作品情報・キャスト
生田斗真がトランスジェンダーを演じた話題作。
荻上直子監督が「 レンタネコ 」以来5年ぶりに手掛けたオリジナル脚本による作品。母親がいなくなり一人ぼっちとなった少女は叔父を頼りに訪ねると恋人でトランスジェンダーの女性と同居していた。
◆リンコ(生田斗真)◆マキオ(桐谷健太)◆トモ(柿原りんか)◆ヒロミ(ミムラ)◆ナオミ(小池栄子)◆佑香(門脇麦)◆フミコ(田中美佐子)
ネタバレ あらすじ
彼らが本気で編むときは、
小学生のトモは母子家庭で貧乏。食事はいつもコンビニのオニギリで部屋は干しっ放しの洗濯物でいっぱいです。
ある日、母親のヒロミが仕事を辞め男のもとへ行ってしまったのでトモは母親の弟マキオが働く本屋さんを訪ねます。
マキオは「またか・・・ダメな母親をもって苦労するね」と呆れます。前にも同じような事があり「どうせふられてすぐ戻ってくるよ」と伝えるとトモは「どうでもいい」と答えました。
マキオには現在一緒に住んでいるリンコがいたがトモを受け入れます。
介護士のリンコはトランスジェンダー(性同一性障害)で体の工事は終わっているが戸籍上は男です。
「性同一性障害」についてリンコから説明されてもトモは返す言葉が見付かりません。
朝起きるとマキオとリンコは出勤していませんでした。
机の上には朝食と昼用の弁当が置いてあり部屋を見渡すと毛糸の編み物を見付けます。
自宅に荷物を取りに行くため学校を休んだトモは同級生のカイと会います。前は仲良かったがカイがクラスの男から女みたいと揶揄われる存在になるとトモは冷たく避けるようになっていました。
公園で弁当を開けるとキャラ弁になっていてちょっとした幸せを感じるトモだったがお腹を壊してしまいます。
すぐに食べたら勿体無いと思い時間が経ってしまったせいです。帰宅したリンコは急いで薬を用意し「可愛い」と抱き締めようとするがトモは部屋に行ってしまいます。
トモは学校の図書館で「体と性」を読み性同一性障害を知ろうとします。
「何読んでるの?」とカイに声を掛けられトモは「学校では話しかけないでって言ってるでしょ」と怒ります。
誰も見てないから大丈夫だと言うカイは校庭を眺めながら「6年生の大野くんを見ていると胸がモヤモヤするんだよね」と言いました。
トモは家に帰りゲームをしているとリンコの母親フミコと再婚相手のヨシオが家に上がり込んできました。
驚くトモに「1人でいるときは危ないから鍵を閉めといてね」とフミコは注意しました。
フミコと一緒に外食するトモは「11歳ならオッパイ大きくなってきた?」と聞かれ蕎麦を吹き出してしまいます。
リンコが中学2年生の時に柔道着や水着を忘れて体育の授業をサボるので対応に困っているとフミコは学校に呼び出されました。
その時に心は女性なのに成長しても胸が真っ平らな事で悩んでいたリンコは「私ね、オッパイが欲しいの」と言いました。
「そうだよね、女の子だもんね」と優しく声を掛けたフミコは毛糸の編み物をつめたブラジャーをプレゼントしました。
ずっと苦しんで生きてきたリンコを知っているフミコは「たとえあなたが子供でもリンコを傷付けるような事したら許さない」とトモに忠告しました。
トモはマキオに連れられ老人ホームにいる祖母のお見舞いに行きます。祖母はボケていてトモの事をヒロミと勘違いしていました。
トモは母親の看病を丁寧にしてくれるリンコを見てマキオが一目惚れしたと知ります。
元は男の人だと知った時は戸惑ったが好きになった気持ちはどうしようもなく性別なんて関係なかっとマキオは言います。
休憩中のリンコがやってきて一緒にお昼ご飯を食べるがトモはコンビニのオニギリを食べて戻してしまいます。
「この子はコンビニのオニギリあげとけば大丈夫」とヒロミに言われた事があり傷付いていたのです。
リンコは優しく背中を撫で「大丈夫、大丈夫よ」と声を掛けます。
トモはリンコの胸を触って甘えます。
トモはリンコとマキオと家族のように暮らし幸せを感じる日々が続きます。
ある日、リンコと一緒にスーパーに買物に出かけたトモはカイと彼の母親のナオミに話し掛けられます。
「お母さん帰って来ないんでしょ。何かあったら何でも頼ってね」と心配してくれたが、ナオミに「変な人と一緒にいない方がいい」と言われトモは怒ります。
売り物の洗剤をナオミにぶち撒けた事で警察沙汰になってしまいます。
リンコは手を繋いでトモを家に連れて帰ります。自分のことで何か言われたのだろうと察したリンコは「何があっても何を言われても怒りが通り過ぎるまで我慢しなくちゃダメ」と言います。
リンコは自分だったら編み物をして心を落ち着かせると独自の方法を教えます。
同じ形の編み物がたくさんあり、それは手術して切り取った男根への供養であり煩悩の数を作ったら戸籍を女性に変えるつもりだとリンコは言いました。
その夜、母親が戻らないのなら可愛くてしょうがないトモを養子にしたいと言ったリンコをマキオは抱き締めました。
トモが学校へ行くと黒板に「変態家族」と書かれていました。スーパーの件が知られたのだと知ったトモは「おまえか?」とカイの胸倉を掴みます。
カイは首を振り皆の視線に耐えられなくなったトモは教室を飛び出します。ヒロミを見かけた気がして自宅に帰るが誰もいませんでした。
夜遅く帰ったトモは叱られるが「ママでもないくせに」と言って押入れに閉じこもります。
母親から「もうトモちゃんと一緒にいたらダメ、普通じゃない人と一緒にいるんだから」と言われたカイは苦しみます。
家でゲームしていたトモはリンコが帰ってきたので逃げるように押入れに入ります。
リンコは糸電話を作ってラムネと一緒に片方の紙コップを差し入れします。
リンコは自分の昔の名前は”りんたろう”だと秘密を教え手術しても子供だけは産めないのだと話します。
トモは「昨日ママを見掛けた」と話すとリンコは何も聞くことが出来なくなり毛糸を買ってくると伝え出て行きます。
リンコが事故に遭い病院に運ばれます。マキオに連れられトモも駆け付けると検査入院する事が分かります。
マキオは女性部屋に変えてくれと頼むが保険証が男であるため受け入れてもらえず、「一泊40万の個室なら空いてますが」と言われてしまいます。
人権侵害で差別だと怒るマキオを残し、トモは病室に行って涙を流しながら編み物をします。
「トモが泣かなくていいんだよ、偉いね、よく我慢したね」とリンコは頭を撫でます。
退院したリンコは供養を終わらせてさっさと女になると宣言するとトモとマキオは手伝います。
トモは階段に座るカイに声を掛けリンコと一緒にケーキを食べに行くがナオミに目撃されていました。
カイは家に帰ると大野くんへの想いを綴った手紙が破り捨てられているのを見付けます。
その頃、トモの生活する環境として好ましくないと通告があり児童相談所の職員が訪ねてきます。しかしトモへの質問や身体を調べた終えた職員はリンコがトモを抱きしめている様子を見て帰りました。
リンコの事を「普通じゃない」とずっと母親から聞かされていたカイは「罪深い」と言われたショックで大量の薬を飲み自殺をはかりました。
トモはお見舞いに行ってリンコから貰った生まれ年の硬貨を渡しました。ケーキを食べに行った時にリンコが生まれ年の硬貨を集めると幸運が訪れると言っていたからです。
結末
海に出掛けたトモ、マキオ、リンコは旅の途中も編み物をします。
「実際に切った男根はどうなるの?」
トモに聞かれたリンコは女性器にリサイクルするのだと話します。
編み物をしながらトモを「すげぇ」と言いました。
108個編んだ供養を集めて浜辺で燃やしリンコは手を合わせました。
マキオが働く本屋にヒロミが現れます。
トモは帰宅すると「久しぶり、元気だった」と言われ驚きます。
ヒロミがトモを連れて帰ろうとしたのでマキオは引き取りたいと話します。
リンコが本当の母親になれるわけないでしょとヒロミは笑うがリンコは真剣にお願いします。
「わたしの子供、あげるわけないでしょ」
トモを置いて仕事を辞めて男のもとへ行ってしまうのは無責任にもほどがあるとマキオは怒ります。
ヒロミは「あなたは一生母親にはなれないの」とリンコに言い放ちます。
トモは母親を何度も叩き「リンコさんは弁当を作って編み物を教えてくれた。一緒に寝てくれた」と訴えます。
ヒロミは出て行こうとするとトモは後ろから抱き付き泣きながらママと一緒にいると言います。
トモは最後に3人で暮らしたいと伝えヒロミを先に帰らせます。
最後の夜、トモはリンコの布団に入り「ごめんね」と泣きます。
翌朝、トモを見送ったリンコは我が子を失ったように泣き、マキオは抱き締めます。
帰宅したトモは家に帰ると部屋が綺麗に整えられていました。リンコから渡された包みを開けると中には毛糸で作ったオッパイが入っていました。