作品情報・キャスト
未解決な「怒」の文字を残した夫婦殺傷事件。
犯人は整形を繰り返し逃走。1年後、東京・千葉・沖縄で素性が分からない男性が現れた。
監督・脚本 = 李相日 原作 = 吉田修一
◆槙洋平(渡辺謙)
千葉の漁港で働く。娘が付き合う男性は犯人ではと疑う
◆槙愛子(宮崎あおい)
洋平の娘。地元に戻ってから素性が知れない哲也に惹かれていく。
◆田代哲也(松山ケンイチ)
洋平の部下。自殺した両親の借金を背負わされ逃げている
◆明日香(池脇千鶴)
愛子の友人
◆藤田優馬(妻夫木聡)
エリートサラリーマンでゲイ。素性の知れない直人を家に連れて帰るが犯人ではないかと疑う
◆大西直人(綾野剛)
ゲイバーで優馬に声をかけられ居候する。
◆藤田貴子(原日出子)
優馬の母で闘病中。
◆薫(高畑充希)
直人と同じ施設で育つ
◆田中信吾(森山未來)
バックパッカーをしている。離島で泉と出会う
◆小宮山泉(広瀬すず)
親の事情で沖縄に引っ越してきた。同級生と那覇に遊びに行くが事件に巻き込まれる
◆知念辰哉(佐久本宝)
泉とは同級生。恋しているが泉が被害に遭った事件を見続けてしまう。
ネタバレあらすじ「怒り」
東京八王子で夫婦殺傷事件が発生。
叫び声を聞いた近所の証言は取れずドアの鍵も壊されていない事から宅配業者を装った強盗か顔見知りの犯行だと思われた。
ドアには被害者の血で大きく「怒」と書かれていました。
この事件は度々特番が組まれ犯人の整形後の写真や女装した写真が公開され情報を求めていました。
千葉編
客のどんな要求にも必死に応える風俗嬢の槙愛子は身体がボロボロになり父・洋平に連れられ実家の千葉県に戻ります。
愛子が家出している間に港町に素性が知れない田代哲也がやってきて洋平と同じ漁港で働いていました。
愛子は父親に弁当を作って持って行くようになるがいつも1人でコンビニ弁当を食べている哲也にも作るようになります。
愛子は少しづつ哲也に惹かれていきます。その様子を見ていた洋平は一生懸命仕事をする哲也に正社員にならないか聞くが彼は時給800円のアルバイトのままで良いと言いました。
どうも信用できない洋平は哲也を調べると前の職場では名前を変えていた事を知ります。愛子に伝えると哲也は自殺した両親の借金を背負わされ逃げている事を知ります。
同棲を認めた洋平だがテレビで八王子夫婦殺傷事件の防犯カメラに映る犯人を見て哲也に似ていると気付き驚きます。
その事を知った愛子は警察に通報したと泣きながら洋平に言いました。しかし警察が指紋などを調べると犯人は哲也でない事が分かります。
愛子は泣きじゃくり洋平は膝をつきます。東京駅にいる哲也から電話があり洋平は1人で苦しみを抱えるなと説得し愛子は急いで迎えに行きました。
東京編
藤田優馬は仕事帰りに入院している母・貴子のお見舞いに行く日々を送っています。
ある日、ゲイが集まるパーティーに参加していた優馬は裸でうずくまる大西直人を激しく犯します。仕事も住む場所もない直人を優馬は自宅に招き入れました。
家にいてもいいけど信用してないから何か盗んだりしたら必ず通報すると伝えると直人は信じてくれてありがとうと言いました。
生活を続けるなかで直人は優馬の母親の看病もするようになるが貴子は亡くなってしまいます。
優馬は親戚だけでなく同級生たちに何て説明したらいいか迷い直人に葬儀に出ないよう言いました。
直人に惹かれ始めていた優馬は友人の何人かが空き巣に遭っていると連絡を受けている時に直人が女性と喫茶店にいるのを目撃します。
昨日一緒にいた女は誰だと訴えると直人は言いたくないと言いました。
優馬はテレビを見ていると八王子夫婦殺傷事件の犯人の頬に縦に3つ並んだホクロがあると知り直人だと気付きます。
直人がいなくなり寂しい優馬は電話を掛け続けます。警察から電話があり大西直人を知っているかと聞かれた優馬は知らないと答え直人の物をすべて処分しました。
優馬は直人と会っていた女性に声を掛け何処に行ったのか聞きます。女性は直人と同じ施設で育った兄妹のような存在でした。
昔から心臓が弱かった直人は公園で倒れ死んでしまった事を知り、信じてあげる事ができなかった優馬は涙を流します。
沖縄編
沖縄へとやってきた小宮山泉は現地にいる知念辰哉に案内してもらい無人島に連れて行ってもらいます。散策して廃墟にたどり着くとそこでバックパッカーをしている田中信吾と出会います。
「此処にいる事を誰にも言わないでほしい」とお願いされた泉は本島に戻るが辰哉に聞くと観光地でもないから人が来るはずないと言われます。ある日、田中が気になり泉は無人島に行ってみると彼はまだ生活していました。
辰哉から映画に誘われた泉は那覇で田中を目撃します。3人で飲みに行くと酒癖悪い辰哉は潰れてしまいます。
田中を見送ったあと姿が見えない辰哉を探すうちに泉は米兵が集まる繁華街に来てしまい誰もいない公園でレイプされてしまいます。
現場を見ていた辰哉は怖くて助けることもできず謝罪して警察を呼ぼうとするが泉は訴えても悔しい思いするだけだと怒鳴ります。
辰哉は1人で無人島に行くと廃墟で田中と会います。田中は辰哉の親が経営する小料理屋で働き始めます。
辰哉の父親は米軍基地反対デモに参加していました。辰哉は米兵にレイプされた人にはなんて声を掛けていいのか分からず泉の名前は伏せて相談します。
沖縄の味方になるなんて立派な事は言えないが辰哉の味方だからなと田中は言いました。
しかし夫婦殺傷事件の犯人は左利きで食事する時と歩く時に猫背になる特徴を知り田中を疑います。
ある日、
泉がレイプされているのを知っていると田中は言いました。田中も現場にいたが怖くて助けることが出来ず大声で警察だと叫んだと言いました。
田中はこれから先どうしたら良いのか分からず店で暴れ狂い出て行ってしまいます。
辰哉はボートで無人島に行き廃墟の中に入ると壁には「怒」の文字が書かれており田中がハサミで自分の顔を傷付けていました。
警察だと叫んだのは田中ではありませんでした。楽しんで見ていたので警察だと叫んだ者に怒りを持っていました。
辰哉は泉の「誰にも言わないで」の願いをせめて叶えるためハサミで田中をぶっ刺しました。
結末「怒り」
田中=山神和也は派遣された場所に行くが現場が分からず炎天下の中必死で探していました。担当に電話すると一週間前の現場だと知るが顔は見えなくても笑って馬鹿にされたと思います。
現場を探しまわっていたせいで疲れ切った山神は家の前に座り込むとそこに住む女性が冷たいお茶を持ってきました。
哀れに思われ見下されたと激怒した山神は家に侵入して女性を殺害し帰宅した夫も殺したのです。
「信じていたのに許せなかった。八王子夫婦殺傷事件の犯人とは知らなかった。」
逮捕された辰哉は言います。
泉は1人無人島に行くと自分がレイプされた事が壁に書かれてあり自分を守るために辰哉は田中を殺したのだと知ります。
泉は海に向かって怒りを吐き出し泣きながら叫びました。