作品情報・キャスト
小池真理子の半自叙伝小説を矢崎仁司監督が映画化。
日本中の学生たちが学生運動を起こしていた1969年の仙台。
同級生とともに学園紛争を行っていた女子高校生の響子は友人に連れられて足を運んだ喫茶店「無伴奏」で大学生の渉とその仲間たちと出会う。
パッヘルベルの「カノン」をリクエストする渉に興味を抱いた響子は次第に渉に強く惹かれていき恋人関係になるが彼の心は別の所にあった。
ネタバレあらすじ/無伴奏
1969年、仙台に暮らす女子高生の響子は制服廃止闘争委員会を友達と結成します。
学生運動の時代に流されているだけであり革命運動に参加しているものの特に情熱があるわけでもなく周囲の真似事しているだけと自覚しているため嫌気が差していました。
父親の仕事の都合で引っ越しばかりだった響子は親と離れれば何か変われると思い今回は受験を控えている事を理由にして残り叔母の愛子に世話になります。
出会い
喫茶店「無伴奏」でクラシックを楽しんでいると大学生の渉と祐之介、そして祐之介の彼女で同学年のエマと出会います。
母親は自殺し父親と不仲の渉は同じ大学に通う祐之介の下宿先に居候していました。最初は子供扱いされてる気がして嫌だった響子だが徐々に惹かれていき、一緒にいる時に「渉さんの彼女ね」とエマに言われて内心喜びます。
下宿先に案内されるが祐之介とエマが愛し始めたので響子は失礼すると送ってくれた渉にキスされます。
友達が自殺を図って病院に運ばれたと知った響子はお見舞いに行くが何があったのか聞くと「退屈だったから」と言われます。
響子も最初はそうでした。退屈だから革命運動に参加したり頑張って大人になろうとタバコを吸ったりしていたからです。しかし、今では「人との愛がなければ革命なんて起こせない」と言った渉を愛する生き甲斐を響子は見付けていました。
響子は夏期講習の予定だったが海に誘われたので教材を持ったまま遊びに行きます。
平気で裸になって水着に着替えるエマから「あなた達はどこで愛し合ってるの?」と聞かれ言葉に詰まります。
響子は今度は二人っきりで会いたいと渉に伝えました。
嫉妬
動物園に誘われた響子は渉の姉・勢津子を紹介されます。
「弟が恋人紹介してくれるなんて初めてよ」と言われた響子は喜ぶが姉弟が腕を組んで歩きとても仲良かったので嫉妬します。
勢津子はとても美人であり響子は自分が薄汚い子供に思え嫉妬心が増すばかりだがあまりにも渉が姉に対して恋人のような振舞いをするので肌を合わせた事があるのではと疑います。
誕生日に渉がプレゼントを持ってきてくれたので嬉しくて家に招きます。
一緒にいても渉の心が遠くにあるように感じていた響子はなにか悩みがあるのか聞くと何かをふっ切りたいように渉が雑に押し倒してきました。
響子は「勢津子さん以外だれも愛せないんでしょう」と口にしました。
否定する渉は命に別条はないが姉が自殺未遂したと祐之介から連絡をもらいます。勢津子が恋人と別れて深く傷付いていたから心配だったのだと響子は説明されました。
入試試験要項を庭で焼いていると訪ねて来た父親に殴られます。
学校からは自宅謹慎を言い渡され夏期講習もサボってばかりだった響子は父親から責められるが 「私はまだ仙台にいたい」と訴えました。
愛子はもう一年面倒見るから大丈夫だと間に入るが父親から出ていけと言われ響子は家を飛び出し「無伴奏」に行きます。
祐之介は「俺は父親から愛されたこともないから殴られた事もない」と言いました。
渉が風邪を引いていると知り響子は見舞いに行き「仙台にまだいたい」と打ち明けると「俺と離れたくないから?」と聞かれ「その通りよ」と返事しました。
2人は初めて身体を重ね、響子は幸せを感じるが祐之介に見られていたと知り動揺します。
浪人が決定した響子は友達と卒業式反対デモを起こしました。
予備校に通いながら渉と交際する響子は旅館で身体を重ねます。祐之介を信用できない響子はアパートを借りてとお願いしました。
衝撃
愛子が家を留守にする日があり響子は朝まで一緒にいれるから来てと誘うがいくら待っても渉は来ませんでした。
外は土砂降りとなり激しく雷も鳴りだしたので心配になった響子は祐之介の下宿先に走って向かいました。
しかし、
渉と祐之介が激しく身体を重ねていて響子は言葉を失い引き返します。
響子が家に帰ると見られていた事に気付いた渉がやってきました。
渉が愛していたのは勢津子ではなく祐之介だったのです。渉と祐之介は互いに惹かれてはいたが同性愛はダメだと言い聞かせ祐之介はエマと付き合いだしました。
2人が愛し合ってる姿を見せつけられるたびに寂しくなった渉は響子と付き合いだしたのです。渉と祐之介は身体を重ねたことはなかったがお互いに嫉妬されていると知りはじめて結ばれてしまったのです。
すごく好きだったのにと涙する響子は「これから私はどうすればいいの?」と訴えました。
嫉妬で狂いそうになる響子だが好きな気持ちが勝り男装して会いに行きます。
エマは祐之介の子を妊娠しており結婚して二人で暮らすんだと幸せそうに言いました。
驚く響子だが渉が何も言わないので「協力するね」と伝えました。
渉となんとか関係を続けていた響子だが祐之介とエマを見て複雑な気持ちになります。
結末
ある日、勢津子から電話があり「エマが殺されたの」と知らされます。響子は心配になって渉に会いに行くと祐之介が帰って来ないと落ち込んでいました。
響子と渉は探しに行くと祐之介が戻ってきました。
「連絡もしないで何処へ行ってたんだ」と渉は駆け寄って抱きしめるが警察に囲まれます。
手錠をかけられる祐之介を見て渉は「殺したのは僕です」と必死に訴えるが祐之介は連れていかれました。
愛情の深さに響子は戸惑うが渉は姿を消してしまいます。
ある日、渉から電話があります。
渉と祐之介はエマを殺す話をしており、渉は冗談だと思っていたが祐之介は本気で1人で実行してしまったのです。
話なんかしなければ祐之介は犯罪者にならなかったと思う渉は「彼の罪は僕の罪、響子、君は僕が愛した初めての女性だった」と言い電話を切ります。
そして4人で遊びに行った海に入っていきました。
~
線香をあげに訪ねた響子は勢津子から渉のスケッチブックを渡されます。
最後のページには自分の自画像があり「これでゆっくり眠れる」と書かれていました。
祐之介が逮捕される時に弟は庇ったらしいがなんででしょうか?と聞かれた響子は「分かりません」と答えました。