作品情報・キャスト
1980年、韓国で起きた光州事件を基に制作!
チョン・ドゥファンによるクーデターと金大中キム・デジュンの逮捕に抗議するデモが光州市で発生し、世界に伝えようと挑むドイツ人ジャーナリストと彼を客にしたタクシー運転手の奮闘を描く。
ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターがいなければ世界に知られるどころか国内でも真実を知る人はいなかったかもしれない。
監督はチャン・フン。
◆キム・マンソプ(ソン・ガンホ)~タクシー運転手キム・サボクがモデル
◆ピーター(トーマス・クレッチマン)~ドイツ人記者・ユルゲン・ヒンツペーターがモデル
◆ファン・テスル(ユ・ヘジン)~光州のタクシー運転手
◆ク・ジェシク(リュ・ジュンヨル)~大学生、通訳
ネタバレ あらすじ
タクシー運転手 約束は海を越えて
1979年、パク・チョンヒ大統領の暗殺で独裁政権は終息を迎えたがチョン・ドゥファン将軍率いる軍部がクーデターにより実験を握り、
1980年、民主化を望む国民たちは引き続きデモを行いました。
ソウルで個人タクシー運転手をするキム・マンソプは連日起こっている学生デモにうんざりします。
11才の娘ウンジョンと二人暮らしのマンソプは娘のためにも頑張って働いており「デモするために学生になったのか」と罵ります。
1980年5月19日、日本で8年在住していたドイツ人記者ピーターは韓国情勢が悪化し政府が戒厳令を敷いたと知らされ宣教師と身分を偽りすぐに飛ぶと現地の仲間からキム・デジュンは捕まりキム・ヨンサムが自宅軟禁になったと聞かされます。
日本にいたのに何で報道されないのだと疑問に感じたピーターは南部の光州に行くためタクシー待ちをします。
「通行禁止前に光州から戻れば10万ウォン」
外国人が待っていると耳にしたマンソプは金目当てにピーターを乗せて走らせます。
光州に入るとピーターはカメラを回し始めるが高速道路はこれ以上進めないように封鎖されていました。ピーターはお構いなしに突破しろと言いマンソプは大金がかかっているので従います。
しかしその先には軍隊が待ち構えていました。
マンソプは光州はダメだからソウルに戻ろうと伝えるが「行かないなら金は払わない」と言われ高速を降りて地元民に裏道がないか聞きます。
だが山道を通る裏道でさえも軍隊が待ち構えていました。
稼げるチャンスなのに・・・ダメ元でマンソプは外国人が重要書類を忘れ、それがないと帰国できないと訴えると「暴徒がいるからなるべく早くお戻りに」と通されます。
暴徒ってなんだ?と思いながらも敬礼してさっさと車を走らせます。
街中を走らせると「民主主義を死守せよ」、「戒厳令を解除せよ」と、あちらこちらに張り紙が張られていて人が全然いませんでした。
その時、学生を乗せたトラックが横を通り過ぎ道路を塞ぎました。
ピーターは車を降りてカメラを回しながら近付き話しかけると英語がわかる学生ジェシクが通訳します。
取材しに来たと告げると学生たちは喜びました。
ピーターは取材を続けるためトラックに乗り込み、マンソプは車の後ろをついていくとジェスチャーで伝えるがソウルに帰るため前金の5万ウォンしかもらっていないがUターンします。
しかし地元住民を乗せると「息子はただ歩いていただけなのに軍人に暴力を振るわれて病院に運ばれたらしい」と聞かされます。
マンソプは「自分も兵役に行ったがそんな事はしません」と安心させるが病院に到着すると次々と怪我人が運ばれてきていました。
学生と出くわしてしまったマンソプは「帰るつもりだったのか、ひどい奴だ」と罵られるがうまく誤魔化しピーターと通訳ジェシクを乗せて地元民が集まる場所に向かいます。
「戒厳軍を倒して光州を守りましょう」
ジェシクが「わざわざソウルの運転手が記者を連れてきてくれました、道を開けてください」と訴えると拍手が沸き起こりマンソプは頭を下げながら車を進めます。
給油でサービスしてもらい食糧も与えらえ感謝されます。
1980年5月20日光州 綿南路クムナムノ。
光州市民が一丸となって集まりマンソプはピーターとジェシクと共にマンションの屋上に行きます。
ピーターは「海外のマスコミも歓迎されないから危険です。政府に知られたら捕まります。頼みの綱はありますか」と地元記者に聞かれマンソプを見ると呑気に差し入れされたお握りを食べていました。
デモ参加者は約20万人にまで増え全実権を握る軍が市民を暴徒とみなし衝突しました。
捕まった者は容赦なく動かなくなるまで棍棒で殴られ、お年寄りも容赦なく暴行を受けます。ジェシクとピーターが下に降りようとするのでマンソプは「危険だし巻き込まれるから行かない方がいい」と必死に訴えます。
しかしピーターは近くから撮影するため、そしてジェイクは黙って見ていられないと降りて行ってしまいます。
マンソプも下に降り引き返すよう説得するが軍隊は催眠弾と銃弾を浴びせてきました。正気ではない軍隊の行動にさすがにデモ隊は逃げ出し、マンソプはピーターとジェシクを乗せてタクシーで逃げます。
マンソプはピーターを連れて韓国に帰ることにしジェシクは「光州のことを必ず伝えてほしい」とお願いしタクシーを降りるがタクシーが故障して動かなくなってしまいます。
光州タクシー運転手テスルが通りかかったので修理屋まで引っ張ってもらいます。
娘が心配であるためマンソプは連絡を入れようとするが光州一帯が不通にされているので電話は使えませんでした。
マンソプは「光州が危険だと最初から知ってたんだろ」とピーターを責めます。
翌朝の新聞に載せるため一部の記者たちが会社に籠り、「光州で戒厳軍が人間狩り」と写真付きで一面を作っていました。
しかし、倒産し当局に捕まることを恐れた上層部により襲撃を受けすべて没収され処分されてしまいます。
「光州での出来事を知らせることも出来ないなら我々は記者でもなんでもない」と記者は怒りを部長にぶつけます。
その頃、テスルの家でお世話になっていたピーター達はテレビを見ると「学生らと反社会勢力が光州に集結し軍に関するデマを流し暴動を起こした」とニュースで流れました。
嘘ばっかりだと激怒するなか、ピーターは「東京に戻って必ず光州事件を伝える」と言いました。
1980年5月20日 深夜
真実を放送しない光州MBCがデモ隊によって放火されます。
ピーター達は駆けつけるがジェシクが私服軍人に気付いたので近くのビルの階段を上って逃げます。
しかし様子を見に行ったジェシクが捕まって殴られ、「フィルムとカメラを渡せばジェシクを見逃してやる」と訴えられます。
マンソプはピーターにフィルムを渡すよう説得を始めるがジェシクは「早く逃げて世界に真実を伝えてくれ」と英語で大声で叫びました。
発砲音に気付き驚くマンソプだが「俺は大丈夫だから逃げて」とジェシクの声が聞こえてきました。
マンソプとピーターは私服軍人が数人やってくるのを目にし逃走するが途中ではぐれてしまいます。
マンソプは軍人が丸腰の市民を路地裏に集めて暴行しているのを目撃し、自分も捕まり殺されそうになるが駆けつけたピーターに助けられます。
娘には自分しかいないためマンソプはテスルに裏道を聞いてナンバーを付け替えてタクシーを走らせます。
なんとか光州を脱出するが地方では嘘の情報が届けられていました。娘のお土産に靴を購入したマンソプだが命を狙われているピーターを置いて帰れないと思い引き返します。
テスルが病院に向かったと知り向かうと軍人にやられた市民が次から次へと運ばれていました。ジェシクは連行される途中で息絶え道路に捨てられていたとテスルに聞かされたマンソプはピーターがいるのに気付き「すべて撮って世界中に知らせてくれ、約束しただろ」と訴えます。
結末
マンソプはピーターを乗せて街に出ると軍人は銃弾を浴びせ次々と市民は被害にあっていました。
白旗を振る人やデモに参加していない普通も住民も被害に遭い「なんでこんな惨いことをするのか」とマンソプは怒りタクシーで突っ込んで怪我人を助けるが被害者は後を絶ちません。
道路には多くの死体が転がっている状態となり、「早くソウルに帰って、真実を伝えてくれ」と説得されたマンソプはピーターを連れて涙を流しながらタクシーを走らせます。
検問所は封鎖され山道の裏道に行くがそこにも軍隊がいて止められてしまいます。
しかし軍人の中にも真実を伝えてほしいと内心思う者もいて見逃されます。マンソプはゆっくりアクセルを踏むが「外国人は通すな」と知らせが入り再び止められそうになったので強引に突破して逃走します。
軍隊は銃弾を撃ち込みながら追ってくるが「真実を伝えてほしい」と願う光州市民がタクシーで駆けつけ命と引き換えに妨害します。
こうしてマンソプはピーターを空港まで送り届け、東京便が離陸するのを見届けました。
ピーターが記録した映像には重傷を負った市民の姿がしっかり収められており、軍や警察の残忍さを世界中に知らせました。
軍部独裁の暴圧を知らしめるきっかけとなったがピーターはその後、タクシー運転手キム・サボクを捜したが見つかることはありませんでした。
2015年にはインタビューに答え「サボクと再会し彼のタクシーで今の韓国を見てみたい」と訴えていたが2016年1月にピーターは生涯を終えました。終
感想
1980年代にお隣の国でこんな事があったなんて驚きましたね。
この作品がきっかけでタクシー運転手の息子が名乗り出たみたいですね。タクシー運転手は大好きな酒をやめしっかり父親業をやろうと決心していたが光州事件の悲しさで酒を飲み始め4年後に肝臓がんで亡くなっていたらしいです。
映画に描かれた10万ウォン欲しさではなく最初から知っていてドイツ人記者を連れて行ったみたいですね。