「フーガはユーガ」ネタバレあらすじと感想結末/2019本屋大賞ノミネート作品

 

作品情報「フーガはユーガ」

伊坂幸太郎2019本屋大賞ノミネート作品!!

2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞を受賞。08年「ゴールデンスランバー」で第21回山本周五郎賞、第5回本屋大賞を受賞。「グラスホッパー」、「マリアビートル」、「重力ピエロ」、「フィッシュストーリー」、「陽気なギャングが地球を回す」など多くの作品が映画化されている。

幼い頃に父親の酷い暴力の家庭環境で育った常磐優我と2時間後に生まれた双子の弟の風我。

自然といつも母親に助けを求めてしまうが味方ではない。ある日、殴られている風我を助けたい気持ちに満ちあふれ変ってあげたいと願うと何故か自分が殴られていた。

一卵性双生児の入れ替わりは超自然現象なのか、瞬間移動、特殊能力。

不運の中で生きてきた双子は互いに研究を重ね、年に1度の誕生日の日に2時間おきに入れ替ることが分かる。双子は秘密の能力でヒーローになろうとした!!

優我は仙台のファミリーレストランで高杉と名乗るTVディレクターに「僕が話すことには嘘があります」と念を押し子供時代や秘密を語り出すが・・・

 

ネタバレあらすじ/フーガはユーガ

20代前半の常磐優我は仙台のファミリーレストランで高杉と名乗るTVディレクターの前に座ります。

盗撮そのものが犯罪だが、制作会社が募集していた動画の中に偶然優我が映っていて瞬時に変化する不思議な映像だったので連絡してきたのだった。

優我は「記憶違いや嘘を付いている場合もある」と伝えたうえで不運だった家庭環境や双子の秘密を語ります。

双子の特殊能力

父親の暴力が酷い最悪な家庭環境で育った優我と2時間後に誕生した双子の弟・風我。

恐怖を感じると自然と母親を頼りたくなるが見て見ぬ振りして味方ではない。

5歳の時、父親から暴力を受ける風我を救いたくてしょうがなかった優我は強く願うと父親が自分を見下ろしていました。隣の部屋にいる風我と目が合うと弟も驚いた表情を見せていた。

小学生になると授業中に入れ替ったりする時もあり研究を重ねどうやら誕生日の日に10時10分から2時間ごとに入れ替るのだと中学生の頃に気付きます。

謎が解けてもやっかいな事はあった。体育の授業中だったのに体操着姿で授業を受けていたり、トイレに行ったときに慌てて出た時もある。そこで双子は誕生日の日はなるべく同じ服を着ることや女性を抱かない、瞬間移動が起こる時間はなるべくトイレの個室に入るなど約束事を決めました。

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人体実験

勉強ができる優我と運動が得意で楽観的な性格の風我は瞬間移動が起きたときには成りきるために互いの事をよく話し合いました。

暴力を振るう父親がいる家にはいたくないのでリサイクルショップでお小遣い稼ぎをしている時間が辛く感じませんでした。素性不詳なおばさんから赤く染まったシロクマのヌイグルミをどこかに捨てとけと言われ歩いていると同級生のワタボコリが広尾に虐められているのを目撃します。

特にワタボコリに同情したわけではないが父親のように力で弱者を支配したがる者が許せないので風我は石を投げ付けると見事命中、優我は弟の手を掴んで逃げるが行き場所は父親がいる家なのでそっちに恐怖を感じていました。

体育館裏でワタボコリが平尾たち5.6人に苛められていた。双子は前から気になっていた人体実験をすることに。それは瞬間移動するときに人を掴んでいたら一緒に移動するのかということ。

風我が最初から倉庫の中に隠れ優我が閉じ込めようと平尾に声をかけワタボコリを閉じ込めます。

すると、平尾たちの背後からクラッカーの音が響き渡り振り向くとそこにはワタボコリが立っていました。屈辱感からワタボコリは暴行を受けることになるが双子とワタボコリは一緒に下校します。

夕日を見て僕たちの代わりに空が赤く泣いてくれているように感じました。

親と喧嘩して家を出ていたランドセルを背負う少女に気まぐれで声をかけお守りになるからとシロクマを渡しました。

翌日、轢き逃げに遭って命を落とした少女の顔をニュースで見た双子はランドセルを背負ったあの時の少女だと気付き悔やみます。犯人は15歳で無免許運転によるものだったが縛って動けない状態にしてからぶつけたようだと噂が流れます。

それは轢き逃げ事件ではなく殺人事件ではないか!!しかも資産家の子供だったために弁護士によって罪は軽くなったのだ。

ヒーローの誕生

優我は高校に進学し風我は進学せずリサイクルショップで働き小玉という名前の恋人が出来ます。小玉は財布をひったくって逃げていく先にいた風我に渡しました。このとき誕生日で瞬間移動してしまい優我はいきなり身体検査をさせられました。2時間後に戻った風我が彼女を探して声をかけたのが出会いでした。

紹介された時に優我はあの時の女性かと思い出して笑いました。またこの頃、母親がいなくなり父親は平気で見知らぬ女を連れて来て身体を重ねるようになっていた。

 

小玉は両親が亡くなり叔父に引き取られ育ったが「家にいたくない」似たもの同士でした。風我は虐待か何かあるのだろうと予想していたがリサイクルでパソコンを引き取りデーターを復元した時に苦しむ小玉の写真を発見しました。

女性が苦しむのを見て興奮する奴等の闇集会。

記憶力が良い優我は写真の中に身体検査を強引にしてきた男・奥山がいると気付きます。風我は財布から免許証を抜き取っていた事もあり拉致して車で運び闇集会に自分を参加させてくれれば妻子の無事を約束すると話を付けます。

話を聞くと小玉の叔父は資産家であり豪邸の地下に巨大水槽を用意させショーを行なうようです。ショーの日は女性の恋人の誕生日、恋人に会えないで苦しませることで客が喜ぶのだという。

優我は奥山と闇集会に参加し弟の恋人が裸で登場したので目をそらしたくなります。小玉は支配されているせいか当たり前のように動き電気ショックで痛み苦しんだあと水槽に落とされました。

時計を見て優我は「人を支配する奴は許さない」と声を上げ「へーんしん(変身)」とポーズを取ってジャンプすると瞬間移動しデパートの試着室にいました。

ヒーローものに見えなくもない服装をする風我は目の前の水槽を鉄棒で叩き割り小玉の叔父を殴り付けました。小玉の恋人とはバレないようにするため彼女には声をかけず激しく暴れたあと会員証や袋に詰め込まれていた大金を掴んで帰りました。そのメンバーの中にはあの15歳の殺人犯を担当した弁護士もいました。

叔父は精神的ショックで話せなくなり誰かが施設に押し込んだようです。

 

ハルコとハルタ

風我は小玉と同棲生活を始め大学受験に合格した優我は独り暮らしを始めコンビニでアルバイトを始めます。

ある日、女性ハルコがゲームに使うカードを購入し小学生の男の子ハルタに渡しました。男の子は「雑魚だからいらない」と放り投げたので声をかけてカードを貰いゲームについて教えてもらいました。

風我からは「お姉ちゃんに惹かれたから無意識に声かけたんだろう、双子だから分かるんだ」と言われ優我は否定したが再会すると確かに可愛いと思います。

優我はゲームを通してハルタと仲良くなるがお姉ちゃんだと思っていたハルコが母親だと知り驚きます。ハルコは19歳の時にハルタを出産したがすぐに死別したので夫はいませんでした。

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最低なあの男

最近、子供が連れ去られる事件が連続で起こっておりその中の1人はハルタが通う小学校の生徒でした。

いつものようにハルタと公園でカードゲームをしていると予定よりも早く帰宅したハルコがやってきて「遺体で発見された」と言いました。

優我はランドセルを背負いシロクマを抱く少女の姿を思い出し胸が締付けられます。

犯人が捕まらず町全体がどんよりした雰囲気となりハルタも母親が付き添うときだけ外に出るようになっていました。

そんなハルタを元気付けるため「面白いものを見せてあげる」と約束し話を聞いていた風我は自分も巻き込まれるのだろうと察します。

ハルタの前で変身ショーを披露すれば犯人を捕まえてくれると思うかも知れない・・・。人を喜ばせるために計画するのは初めてだった事からウキウキしていたがコンビニに女を連れた父親がやってきました。

しばらく会ってはいなかったがやはり5歳の時から暴力を受けているので体に染み込まされていた恐怖で何も言い返せませんでした。

誕生日当日、優我は待ち合わせをしていたがハルコから電話がありハルタがいなくなったと知らされます。風我にも電話して手分けして探そうとしたが途中で瞬間移動する。

まさか・・・優我はハルコとハルタと一緒にいるときにあの男(父親)に話しかけられた事を思い出し「あいつの仕業だ」と風我に伝え実家に駆け付けます。

あの男の下半身は裸でその向こう側にいたハルコが顔をあげました。子供の居場所を知りたければと脅したにちがいないと分かる優我は完全にキレてフライパンを後頭部目掛けてスイングしたあと何度も何度も殴り付けました。

「トランク・・」という声をあの男が発すると優我は車のキーをハルコに投げ渡しました。その時瞬間移動が起こってしまいます。どこかのトイレにいた優我は急いで実家に駆け付けると誰もいなかったがあの男の車がなかったので急いで探しました。

ハルコに電話をかけるをハルタを救いタクシーで帰宅途中だと知り無事だった安堵するが「いったい何なんですか」と激怒され電話を切られました。

長い間探すと車は事故で炎上しており、「バイクで避けようとした人もダメだな」と野次馬の声が聞こえ掻き分けていくとそこには風我が倒れてしました。

 

結末/フーガはユーガ

ハルコと連絡が付かなくなります。優我が大学を辞めた頃、誘拐事件で逃げ出した子供が「赤く染まったシロクマのヌイグルミが置かれていた」と証言しました。

ずっと後悔し悔やんでいた件・・・ランドセルを背負う少女を殺した15歳の奴だ。優我は小玉の叔父の家に入り込んだときに持ち帰った闇集会のメンバーの名刺の中から弁護士の連絡先を見付け「15歳の男は誰だ、言わなかったらショーに参加していた事を家族にバラす」と脅し、その男の名前が弁護士の知人の養子になり「高杉」になったと知ります。

優我は高杉の方から接触してくるよう自ら動画を作って会社に送っていました。

優我はテレビに出て母親に気付いてもらいたいのだと嘘を付いて訴えるが車に乗り込んだ時に頭に強い衝撃を受け袋を頭から被らされました。

犯人であると確証を得るために嘘を交えてところどころ高杉の事件の話を入れたがどうやらバレてしまったようだ。

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whoが? youが

あまりの激痛で意識朦朧としていた優我だが目の前が急に明るくなると自分の体を支えてくれているのがワタボコリだと気付きます。

優我はファミレスに行く前に「シューマッハ」という店名に引きつけられ用はなかったが入りました。中学の頃、風我が「周波数の店でも作ったら店名シューマッハにしろよ」とワタボコリに言っていたからだと思うがその時には忘れていました。

店に入るとワタボコリがいてランドセルを背負った少女にシロクマを渡すときに一緒にいた時を鮮明に思い出します。その事を彼が憶えていたので「挽回させてやる」と伝えたが妊婦の奥さんがいるのに気付き巻き込めないから忘れてくれと言って店を出ていました。

ワタボコリは何か思い詰めた表情を見て気になり尾行していたのでした。殴られて車で連れて行かれたのでタクシーで追いかけると豪邸に行き着きました。豪邸から車が出てきたので留守を確認し妻に商売道具を車で持ってきてもらい侵入したのです。

優我はここが小玉の叔父がショーをしていた豪邸だと気付きます。頭から出血しワタボコリに支えられ脱出しようとしたが高杉が猟銃を持って現われ発砲しワタボコリが撃たれてしまいます。

もうすぐ子供が生まれるから許してくれと土下座するワタボコリを高杉は笑いながら撮影し始めました。これ以上人を巻き込みたくない優我はわずかな記憶・・・風我がシロクマに釘を刺していた事を思い出し探るとそのまま残っていました。

立ち上がるが撃たれてしまう優我、体を引きずりながらワタボコリの横に付くと釘を渡し「俺の弟は俺よりも結構、元気だよ」と言いました。

 

風我は目の前に流血する優我がいたので驚く、殺される前に最後の力を振り絞って「後は任せた」ポーズを取ったのだろうと瞬時に把握します。

そして足元にあったボールリングの玉が入ったバッグを戸惑っている高杉に振り落とし縛って警察を呼びました。

3年後、公園でトイレに行った小玉と娘を待っていると少年に声をかけられます。事件の件で有名になってしまったので「またか」と思ったがその少年はハルタでした。たぶん優我がいれば謝罪していたと思うので「悪かった」と伝えました。

娘を連れた小玉が戻ってきたのでハルタを紹介し、そして2人の娘を見て「誕生日は気を付けろ」と小玉に言いました(終)

 

感想/フーガはユーガ

いや~面白い、読後の余韻が気持ちがいい。会話や登場人物に無駄がない。

双子の絆にほっこりさせられるが強いて言えばあの男が最低過ぎるのと事件がおぞまし過ぎるので声を大にしてオススメ出来ないのが残念。正直、読んでいて気持ち悪い。

最後にボーリングの玉がなぜ、と思ったが瞬間移動の時に優我が置いてきてしまった物だったのですね。本当は新幹線で向かっていて二人で高杉を尾行する予定だったが拉致されたのと天候が悪く新幹線がストップしてしまったので計画が崩れた。

高杉に会う前に「シューマッハ」の店でワタボコリと再会したがあの時は優我に成りきる風我だったんだ。そして高杉と会う直前に優我はトイレに瞬間移動してきたがその時にバッグを忘れたという事ですね。

映画化して欲しいが映像的に難しいかな。伏線回収がお見事でした。

 

 

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