作品情報とキャストの紹介
世界中に愛読者を持つミステリーの女王アガサ・クリスティーが、
1949年に発表した「ねじれた家」を2017年ジル・パケ=ブランネール監督が豪華キャストで映画化。
世界的大富豪の祖父が亡くなった件で孫娘は遺産を狙う一族の中に犯人はいると思いかつての恋人でもある探偵に依頼する。
一族は各自強烈な存在感を放つ者たちが互いを牽制しながら同居しており誰もが動機にあてはまる。果たして犯人は誰なのか?!
ネタバレあらすじ
調査依頼
1871年ギリシャで生まれ23歳の時に英国に渡ったレオニデスは無一文からレストランをオープンさせてホテルを開業しました。
最初の妻は若くして亡くなり晩年にアメリカ人の若いブレンダと再婚しました。世界的大富豪となったレオニデスが心臓発作で亡くなりマスコミが一斉に取り上げました。
1番上の孫娘ソフィアは元外交官で現在探偵をしているかつての恋人チャールズを訪ね「祖父は殺されたと思うから調査して欲しい」とお願いしました。
第一発見者のソフィアは医者が疑惑を抱いて診断書に署名せず解剖を行なったと言います。チャールズは知り合いの伝手を借りて調べると検死官が瞳孔の異常な収縮に気付き毒薬フィゾスチグミンを検出した事が分かります。
緑内障の目薬に使われる薬だが血管に注入されると心臓発作を起こします。レオニデスは糖尿病を患っていた事ですり替えがあったのかと疑うが大富豪の一族が権威も経験も足りない自分になぜ依頼したのかと不思議に思います。
大豪邸
チャールズは一族の豪邸に向かうとレオニデスの亡き前妻の姉イーディスがショットガンでモグラを追っ払っていました。
イーディスは妹の介護に来て遺された息子2人を育て上げたがレオニデスとは口論が絶えなかったとソフィアは言います。
一族はそれぞれ容赦ない性格で神経を逆なでする異様な感性の持ち主、互いに牽制し合っているそうです。
チャールズはレオニデスの部屋をチェックしているとツリーハウスで遊んでいるのを先ほど見かけたソフィアの妹ジョセフィンに話しかけられます。彼女は探偵小説が好きなようで自分でもノートに書いており「優秀な探偵なら証拠を集めて、まずはマグダ(ママ)と話して」と言いました。
マグダは三人の子供の母親でソフィアとジョセフィンの間にロックが好きで反抗的なユースタスがいます。アルコール中毒のせいか昼から酒を飲んでいるマグダは演劇女優でこの家にも殺人鬼はいると言いました。
チャールズは次に書斎を訪ねるとソフィアと彼女の父フィリップがいました。チャールズの父親はロンドン警視庁の優秀な警視監で殺された事で有名でありフィリップは「まだ犯人分からないのか、無能だな」とイラつかせる事を言います。
フィリップは歴史家でポーカーで借金を作ったが父親の金で救われてから取り決めでこの豪邸で暮らしているそうです。
フィリップの弟ロジャーはケータリング社の社長で妻のクレメンシーは化粧品メーカーの上級研究員で専門は植物の毒性でした。ロジャーは短気で「ブレンダが殺したんだろ」と言い放つので名誉毀損になりますよと忠告します。
他、家庭教師ローレンスと使用人兼乳母のナニー、料理人の3人がいます。チャールズは最後にレオニデスにインスリンを打ったブレンダを訪ねるとみんな何かと理由を付けては金を無心していたと知ります。
誰にでも犯行機会があって動機がある
ソフィアの馬が暴走しチャールズが助けた事が二人の出会いでした。1年半前、外交官だったチャールズは上司から知り合いかと写真を見せられ「サザビーズの社員ソフィアです」と答えました。
誰も近付けない女性の一人で当時はソフィア・デ・ハヴィランドと名乗っていたが本名はソフィア・レオニデスでCIAの協力者で大富豪レオニデスの孫娘だと知らされました。
ここで起きている様々な出来事とソフィアが正体を隠している事は偶然なのか知りたいから諜報の仕事をしたいなら探れと命じられたのです。
~
レオニデスの遺言書には「全員が公平に十分な額を相続すること」と書かれ弁護士のゲイツキルは家族の前で署名したはずだが亡くなってから確認するとレオニデスの署名がなかった事を知ります。
遺言書なしで死亡した場合は遺産は第一受取人である後妻ブレンダの元に流れた事になります。
チャールズは車を走らせると最初は気のせいかと思ったが、レオニデスの調査を頼んでいたブレントから尾行されている事を忠告される前に確信します。
成果を尋ねるとCIAの協力者ではあるが亡くなった事とは関係ないと言いました。ギリシャ内戦の時に反共組織に資金援助して見返りに米国で違法な商売などをもみ消してもらっていたと知ります。
チャールズとブレントは尾行している奴に聞こうと車に強引に乗り込むとロンドン警視庁の巡査部長だと知ります。
父親の同期であるタヴァナー主任警部に頼まれたことを知り向かうと「政治的な問題は扱いが難しい。カイロでの事もあるし調べたことを教えてくれ」と言われます。
誰にでも手段や犯行の機会があって動機「怒りや嫉妬、愛や強欲」もあると伝えると共産主義者やラスベガスやマフィアは無関係かと聞かれます。
「令状なしに豪邸に入れるのはチャールズだけ、誰が殺したのが突き止めろ」
新しい遺書
後妻ブレンダはまだ若く老人と結婚するのは遺産目当て以外に考えられないと誰もが思います。最後にインスリンを打ったのは彼女であるが殺すつもりなら指紋をそのままにはしないだろう。
回想録がある事は知っていたがソフィアが燃やしていました。証拠隠滅かと言い放つと記者の手に渡ると知れ渡るから燃やしたのだと言いました。
殺しに関しては何も書いていなかったから信じろと言われたチャールズはカイロで急に姿を消したソフィアを信じろと言うのかと聞きます。
わざと車を故障させ泊まる事になったチャールズは一族と共にディナーをご馳走になります。イーディスから「殺人者はどんな人々か」と聞かれ、「複数の特徴、虚栄心、歪んだ道徳観、規則や法律を超えた存在だと思っている人物など」と答えます。
チャールズは部屋に戻ると「つぎはあなたが標的よ。何が起こるのか怖い」とブレンダに言われ手を握り「黙っていれば大丈夫だ」と言います。
その時ソフィアがやってきて「色仕掛けね、みんなあの女とやればいい」と嫉妬をぶつけてきます。
チャールズは追いかけ「君がカイロでいなくなったんだろう」と告げると「その意味を考えた事はある」と聞かれ黙ります。見つめ合う二人はキスを交わすがソフィは自分の部屋に行きドアを閉めました。
チャールズはジョセフィンがよくいるツリーハウスに行くと双眼鏡が設置されており家の中の様子が見えました。
ブレンダと家庭教師ローレンスがキスしているのを見て驚くが番犬に吠えられ慌てて降ります。
翌朝、「レオニデスは殺害されていた」と新聞の一面に出ます。それにより記者からひっきりなしに電話がかかってきます。
タヴァナーから連絡を受けたチャールズは向かうとレオニデスが亡くなったら弁護士ゲイツキルに渡せと封筒を預かってた者がいました。新しい遺言書には「未亡人に少し遺し残りのすべての財産は孫娘ソフィアに」と書かれていました。
状況証拠
ソフィアが遺産相続人と知り驚くチャールズはジョセフィンが殺されかけたと知り急いで向かいます。ツリーハウスの梯子に切り込みがあり落下して病院に運ばれたようです。
ゲイツキルが新しい遺言書を持って現われ「君は大富豪となった」とソフィアに伝えます。ソフィアは倒産寸前のロジャーの会社は売却すると言います。
長男だったフィリップは裏切られたと怒りをあらわにします。クレメンシーは夫が援助を受けていたから家を出れなかったがずっと出たいと思っていたので満足します。
イーディスは「これほどの事業運営は綺麗事だけでは済まない、人生で大切なのはバランス感覚」と教え出て行きます。
チャールズは遺言書のことを知っていたのかと聞くとソフィアは認め「祖父は弱き者に分けると財産は残らないと言っていた」と口にします。
カイロでの状況が悪化した時に帝王学を授けるから英国に戻れと言われチャールズはスパイだった事もあり姿を消したのです。
チャールズは愛していたから探るのは嫌で外務省を辞めたのだと教えます。イーディスが使っていた剪定鋏がローレンスの部屋から見付かり、またチャールズはジョセフィンがよく行く屋上から二人のラブレターを発見しました。
手紙の内容から二人は共謀してレオニデスを殺害し、それを知ったジョセフィンも狙われたのだと知ります。
皆から除け者にされていたブレンダは「これは罠だ」と叫びながら連行されていきます。
結末
退院して家に戻ってきたジョセフィンはノートが消えている事に気付きます。その頃イーディスは検査結果を聞くため病院を訪れると余命を宣告されます。
翌朝、ナニーが毒殺されたとタヴァナーから連絡を受けたチャールズは急行すると家を出る予定だったロジャーとクレメンシーが警察に止められ怒っていました。
ジョセフィンはレオニデスが亡くなった時には大好きなバレエが出来なくなった理由で悲しむ事はなく今回も普段からガミガミ煩いからと平然としていました。
チャールズはジョセフィンに話があると言って連れ出し「探しているノートに何を書いたんだ。毒を入れた人を知っているね」と聞くと彼女は頷きました。
「ブレンダとローレンスを疑っている警察には何も話さない。二人は無実よ」
チャールズはジョセフィンが犯人を突き止めようとしているのだと気付き「頭は賢いが長生きできなくなる。危険なんだ」と訴えると「警察が呼んでいる」とイーディスがやってきました。
イーディスに任せてチャールズは現場に行くと検死官が「シアン化物かな・・・」と口にしていました。シアン化物はモグラ退治に使われていると気付きイーディスの部屋に行くとジョセフィンのノートを生石灰の中から発見します。
二人が車で出ていったと知りソフィアとチャールズは車で追いかけます。車の中には罪を認めるイーディスの手紙がありました。
しかしハンドルを握るチャールズは「イーディスは犯人じゃない」と言いました。ジョセフィンのノートには自らの犯行を小説のように書かれていたのです。
ブレンダやイーディスの手紙の筆跡はジョセフィンが真似て書いたものであり「価値あることは痛みを伴う」とツリーハウスから自ら飛び降りたがハニーに気付かれたので殺したのです。
ノートを見付けたイーディスは余命を宣告された事から自分が罪を被ればブレンダを救う事が出来るしジョセフィンを精神科施設に閉じ込めずに済むと思い車を飛ばしてそのまま崖から転落しました。
チャールズとソフィアは車から降りて確認しに行くと車が爆発し炎上しました。
感想
正直、最初つまらなくて見るの止めようかと思いました。チャールズは特に捜査するわけでも推理するわけでもなく話を聞いているだけだし。そういえば彼の功績はモグラ退治に使われる毒に気付いた事ぐらいですよね。
犯人はまさかの12歳少女。
頭良すぎるでしょう、ツリーハウスから人の行動をしっかり把握し性格までお見通し。罠を仕掛けた通りに動く大人たち(笑)。ラブレター発見させるのも手口、チャールズとは会って少ししか経っていないのに操る頭の賢さ。
恐ろしい。だけどノートは大事に保管してほしかったな。ノートを発見されていなかったら犠牲者と冤罪が増えていましたね。筆跡まで真似るとは、頭が下がります。前半のダラダラ感をすこし削ってくれれば最高でしたね。