作品情報・キャスト
編集者みゆきは多くの難事件を解決してきた脳科学者で小説家の御手洗を訪ねます。
難事件の捜査リストを手にした御手洗は6体の遺体が海岸で発見された事件に興味を示し現場に行くと海流によって別の場所から流れてきたと推理する。
広島県福山市だと突き止め移動するが外国人女性の変死体が発見されるなど奇妙な事件に遭遇する。
ネタバレ あらすじ
探偵ミタライの事件簿 星籠の海
IQ300以上の脳科学者、御手洗潔は趣味が探偵であり警察がお手上げ状態の難事件を何度も解決してきました。
大学講義を終えると出版社の小川みゆきが訪ねてきました。
御手洗が解決した事件を基に小説を書いている石岡に小川は最新作をお願いするが御手洗が新しい難事件を解決しないと書けないと言われ未解決事件のネタをいくつか用意し訪ねてきたのです。
御手洗は小川が持参したネタの中から死体島の記事を手に取りました。
瀬戸内海、興居島に次々と死体が流れ着きこの半年で6体が発見されたが身元不明で捜査は難航していました。
御手洗が愛媛県松山市の興居島に行ってみると言うので小川は石岡の代わりに同行します。
時計仕掛けの海
現場を見た御手洗は「犯人なら我々の目の前にいる。この特殊な海です」と地元警察に伝えました。
瀬戸内海は水の出口が三箇所で無数の島が存在するため複雑な水の動きになり世界でも稀な時計仕掛けの海と呼ばれます。
海流を調べた御手洗は広島県福山市から死体が流れ着いたことを突き止めすぐに向かいます。
福山署の黒田に捜索願が出されたリストを調べてもらうが死体とは一致しませんでした。
その時、外人の出入りが多いアパートの部屋から女性の変死体が発見されたと報せが入り御手洗も同行します。
ドラッグ中毒だと判断した御手洗は「死体処理班が来るから現場から離れて監視してください」とお願いします。
御手洗が言った通り4人の外国人が現れたため家宅侵入の現行犯で逮捕します。興居島の死体はすべて外国人だと分かった御手洗は福山市でドラッグ中毒で死んだ外国人か死体処理班の手によって流されたのだと解決します。
そのうち偉い弁護士が現れるが真犯人を油断させるためにも事件性はないフリをするようアドバイスしました。
夫婦に恨みがある人物
御手洗は福山署が殺気立っている事に気付きお役に立てるかもしれないからと話を聞き出します。
龍神の滝・滝壺で居比修三・篤子夫妻が長さが違う棒にそれぞれ縛られ近くには首の骨が折れた赤ん坊が浮いて死んでいました。
修三は目を縫られ篤子は口を縫られていました。御手洗は「目、口は話す→言、長さの違う2本の棒→リ 目+言+リ=罰」と解きます。
犯人は居比夫婦に恨みがある者だと疑います。
当時、居比夫婦は帰宅すると看護学生でベビーシッターの辰見洋子がお腹を刺され手足を縛られていました。
警察に連絡しようとしたが赤ちゃんの命が危険だと洋子に言われ修三は作業中の事故だとゆう事にしてもらいました。
身代金2千万を要求する脅迫文を読んでいる時に犯人から電話があり「確認したいから書いてある事を読め」と言われます。
すぐに2千万は用意できないと訴えると犯人は期日をのばし淀媛神社に金を持ってくるよう言いました。
居比夫婦は金を持って行くが数人に襲われ気が付いた時には滝壺に縛られていたのです。
キーワード「星龍」
現場を見た御手洗は「被害者は被害者でない可能性がある」と言います。
洋子には恋人や兄弟がいるはずだと指摘し事件当日のアリバイを調べるよう黒田に伝えました。
その頃、福山藩主・阿部正弘の資料であるペリーが来航した時に黒船と海戦になった場合の幕府側の出陣図を拝見した福山市大学の准教授・滝沢加奈子は図面に「星籠」と書かれているのを見付けます。
西京文化センターが移転準備中で資料の一部が西京科学工業株式会社の工場に保管されていると知り加奈子は訪ねました。帰り際、ぶつかってしまった外国人の作業員は落とした白い薬のような物を慌てて広い去っていきました。
御手洗は小川や黒田と居酒屋にいる時に漁業者が福山沖で水竜を見たと話し始め興味を持ちます。
水竜とは田舎伝説で正確には首長竜と言い5.6メートルぐらいでイルカ並みの速さで泳ぐと言われています。
加奈子は歩道橋で外国人2人に襲われるが無我夢中で持っていたバックで抵抗すると相手は落下し死んでしまいます。
正当防衛が認められた加奈子は「星籠」の事を調べ出してから何者かにつけられている気がすると言いました。
御手洗は洋子の内臓が傷付いてない事と犯人が脅迫文の内容を復唱させた事を問題視します。
調べた結果、洋子の弟は警察官採用試験で合格し飲み会をしていた事が判明するが西京文化センターの学芸員をする恋人の小坂井にはアリバイがありませんでした。
御手洗は加奈子と共に海路を旅する者の潮待ちをする場所だった鞆の浦に行き「星籠」の正体を調べます。
当時力を持っていた村上水軍は1度だけ巨大な鉄鋼船を用いた織田信長に敗れているが本能寺の変で織田信長が亡くなったあと鉄鋼船も姿を消しました。
この瀬戸内で村上水軍とも交流がある忽那水軍が鉄鋼船を沈めたのではないかと推測します。
忽那水軍の末裔
江戸時代に黒船と海戦になった場合に備え忽那水軍が福山藩主の阿部正弘に星籠を献上したことが分かります。
忽那水軍の末裔の生き残りの名前が「小坂井」だと知り訪ねると「星籠」は「潜水艇」だと分かります。そして小坂井は辰見洋子の恋人でもありました。
御手洗は辰見洋子に居比さんの赤ちゃん誘拐容疑がかかっているが彼女の共犯者に心当たりはないか聞きます。
「知りません」と答える小坂井に御手洗は現場に指紋がなかったのでおそらく手袋をしていたんでしょうねと言い残し去ります。
居比の事を調べていた黒田は20年程前に横島開発計画の反対運動をしていたリーダー格だったと突き止めていました。
計画が中止になると西京科学工業の部長だった者が責任を追及され自殺し奥様もそのあと体を壊し亡くなってしまいました。
その時、残された1人息子は中学を卒業して行方が分からなくなっていました。
御手洗は黒田と共に居比の自宅に隠れていると予想通り手袋を処分しに小坂井がやってきました。
居比の家にいたはずだと御手洗に責められた小坂井は当時のことを話し始めます。
結末
突然電話がありスクーターで居比の家に向かうと洋子が前の男に刺されたらしくうずくまっていました。警察に連絡しようとすると洋子はドラッグを預かれと無理に押し付けられており本当の事を知られると看護学校に行かれなくなると言いました。そして変質者のせいにするから手足を縛ってくれと頼まれたのです。
御手洗はタオルにお茶が浸してあったので圧迫によって止血したのだろうと読んでいました。小坂井は後で処分するから持っていてと頼まれドラッグの入った箱を持ちスクーターを走らせました。
スクーターを走らせる小坂井だったが外国人が乗った車に煽られ転倒してしまいます。
そこへお互い一人っ子で小さい頃よく一緒にいた西京科学工業の槙田社長が車で現れました。
横島開発の件で責任を取らされ自殺した男の息子が槙田社長だったのです。久しぶりに再会した時は小坂井の造船所が潰れ父親が心労で倒れ亡くなった時でした。槙田社長は借金を肩代わりしてくれたうえに文化センターで雇ってくれた恩人でもあります。
今回もすべて正直話し槙田社長に助けてもらったのです。
小坂井の話を聞いていた黒田は「赤ちゃんはどうなったの?」と口にします。
御手洗たちは洋子の病室を訪れます。小坂井が正直にすべて話してくれた事を伝え「すべてはベランダの蛍光灯が切れ掛けていた事から起こった。そうですね?」と聞きます。
洋子は抱っこ紐を使用し脚立に乗って蛍光灯を変えようとしたが抱っこ紐のサイズが合わずバランスを崩してベランダから落下させて殺してしまったのです。
看護師を目指していただけでなく弟が警察官になるのを夢見ていたので隠蔽しようと思ってしまったのです。
赤ちゃんをラップで厳重にくるんで小坂井に持っているよう頼んだのです。小坂井は赤ちゃんだとは知らずに運んでいたのです。
そして帰宅した居比夫婦に誘拐されたと嘘をつき事件は迷宮入りするはずだった。
小坂井は槙田社長の手下である外国人に箱を奪われてしまいます。
槙田社長が真の黒幕であり工場でドラッグの密造をし携わっていたのが外国人です。加奈子が狙われたのはドラッグを見られたと勘違いされたからでした。
興居島に流れ着いた死体もドラッグ中毒で発見された死体もドラッグ密造に携わっていた外人だったのです。
また親を死なせた居比を恨んでいた槙田社長は部下に見張らせていて赤ちゃんが転落していたのを見ていたのです。
小坂井から話を聞いた槙田社長は箱の中身を見て洋子の企みをすべて理解したのです。犯人から電話が来た時に復唱させたのは脅迫文の内容を知らなかったからです。
洋子の企みを居比に恨みを持つ槙田社長が知ることになり滝壺の事件が起こったのです。
槙田社長が大型船で福山を発った事を知った御手洗たちは後を追います。そこへ小坂井が操縦する「星籠」がものすごいスピードで向かって来ました。
小坂井は脱出すると「星籠」は大型船に衝突し爆発しました。大型船は沈むことはなかったが織田信長の鉄鋼船はこうやって沈められたと推測されます。また黒船と海戦になった場合はこのようにして攻める予定でした。
今まで漁業者が見た「水竜」とは小坂井が父親が造った未完成の「星籠」を完成させ試運転していたものだったのです。
また槙田社長が国外逃亡しなかったのは「星籠」を見たかったからです。
当時、瀬戸内海には星空があり底には珊瑚が広まっていました。御手洗は「星のいっぱい積もった籠」から「星籠」と名付けられたと小坂井から知らされます。
黒田や加奈子に見送られ御手洗は小川と共に新幹線に乗り込みました。