作品情報とキャストの紹介
自動車競技ラリーを描いた作品。
世界を目指す天才レーサーの弟は暴走するためメカニックの兄と衝突します。
幼い頃とても仲良かった兄弟だが思春期の頃の事件をきっかけに不仲となる。それでも葛藤を乗り越え成長していく
監督は映画「海猿」やドラマ「MOZU」などを手がけた羽住英一郎
ネタバレあらすじ/OVER DRIVE
世界最高峰のラリー選手権WRCを目指しスピカレーシングファクトリーの天才レーサー檜山直純は国内最高のSCRSでシリーズ優勝を目指していました。
コンマ1秒の世界を競うなか直純と兄であるメカニック担当の檜山篤洋は度々衝突します。
直純は天才と呼ばれるが怖い物知らずであるため生真面目で確かな腕を持つ篤洋のアドバイスを無視して暴走してしまうのです。
また直純はイケメンであるため女性のファンも多く芸能人と遊んでは盗撮されて記事にされます。
スポーツマネジメント会社「ワンダースポーツエージェント」の本部長の香川はラリーの事を全く知らない遠藤ひかる(以下ヒカル)を直純の担当エージェントに命じスピカーレーシングファクトリーの社長でもあり監督の都築に挨拶に訪れます。
ヒカルは「お前はマシーンに触れるな」とメカニック担当に罵声を浴びせる直純を目にします。
その後、篤洋に「ミッショントラブルでリタイアになったらどうするんだ、ちゃんとアドバイスを聞け」と注意されるが直純は「攻めないと勝てない、怖いと思った瞬間負けなんだ」と言い張りました。
今後のプロモーションについて打ち合わせするためヒカルは足を運ぶが篤洋がいるメカニック担当組は仕事していたが直純は兄と喧嘩して怒って帰ったと知らされます。
檜山兄弟は仲悪いのかと聞くとレーサーとメカニックが衝突するのは良くあることだと言われます。
直純は所属しているチームは世界に行くためのただの繋ぎだと思っています。
しかし、SCRSでトップにいるのはシグマレーシングであり中でも新海は直純のライバルで同じように天才と評価されていました。
取材を受けた直純は「まぁ~追い抜きますよ」と答えます。ヒカルは帽子を被っていない事に気付き注意するが「誰もロゴなんて見てない、俺を見てるんだ」と突き飛ばされてしまいます。
そんな直純は「新海は酒も女遊びもやらないし時間があればメカニックの作業を手伝っています。そんな意識の差がポイントに出ているんじゃないですか」と挑発され記者の胸ぐらを掴み記事になってしまいます。
車のデザイン志望だった新人の増田は何で俺がメカニック担当なんだと不満を抱え仕事していました。
将来有望な若手ゴルファーの担当を外されていたヒカルは増田の気持ちを理解します。
しかし会話を直純に聞かれてしまい「ラリーに興味ない奴にウロウロされたくない、あんた首」と言われてしまいます。
それでもヒカルは必死に仕事を頑張るがどうも自分の立ち位置が邪魔らしく「どけ」と何回も怒られます。落ち込んでいると「時間がギリギリだったからロゴの上からテープを貼るしかなかった、悪かった」と篤洋に言われます。
そして直純がタイムでライバルの新海を上回るとチームはハイタッチして喜び、ヒカルも篤洋にハイタッチされて喜びます。
「なんで篤洋さんはラリーやってるんですか?」
ヒカルは勇気を持って聞いてみると、子供の頃、直純とは仲が良く頻繁に山に遊びに行って自転車で勝負していた事がきっかけだと言いました。
頂上から梺までどっちが速く降りれるか勝負していたが昔から怖い物知らずの直純は茂みに突っ込んだりして自転車を破壊していました。篤洋は動かなくなったマシンを直しているうちにそれが楽しくなっていったのです。
ヒカルは「子供の頃から2人とも変わっていないのですね」と伝えるが篤洋は「変わったよ。俺には勇気がなかった・・・」と何かを思い出すように言いました。
前回、直純が優勝した事でスピカーレーシングファクトリーは現在トップになっていました。
しかし次のレースでは篤洋や助手のアドバイスを無視して暴走した直純のせいでリタイアとなり新海が優勝してあっさり一位の座を与えてしまいます。
酔っ払った直純はスポンサー主催のパーティーでシグマ・レーシングの者を殴って騒動になってしまいます。
「いいかげんにしてください」とヒカルは怒ると「幼なじみの永瀬陽菜と約束したんだ」と酔った直純は口にします。
話の流れから、子供の時に篤洋と陽菜が両想いであったが直純も陽菜に恋していたのだとなんとなく理解します。
ボストンに留学したけどもう会えないと言っていた事が気になりヒカルは何気なくネットで調べると「ボストンで銃乱射事件、4人の死亡が確認され日本人が含まれていた」という見出しの記事に目がとまります。
「勝たないと意味ねーんだ」
「だから勝つために冷静になれって言ってんだ」
檜山は兄弟はいつものように衝突します。
マシーンもポンコツならメカニックもポンコツだ!!と言われた篤洋は弟の胸ぐらを掴み「マシーンにはチーム全員の血と汗が滲んでいる。お前が0.1秒でも早く走れるように命がけでセッティングしているんだ。そんな簡単な事が分からない奴にマシンに乗る資格はない」と言い放ちます。
「マシンなんてのは金と名誉を手に入れるための道具だ」
直純の言葉を聞いて篤洋は立ち去ろうとするが「逃げてんじゃねー」と言われます。
昔、陽菜がボストンに留学すると知り直純は勝っても負けても想いは伝えなければと思いぶつかったがフラれました。篤洋は振られるのが怖くて想いをぶつける事すらせず留学を止める事もしませんでした。
だから直純は勝ち負けから逃げるような兄貴のようにはなりたくないと思い「勝たなければ意味がない」という考えで頭がいっぱいになったのです。
ヒカルは今まで担当していたゴルファーがプロになると聞かされショックを受けます。
すべてを失った気分になったヒカルだが、数え切れないほどの篤洋の失敗作を見せられ「何年も何回も失敗して7年掛けてやっと開発したんだ」と言われます。
自分が開発した未完成な部品でリタイアする事になり、しかもその時のクラッシュでドライバーが選手生命を絶たれてしまったこともあったが、その経験があって生まれたのです。
早くゴルフ担当に戻りたいと思っていたヒカルだが目の前の仕事を一生懸命突き進んでみようと思い「あなたが世界一のドライバーになるまで頑張ります」と直純に伝え積極的に学んでいきます。
シグマレーシングは開発中のバルブシステムを使用しているためオーバーヒートを避けるためにポイントを取りに来ていました。
恐れを知らない大胆なコーナリングで結果を出し首位に返り咲いた直純は取材で「どうしてそんな勇気を持っていけるのか?」と質問され子供の時に自転車遊びをしていたのを思い出します。
どんなに自転車をボロボロにしても「すぐ直してやるから」と必ず直してくれる人がいたから・・・・。横で聞いていたヒカルは「すごく良い話でした、必ず直してくれる人って篤洋さんですよね」と話しかけます。
直純の暴走によりマシーンが破壊した状態で戻ってきます。メカニック担当は全員が必死に直そうと努力するがオイルが切れてメタルがダメージを受けている事で篤洋は今回は諦めようと口にしました。
直純は怒りをぶつけるが篤洋は悔しそうに「直せないものは直せない」と言いました。
この大会は半分以上のマシーンがクラッシュしてリタイアとなったがシグマレーシングは優勝しポイントランキング一位となりました。
残るは3日間の最終戦となり篤洋は話し合うために直純に電話をかけるがロッカーから音が聞こえてきました。
ロッカーを開けると陽菜から届いたクリスマスカードがあったので思い出の場所に足を運ぶと直純はいました。
直純は兄貴に勝ちたくて誰よりも速くなれば陽菜は自分を好きになってくれると思い必死だったのです。
「もう陽菜の影を追うのは止めにしないか。見えない何かと戦ってどうする。金でも名誉のためでも良いから自分のために走れ」と篤洋は言います。
直純は陽菜が死んだのは自分のせいなんだと泣きながら白状します。
陽菜にフラれた直純は「兄貴には好きな人がいる」と嘘を伝えると彼女はそばにいると篤洋が忘れられないと思いボストンに行ったのです。
陽菜から届いたクリスマスカードには篤洋に対しては多く書かれていたが直純には「世界一になってね」の一言でした。
直純は約束を守るために必死だったのです。
結末/OVER DRIVE
篤洋は最終戦で逆転するために開発中のターボチャージャーを装着しました。
「壊れるかもしれない、リタイアするかもしれない、それでも少しでも可能性があるなら挑戦したい」
篤洋の思いを受け止めたメカニックチームは夜中まで仕事に取り組みました。
新海のタイムを上回る直純だったがカーブにさしかかるとスローダウンの合図がありブレーキを掛けるが間に合いませんでした。クラッシュして路を塞いでたマシーンに衝突しコースアウトして池に落ちてしまいます。
マシーンがコースを塞いでいる事ですべてがキャンセルとなります。
直純はメディカルセンターに搬送され篤洋は駆け付けます。
「マシーンは完璧だった。池に落ちたのは俺のせいだ。限界だ」
約束を守れなかったと悔しがる直純を見て篤洋はすぐに立ち去りマシーンを池から引き上げて整備し始めます。
ヒカルは直純を連れて行くと「約束を守りたいんだろ、すぐ直してやるから」と篤洋に言われます。
制限時間過ぎての整備はペナルティとなるが篤洋は「明日の朝にはこのマシーンでスタートするんだ」とチームに渇を入れました。
5分のペナルティを受けたが日が昇るころ、エンジンがかかりスピカーレーシングファクトリー全員が喜びを爆発させました。
そこへ直純がやってきます。檜山兄弟は笑顔でがっちり握手しました。
水没したマシーンを一晩掛けて直した事で取材陣も感動します。
ペナルティ5分と聞いても直純は「楽勝だ」と言い放ちマシーンに乗り込みます。
有言実行。5分のペナルティを奪い返しシグマを射程圏内に捕らえると篤洋は「全快で行け!」と伝えました。
奇跡の大逆転でスピカーはSCRSチャンピオンになり7年越し悲願達成となりました。
直純はイギリスワークスチームと契約しWRCへの参戦が決まりました。
檜山兄弟は子供の時に遊んだように頂上から梺までどっちが速く到着するか自転車で勝負しました。