作品情報キャストの紹介
「リング」などでお馴染みの中田秀夫監督が内館牧子のベストセラー小説を舘ひろしを主演に映画化。
ネタバレあらすじ
定年
東大卒で大手銀行に入行していた田代壮介は15年前に最優秀店舗として表彰され役員決まりと思われたが突如、関連会社に出向を命じられそのまま定年を迎えてしまいました。
「まだまだ学びたいことがあったのに、いつでも遊びに来てください」
本当に遊びに行ったら馬鹿にするだろうと思いながら車に乗り込むと多くの部下に見送られ「まるで生前葬だな」と思います。
家に帰ると妻の千草、千草のいとこ青山、そして一児の母である娘の道子がご馳走を用意して待っていてくれました。
「長い間お疲れ様でした。これからはゆっくり過ごしてください」
イラストレーターの青山は壮介の実家がある岩手県盛岡に行き母親ミネと妹・美雪の映像を撮ってきてくれていました。幸せを願うさんさ踊りを二人がしていて壮介は懐かしいなと笑みを浮かべるが千草の母親の映像に切り替わり温かい言葉をもらうと胸が熱くなります。
時間を持て余す日々
仕事一筋だった壮介はこれからは夫婦として楽しもうと思い温泉に行かないかと誘うが美容師の仕事をしている妻は忙しく断られます。
時間を持て余し途方に暮れる壮介は千草の仕事が終わる時間に車で迎えに行きます。千草はお客さんとこれからカフェに行こうとしていたところだったので戸惑いながら車に乗り込みます。
壮介は道子がまだ小さかった頃に3人で花見に行った事を急に思い出し連れて行くと千草も懐かしいと笑顔になります。
「散っていく桜を他人事に見ているがその桜もすぐに散る。残っている桜もやがて散る運命。明日が来ることが楽しみでしかなかったのに・・・」
と話し始めるが千草は「もう帰りましょう、明日は迎えに来なくていいからね」と言い先に行ってしまいます。
まだまだ終われない
公園や図書館に行くと終わった人のように見える老人ばかりであるため行くのをやめるがランニングしている人を見てスポーツジムに通い出します。
IT関連の仕事を経営している若い鈴木はシニア世代をターゲットにしたソフト開発のためにマーケティングのために通っていました。東大卒で大手銀行に勤めていた事を知っており個人情報がだだもれじゃないかと思います。
「仕事復帰するつもりはないのですか、後悔はないのですか」と聞かれ、曖昧な返事ではあったが「ないです」と答えます。
定年を迎えてから社会から必要されていないと感じていたので仕事がしたいのだと気付くと本を買ったかえり偶然にも高校の同級生の二宮と再会します。そのまま付き合えとボクシングに連れて行かれると一流商社からレフリーに転職していたので驚きます。
二宮は世界戦をジャッジするのが夢だと生き生きしており、帰宅した壮介は「負けだよ俺は、」と話し始めるが毎日愚痴ばかりこぼすので「聞きたくない」と千草に言われてしまいます。
仕事復帰したいと思った壮介は面接や職業安定所に向かうが高学歴と立派な職歴に邪魔されて撃沈します。
恋
大学院目指そうかなと壮介は考えるとカルチャースクールをすすめられます。受付嬢の浜田久里が盛岡の言葉をつぶやいた事で意気投合します。
久里が綺麗な女性だったこともあり口臭などの予防をはじめ童話作家を夢見る彼女のために本をプレゼントします。
「女房に外で食べてこいと言われたので一緒にどうですか」と食事に誘います。高い目標を持って挑むのに年齢は関係ない、かっこいいと思いますと言われた壮介は良い気分になり帰宅して「恋だよ恋」と浮かれます。
千草は「良かったわね~」と流すが道子は「親父に恋する30代の女性はいないよ、やめてよね」と忠告します。
宮沢賢治展のチケットをもらった壮介はスクールのシフトを調べ彼女が来るなら今日しかないと狙いを付け足を運ぶとズバリ的中、「ご一緒に良いですか」と久里に話しかけられます。
ディナーに行くと彼女は酒が進んでいたので「この先の展開を想像して」酒を控えるが「今日ママの誕生日だよ」と娘からメールが入ります。ここで帰れるかと思いタクシーで送って行くが結局送るだけで終わりました。
IT社長鈴木から「弊社の顧問になってくれませんか」とお話があります。東大卒で大手銀行のキャリアが控えている事は信頼に結びつくと鈴木は考えたのです。
財務資料を預かり確認すると悪くないと思い千草に白髪染めを頼むと「仕事するならこれからは二ヶ月に1回は染めないとね」と言われます。
壮介の力で融資も得られるようになり会社に大きく貢献するが鈴木社長が心臓発作で急死してしまいます。
鈴木社長に雇われた事もあり退職するしかないと思うが「社長になってください」と頼まれます。千草は顧問と社長では責任が全然ちがうからと反対されるが「サラリーマンとして成仏していない、もう決めたんだ」と伝えます。
やりがいを感じだした頃、久里から「久しぶりです」と電話が来ます。泣いていると分かる壮介は「会いたい」と言われ週末に熱海に行くのでその時間しか空いていないことを告げると彼女は「行きます」と言いました。
童話作家を目指していた友達が賞を取ったのに喜べない喜べない自分が嫌いだと久里は言います。
「童話作家目指すの止めたらどうですが、10年やっているんだし才能なさそうだから」
これからの人生の方が長いので止めさせるのも愛情だと思ったのです。伝わったようで安堵した壮介は部屋に案内しようとするが、電話の時は落ち込んでいてどうなってもいいやと思い返事をした久里だったが今は冷静となっていたので駅近くのホテルを取ってあるのでと言いました。一人部屋に戻った壮介は枕を投げ付けます。
結末/終わった人
千草から「大事な話がある」と言われ帰宅した壮介は「判子押して」と紙切れを出してきたので驚きます。
しかしよく見ると「離婚届」ではなく「事業用建物賃貸借契約書」でした。千草は独立して自分でヘアサロンを始めたいのだと言い、壮介は「なんだ」と安堵します。
壮介は会社に行くと何やら慌ただしい様子でした。契約したミャンマーの会社がソフト開発をインストールだけしたあと社長が収賄で捕まり3億円払えなくなったのです。
自分の店を持つために生き生きする千草と会社の問題を抱える壮介・・・そんな時、イラストレーターの青山が彼女を紹介すると久里を連れてきたので驚きます。
だがミャンマーの会社が倒産したと報告があり驚いている場合ではありません。社長が全額を負債をする事になりますと銀行からも圧力をかけられ、しかも優秀な人材も辞めてしまいます。
もう限界だと思った壮介は社員に倒産を伝え帰宅すると千草から「負債はどうすのか」と聞かれます。9千万ほど負債が残ったが個人資産をなんとかすれば1千万の借金で済むと伝えると「自分一人で稼いでいたわけじゃないでしょ、やりくりした夫婦のお金でしょ」と激怒されます。
出て行こうとする千草を止めると「だったらあなたが出て行って」と言われ壮介はカプセルホテルに行きます。
母校のラグビー部が県大会で決勝まで突き進んだことを新聞で知り故郷に戻ると同級生達と再会します。工藤は震災を機に勤めていた会社を辞め盛岡で復興のNPO法人を立ち上げていました。
東京に戻った壮介は店の準備をする千草の元に行き「反対も聞かず勝手な行動をして悪かった。これ以上、あの家にいたらお前を苦しめるだけだ、離婚しよう」と告げます。
盛岡に帰ってNPOを手伝うと告げると「身勝手ね。だいたい離婚しても慰謝料は取れないし寝覚めが悪いからしません」と千草は言いました。
その場にいた道子は「確かにママの責任じゃないけど互いのために離婚するしかないでしょ。世間体を気にして一緒にいる方がみっともない」と言い出て行きます。
千草に「卒婚しよう」と言われた壮介は盛岡の実家に帰りNPOを手伝います。ある日「壮介さん」と呼ばれ振り返ると千草がいました。
「髪染めに来た。これから二ヶ月に一回は染めに来るから」
感想/終わった人
故郷に戻ってあれだけ仲間がいれば楽しそうだけどな。
「文句」は聞いてられないが定年迎えたあとの「愚痴」ぐらい聞いてあげないとダメでしょう。ちょっと壮介がかわいそう。何かしようと始めてみるのは素晴らしいが浮気未遂はけしからんですね(笑)
ずっと一緒にいると言葉1つで許せなくなるもの、だから言葉1つで相手がどう思うのか互いに思いやりを持って話せば大丈夫なんでしょうけど、片方が何も言わず片方が自分勝手で成立している家庭が多いと思う(勝手な持論)
長年勤めてきた壮介の心情を理解し愚痴は聞いてあげるべきでしたね。何が正解かはよく分からないが私は「卒婚」とか中途半端なのは嫌いです。