降り駆け付けて息絶えたまましゃがみこむ木山を抱き締めます。
葵は「あなたと会ってから笑うようになった。それまでは人生を諦めたように生きてきた」と美津子から聞かされます。
幸せを与えてくれたのは自分の方だと葵は言います。
実は葵もフォルトゥナの瞳を持っていたのです。諦めたように生きていたが同じ力を持っていたからではなく1人の男性として恋をし近付きました。飛行機事故で両親を失った話を聞かされたとき自分が助けを求めた男の子が木山だったのだと知り運命の人だと思いました。
二度も命を救われた葵は木山の体が透けて見えたので今度は救おうとして旅行をキャンセルしていたのです。「多くの人を議性にしても生きる事を選んで欲しかった」と思い「能力がなければ」と悔やむがこの能力がなければ木山と会えなかったし愛されることもありませんでした。
「同じ運命を繰り返しても同じ選択をする。この能力に感謝するのは葵と出会えたこと」
木山が残した手紙にもそう書いてありました。葵は手紙と一緒に届けられた指輪を握りしめ涙します。
感想 フォルトゥナの瞳
飛行機事故の時の少女が葵だったのだろうと読めてしまったが木山はなぜ救えなかったと苦しみ忘れていたのだろうか。
愛する人を守るためだけでよかったのにね。
救われた大勢の人たちは誰も気付かないし感謝もしない。
葵は木山を救うためにキャンセルしただけと思っていたがよくよく考えたら違いますね。同じ能力を持っていたのなら電車の中で多くの人が透けて見えていたはず。っという事は木山を助け自分は大勢の人と共に運命を受け入れようとしたのですね。
なんとも切ないラブストーリーでしたね。