作品情報・キャスト
売れないマジシャンの轟晴夫。
ある日、彼は10年以上も関係を絶っていた父親・正太郎がホームレスになった果てに死んだのを知ります。
父が住んでいたダンボールハウスを訪れ、惨めな日々を生きる自分との姿を重ね合わせて涙する晴夫だったが突如カミナリにうたれます。
40年前にタイムスリップしたことにがくぜんとする晴夫だったがさまよった果てに足を踏み入れた浅草ホールでマジシャンだった父と助手を務める母と出会う。
ネタバレあらすじ
自分は「特別な存在」なんだと思っていた轟晴夫だが”マジックバーのぶきち”でマジシャンすること20年、「普通の人間」なんだと人生投げやりになっていました。
晴夫は高校卒業してからラブホテルの清掃員をしている父親・正太郎とは会ってはおらず何処にいるのかも知りません。
また母親は正太郎の浮気が原因で激怒し晴夫を産んですぐ出て行ったと聞かされています。
タイムスリップ
警察から正太郎が亡くなったと報せを受けます。
正太郎は線路の高架下で倒れているところを発見されました。晴夫が行くとホームレス生活をしていた事が分かり正太郎が赤ちゃんを抱いている写真を大事に持っていた事が分かります。
「親父…生きるって難しいな」
毎日惨めで辛い日々を送っていた35歳の晴夫は写真を見て涙が止まらなくなります。
そんな時、
青く晴れた空に雷が鳴り響き衝撃を受けて気を失ってしまいます。
気付くと晴夫は1973年10月5日にタイムスリップしていました。
真相
行く場所がなく階段に座り、この時代には使えない500円玉を手に取り消えるマジックをしていると少年に「すごい!」声を掛けられます。
晴夫はマジックを披露する場所がないかと聞くと雷門ホールが有名だと知り支配人に会いに行きます。
手の中でコインを増やしたり当時ではまだ知られていないスプーン曲げを見せると気に入られ支配人が面倒を見てくれる事になりました。
失踪した中国人チンの変わりに舞台に立つ事になった晴夫だがトークが苦手なため”インド人のぺぺ”という設定で助手の花村悦子と共にデビューしました。
助手の悦子が体調を崩したと聞きお見舞いに行きます。
すると失踪したチンが警察に捕まったと報せを受け同棲しているのだと知ります。
悦子が体調悪そうなので代理で警察に行くとチンは自分の父親・正太郎でした。
警官の千円を500円に変えてマジックを見せたところ侮辱罪で逮捕されていたのです。
「警察を騙してシャレで済むわけないだろ」
「初めて会った奴になんで説教されなくちゃいけねぇんだ」
晴夫は正太郎を連れて戻ると悦子は妊娠中でありお腹にいる赤ちゃんは自分なんだと気付きます。
結末・青天の霹靂
チンとぺぺは無理にコンビを組まされたため舞台ではマジ喧嘩をしてしまいます。
それを見た支配人は喧嘩しながら笑いをとってマジックを見せたらどうだろうかと閃きます。
チン&ぺぺは爆笑を取るようになり観客が増えていきました。
テレビ出演をかけたオーディションに向けて頑張っている時、悦子が倒れてしまいます。
病院に運ばれたと知らせを受けた正太郎と晴夫は急いで駆け付けます。
悦子は赤ちゃんを産める身体ではないと医師から告げられた正太郎は動揺してしまい何か隠していると悦子に気付かれてしまいます。
舞台でいつも通り笑いをとっていたが正太郎は途中で帰ってしまいます。
「やる気あんのか?!」と激怒すると「悦子は死ぬかもしれねーんだ」とやりきれない思いを正太郎は吐き出します。
浮気して出て行ったと聞かされていた晴夫は「産んでも子供には辛い人生が待っている。だから堕ろせ」と泣き崩れます。
感謝
正太郎はマジシャンを辞めラブホテルの清掃員として働き始めます。
巨人の勝敗やユリゲラーが有名になるなど先を言い当てていた晴夫に悦子は聞きます。
「 私の子の未来が見えますか? 」
晴夫は楽しかった思い出を語ると「私は子供にとってどんな母親なんでしょう?」と聞かれます。
「生きる理由です。悦子さんの子供で喜んでいます」
誕生日。
母親は自分の存在を強く望み、父親は自分のために嘘を付き面倒を見るためにマジシャンを諦めたと知った晴夫は1人で最終オーディションを受けます。
悦子が出産するとオーディション会場に雷が落ちました。
気付くと晴夫は現代に戻っており別の人だったので骨壷を返してほしいと警察から連絡を受けたあと正太郎が訪ねてきました。
「俺が死ぬ前に母親の事をちゃん話そうと思ってな」
「ずっと前に言うべきだったけど…ありがとう」