作品情報・キャスト
中脇初枝による短編集の中から「サンタさんの来ない家」、「べっぴんさん」、「こんにちは、さようなら」を基に現代社会の闇を描いた作品。
・新米教師の岡野優柔不断で問題があっても目を背けるので子供たちから信用されません。
・虐待されて育った雅美は夫の単身赴任で3歳の娘と2人で生活し娘に暴力を振るってしまうことがあった。
・一人暮らしの老人あきこはスーパーで支払いを忘れ認知症を心配するようになる。
◆岡野匡(高良健吾)◆水木雅美(尾野真千子)◆大宮陽子(池脇千鶴)◆大宮拓也(高橋和也)◆佐々木あきこ(喜多道枝)◆丸山美咲(黒川芽以)◆岡野薫(内田滋)◆田所豪(松嶋亮太)◆櫻井弘也(加部亜門)◆櫻井和美(富田靖子)◆水木あやね(三宅希空)
ネタバレ・あらすじ
きみはいい子
桜が丘小学校の教師、岡野匡は生徒が呼び鈴を鳴らして逃げる悪戯をしており近所の謝罪に回ると佐々木あきこと出会います。
家族には先立たれ1人で住む佐々木は桜が丘小学校の生徒と「こんにちは、さようなら」と挨拶するのが生き甲斐でした。
佐々木は会計をせずに物を持ってきてしまう事があり認知症ではないかと自分も気付き始めています。
生徒が授業中にお漏らしをした事で親から苦情の電話があります。
「先生が強くて言い出せなかった」
学年主任が電話を変わり、授業中にトイレに行っていい事にすると約束しました。仕方なく岡野は生徒に伝えるがそれから授業を抜け出す生徒が増えていった。
学校で優しく微笑みかけ生徒に接している岡野だが仕事を終えると彼女や離婚した姉に愚痴を言いまくっている。
水木雅美は娘のあやねを連れて近所の公園に行きます。
ママ友と笑顔で会話する雅美だが誰もが表向きの顔であり家では子供を叩いたりしていると思っている。
何故なら自分もそのように育てられてきたからです。
「あやねちゃんはべっぴんさん」と、いつも褒められるが外で言う事を聞かなかった場合は家に帰った瞬間に服を掴んで引きずり殴りながら怒鳴りつける。
大宮ママや他のママさん達は叱る時は手は出さず子供が謝ったあとは褒めて抱き締めていました。
雅美は本当は手を出すのはダメなのではないかと思うが気付いた時には手を上げておりどうしようもなかった。
下校時間が過ぎてもいつも鉄棒の前にいる生徒・神田がいました。
給食費をいつも払わない事で心配になり岡野は声をかけると母親は仕事で忙しく家にいるのは母親の彼氏であり「悪い子は17時まで帰ってくるな」と言われていた事を知ります。
「悪い子にはサンタさんが来ない、どうしたら良いかな?」
岡野はとりあえず生徒を送ることにするが、ちゃんとご飯食べさせているのかと聞くと男に怒鳴られ何も言い返せなくなります。
男に暴力を受けていると察知した岡野は翌日に神田を保健室に連れて行くが学年主任や校長が聞いても何も話さず首を横に振るだけでした。
言いたくても言えないのだと思った岡野は服を脱がして身体を見ようとするが校長は学校だけの問題ではなくなるからと止められます。
結末
疲れきった岡野は落ち込んでいると姉の子供が優しく頑張ってと言いながら抱き締めて背中をポンポンしてくれました。
岡野は「家族の誰にでもいいから抱き締められる事」と生徒に宿題を出しました。
翌日、落ち着いた、懐かしかった、嬉しかった、気持ち悪かった、それぞれの意見があるが宿題を語る生徒達はみんな笑顔でした。
大宮ママの家に遊びに行った時あやねがコップを割ってしまいます。
雅美が立ち上がるとあやねが怯えるように怖がりました。
大宮ママは「親に虐待されていたんでしょ、分かるよ」と雅美を抱き締めました。
雅美の手首にはタバコを押し付けられた痕が多数あり同じ経験がある大宮ママは最初から気付いていたのです。
気持ちを初めて理解してもらえた雅美は大宮ママに優しく抱き締められて涙を流しました。
佐々木は家の前で自閉症の子供が鍵がないと騒いでいたのでとりあえず自宅に招きます。
電話をして親に迎えに来てもらうと、佐々木が会計もせず店を出てしまった時に声を掛けてきた櫻井和美でした。
障害があるため迷惑をかけたと和美は謝罪するが佐々木は毎日挨拶もしてくれるし家でも行儀よくしていましたと言いました。
和美は謝罪した事しかなく初めて子供を褒めてもらえ涙を流して喜びました。
あなたは人に抱き締めてもらえるような事してますか?