作品情報・キャスト
夢枕獏の小説を平山秀幸監督が岡田准一と阿部寛の共演で映画化。
エヴェレスト挑戦が失敗に終わり山岳カメラマンの深町は納得できないでいたが偶然手にしたカメラから遭難して行方不明とされた天才登山家の羽生がネパールに留まっていることを知り会いに行く。
羽生が冬季南西壁単独無酸素登頂に挑む予定だと知り前人未踏のスクープを撮るチャンスだと思った深町はベースキャンプの近くで待ち構える
ネタバレあらすじ/エヴェレスト 神々の山嶺
標高8848メートル、神々に最も近い場所、ヒマラヤ山脈エヴェレスト。
初登頂は1953年エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイにより達成された事になっているが1924年に消息不明となったイギリス人(ジョージ・リー・マロリーとアンドリュー・アーヴィン)の可能性もあると言われていました。
1993年ネパール、日本エヴェレスト遠征隊は2人の犠牲者を出して失敗に終わりました。
借金してまで参加したカメラマンの深町誠は納得が出来ず、もう一度チャレンジするよう願い出るが受け入れられませんでした。
立ち寄った店で古いカメラを発見し1924年にマロリーが持っていた物と同じだったため150ドルで購入しました。
天才登山家
翌日、どこで手に入れたのか店主に聞きに行くとカメラは盗まれたものだと知り返す羽目になります。何処で手に入れたのか気になった深町はカメラを持っていったアン・ツェリンと毒蛇と呼ばれる男を訪ねます。
すると毒蛇と呼ばれる男は山で死んだとされた羽生丈二であった。
帰国した深町はマロリーが持っていたとされるカメラを羽生が持っていたと上司に報告し羽生の過去を調べます。
〜
1968年、羽生と一緒に日本初、冬の谷川岳を達成した井上真紀夫を訪ねるとバランスやリズムを持つ天才的な奴だが人としては最低だと言いました。
しかし人として最低でも山岳会の岸文太郎は険しい道をあえて選び悩む事なく登っていく羽生を慕っていました。
文太郎はパートナーを組んでもらい羽生から学んで行くが崖から落下して命を落としました。
ザイルを切って自分だけ助かったとされた羽生はそれから厄病神と言われるようになった。
羽生は7年前にネパールに渡りパスポートが切れている事から不法滞在であると気付きます。
更に深町は羽生を調べ続けていると文太郎の妹・涼子が訪ねてきました。
文太郎が亡くなってから毎月お金が届くようになり筆跡で羽生だと分かってから交際するようになったが3年前の手紙を最後に連絡がつかないようでした。
羽生が生きていると伝えた深町は涼子の紹介で羽生とライバルだった長谷川渉を訪ねます。
1979年グランドジョラスで羽生はマイナス30度の中落下し骨折しながらも片手片足と歯を使いながら奇跡の生還を果たし世間を驚かせました。
1985年に渉は羽生とエヴェレスト遠征隊に選ばれました。天候が悪くノーマルルートを渉は選ぶが羽生は意味がないとして誰も通ってないルートを選びました。
どんな暮らしをしようが羽生には山しかないからとてつもないことを狙っているはずだと渉は言いました。
冬季南西壁単独無酸素登頂
深町は会社に金をなんとかしてもらい涼子と共にネパールにいきます。居場所を突き止めるが羽生はアン・ツェリンの娘と結婚し子供がいました。
探した事に後悔した涼子は必ず死ぬと分かっている事だけはしないよう頼み身を引きました。
羽生が冬季南西壁単独無酸素登頂に挑む予定だと知り前人未踏のスクープを撮るチャンスだと思った深町はベースキャンプの近くで待ち構えます。
ベースキャンプ地に羽生とアン・ツェリンが現れます。
深町はカメラはやはりマロリーの物だと分かります。マロリーは山があるから登ると発言したが羽生は俺がいるから山に登るんだと言いました。
冬の南西壁の敵は風であり3泊4日で達成するのがベストだと話す羽生は震えていました。
「俺が逃げ出さないようにしっかり撮れ」
羽生の後を歩けば遭難する事はないと思う深町だが標高6300メートル(ウェスタンクーム)に到着するまで苦労します。
一泊しそこから壁を攀じ登らなければならず力尽きた深町は止まってしまうが下りてきてくれた羽生に担がれ助けてもらいました。
標高7300メートルで風に激しく揺れるテントの中、2泊目を過ごした深町は文太郎は自分でザイルを切って死んだ事を知ります。
翌日、南西壁を見上げた深町は絶対死ぬから止めた方がいいと告げるが羽生は登って行きました。
山を下りる深町は逃げたらダメだと自分に言い聞かせカメラのレンズを通して羽生を見付けるが雲行きが怪しくなり逃げるよう叫びました。
ベースキャンプ地にまで戻った深町は南西壁を挑んだ羽生の姿を目に焼き付け逃げるように日本に帰国してしまいます。
結末
「俺がいるから山に登るんだ」
羽生の言葉の意味を考えていた深町はもう一度チャレンジする決意を固めます。大切な人を山で失ってきた涼子も山とは何か自分の目で確認したいと思い同行します。
涼子はベースキャンプ地まで同行し深町は頂上を目指します。
何故登る?俺はどこにいる?自問自答を繰り返し標高7900メートル(サウスコル)に到達しました。
その頃、涼子は3年前に羽生から届いた石はアン・ツェリンの妻の形見だと知るが風向きが変わり危険だと深町に無線で呼び掛けていました。
深町は身体が軽く感じ頂上に行く気力が湧き忠告が耳に届かず突き進みます。
風に煽られ標高8050メートル地点、諦めた深町は倒れこむと自分を呼ぶ羽生の声が聞こえます。
顔を上げた深町の前には眼をしっかり見開いたまま凍死している羽生がいました。
手記を読んだ深町は、羽生は山頂に辿り着けたが死んだら意味がないとし必死で帰ろうとしていた事を知ります。また羽生の横にある白骨はマロリーでありカメラのフィルムがある事が書かれていたが深町にはそんな事はどうでもよくなっていました。
休むのは死ぬ時だ。死んだらゴミだ
足が動かないなら手で歩け、
手が動かないなら指で、
指が動かないなら歯で、
歯がダメなら目で睨みながら歩け、
本当にダメなら心で想え
山への想いを受け取った深町は羽生に一緒に帰ろうと声をかけ羽生の魂を連れて涼子が待つベースキャンプ地に向かいました。