作品情報とキャストの紹介
アメリカ人気作家の短編小説をフランス人監督フランソワ・オゾンが映画化。
腹痛に悩むヒロインのクロエは精神分析医ポールと恋に落ち同棲生活を開始するが街中で彼そっくりなルイを見かける。
やがて双子の兄で同じ精神分析医だと知るが生活は違うもののルイにも惹かれついに禁断の関係にまで発展してしまう。
ネタバレ・あらすじ
2重螺旋の恋人
腹痛が治らない25歳のクロエは検査してもいつも異常は見当たらないので精神分析医を紹介してもらいます。
螺旋階段をぐるぐる上ってチャイムを鳴らし精神分析医ポールに案内させて椅子に座ります。「自由に話して」と言われたクロエは若い頃にモデルで稼いでいたが今は就職活動中だと伝えます。
「わけが分からず急に泣いたり・・・私は人を愛せません。助けてくれますか」
ポールは「心の痛みは自身の表れなので一緒に突き止めていきましょう」と言いました。
後日、クロエは妊娠したけど誰の子か分からず痛みもあった夢を見たと話すと良い兆候だと言われます。
モデルをやっていた時は人々を魅了させ視線が快感だったが内気な性格であるため触れられたくはありませんでした。そんな時は自分を守るために「双子の姉」を作り出していました。
自分は一夜だけの情事で出来た子で母親は忙しかったので祖父母が育ててくれました。母親は美しくて知的だったが優しかった記憶はなく暴力的だったので亡くなった事を想像しても何も感じませんでした。
美術館監視員の仕事が決まったクロエは給料もいいので満足するが刑務所じゃないのに人を監視するのは妙だと感じます。
ポールにすべて日常を話したせいか、ストレスもなく自信を得る事ができて腹痛も一週間起こりませんでした。それと同時に治る怖さも感じていました。
ある日、気分が良く何も話す事はないと伝えると「感情面での診療は出来ないので別の誰かを紹介する」と言われます。
クロエは温厚な性格のポールと会うのが何よりの薬だったと気付き「遊びはダメだ」と言われるがそのまま迫って体の関係になります。
双子
ポールと同棲生活を始めたクロエだが名字が違う彼の旅券を発見し「私のことはすべて知ってるのに見知らぬ男のようだ」と訴えます。
開業する時に母親の名字にしただけで大した問題じゃないとポールは言いました。
隠し事はしないと約束し幸せな日々を送るが仕事に行くときにポールが女性と立ち話している姿をバスから目撃します。ポールが「昼食取る暇もなく忙しかった」と言うのでウソを付かれたと苛立ってしまいます。
目撃した場所に行くと「精神分析医ルイ」の電話番号が記されていました。予約して訪ねて行くとポールだったため驚くが知人と似ていると話すと双子だと知らされます。
双子で同じ大学を出ているが診療方法は大きく違うと知ったクロエは「姉エヴァが同居人に愛されてはいるが孤独を感じている。原因は母親であり亡くなったあとも見張って批判してくる」と伝えます。
「高額だが、治せる。しかしウソは止めてください。姉はいないでしょ。母親は存命で一人っ子のはず」
言い当てられたクロエは「誘惑するための嘘、不感症の人に多い」と言われ、「あなたとは合わない」と出て行こうとするが「次回、あなたが興味深い人か、馬鹿な女か分かる」と言われます。
ポールは優しく温厚だがルイはとても傲慢な性格でした。
ポールがなぜ双子である事を黙っているのかクロエには謎でした。ポールが猫が嫌いなためクロエは猫好きな隣人に預かってもらい女性の精神科医のところに行くと告げルイを訪ねます。
「前回の先生の言い方は最低だが私を治せそうだから来た」
私を導いて欲しいと伝えると「また嘘だ、今日は終了」と一方的に言われます。手を出されたので握手するがキスしてしまうと「150ユーロだ」と言われ金を払って出て行きます。
ポールに抱かれているときにクロエは、双子から同時に抱かれている事を想像してしまいます。
禁断な関係
ルイを訪ねるといきなり服を脱ぐよう言われます。
クロエは「あなたとは嫌」と逃げるが「望んでいるはずだ、身を任せろ」と言われます。身を任せるが何も感じないのでベッドに投げ捨てられ出て行かれます。
服を着て出て行くがすぐに引き返しルイに激しく抱かれます。クロエは初めての経験をし満足すると猫がいたので抱っこします。
三毛猫は普通メスだが1%以下である双子のオスでした。子宮内で2匹の胎児が育つが数週間後で片方が取り込まれてしまうのです。
「双子の優勢なほうが生き残る、人間でもある」
ポールの記念パーティーにお供したクロエだったポールが双子であることを知る人がいませんでした。
「大人になったら片方を消したいと思う事もあるし、仲良くなりすぎて親が心配する場合もある」
やたら人を集める女性がいたのでポールに誰なのか聞くが自分が診療を受けていると嘘を付いていた女性であったため酔いすぎたみたいと誤魔化します。
ルイに会いに行くと「君の彼氏に嫉妬する、彼の方が大切なのか」と聞かれ「バレたら別れる。あなたとは体だけの関係」とクロエは言います。クロエはポールといる時はルイを、ルイといる時はポールを想います。
ある日、「弟もこうするのか」と乱暴されたクロエは最初から知っていたのだと分かり「もう別れる」と言い放つが「弟には言うな」とお願いされます。
「ポールは双子が耐えられず否定しかしない、弟にとって兄はいないんだ」
ポールにプロポーズされ妊娠したクロエはルイに伝えると「どっっちの子供だ、遺伝子は同じだから問題ない」と言われます。
「なぜポールと疎遠になったの、あなたが意識してるだけじゃないのか」
ルイがだんだんとイライラしてきたので「ポールが待ってるから帰る」と伝えると暴力を振るわれます。
「俺の子だ、会いたい」とルイから電話がありクロエは無視します。仕事中ポールが会いに来て誕生日プレゼントをくれました。嬉しくてキスするが荒っぽさがあったのでポールではなくルイだと気付きワインを顔にかけて出ていきます。
「ポールから同級生の話は聞いたのか」
帰宅するとポールがケーキを用意して待っててくれました。ルイが言ってた事が気になり同級生の話に持っていくが電話に邪魔され流されてしまいました。
結末 2重螺旋の恋人
ポールの私物をチェックするとサンドラという女性と恋人関係だった事を知るが同級生のフリをして連絡すると「事故に遭ってからずっと外に出ていない」と言われます。
サンドラは酸素チューブを付け体は痩せ細っていました。事故に遭ってなかったら女優になれていたと思うと母親から聞くとサンドラが自分の作り上げた姉と被ったので怖くなって部屋を出て行きます。
ポールとサンドラは恋人関係だったが、ルイがポールに成りすまして酒を飲ませ強引に体を奪ったと知ります。ポールは嫉妬と怒りで激しくルイを恨むがサンドラを拒むようなってしまい彼女はショックで拳銃自殺を図ったのです。
「双子というのは片方を知れば両方とも知った気分になる」
クロエは戸惑う表情を見せると「あなたも餌食にあったのね、ただあなたはそれを楽しんだ、腹黒い浮気女だ」と言われ、クロエは家を飛び出して出て行きます。
ポールから電話があり「君は彼女の診療を受けていないじゃないか、なぜ嘘を。子供は誰の子だ」と言われます。思わず電話を切ってしまったクロエは銃を手にしてルイを訪ねると「君とサンドラは同じだな」と言われます。
銃を構えると「本当に俺はルイか、ポールかも知れないぞ」と言われパニックに陥り引き金を引いてしまいます。
クロエはお腹から出血し病院に運ばれます。
クロエが妊娠だと思った腫瘤はのう胞の一種で1キロの大きさであり摘出手術を受けました。
ポールから連絡を受けた母親が病院に到着すると「妊娠ではなく双子の残骸」と言われ自分は双子を産んでいたかもしれないと分かります。
「ママの胎内で私は姉を食べた」
ポールは食べたのではなく吸収しただけで胎児ではない、腫瘍と同じだと説明します。
「あなたは私の娘、今まで何もしてあげられなかったけどこれから協力する」と言われたクロエは初めて母親を受け入れました。
感想 2重螺旋の恋人
精神と肉体の狭間で追い詰められポールとルイのどちらかを消してしまうのかと想像したが違った。ただのエロティックだと思ってから「つまらない、速く終わらないかな」と思いながら見ていたがこうゆうことか。
っと言っても現実か夢か、それとも幻覚なのか、曖昧で理解出来ていないかも知れない。
美術館の展示品はグロテスクだなと思っていたが結末で理解出来る。
サンドラは「クロエの罪悪感」と「体に取り込まれていた姉」を表していると解釈した。そしてルイはクロエが双子がいると知り興味を持って妄想した人物だと最初は思った。
しかし最後のシーンでタバコを吸っていたのでどう考えてもあれはルイである。ただの監督のイタズラかもしれないがあれがルイであるならば「クロエの罪悪感」も説明が付く。
そして病院に運ばれる前に銃で撃ってしまったシーンがあるがあれはポールを撃ったのでしょう。
最後にタバコを吸っていたルイに抱かれるシーンで終わっているのでクロエは最後は「肉体」を選んだということなのでしょうか。
これは人それぞれ解釈が違いますね。キリがないのでここで止めときます。