映画「The NET 網に囚われた男」ネタバレ結末/思想など関係ない、家族の元に帰る

 

作品情報・キャスト

妻子と暮らす漁師ナム・チョルは漁船のエンジンドラブルで韓国へ漂流してしまいます。

早く北朝鮮に帰らせてくれと訴えるが取調官はスパイだと疑い厳しい取り調べが行なわれます。

警護担当オ・ジヌはスパイではないと思うが室長は独裁国家に帰すことは出来ないから亡命させるよう部下に命じる。

監督=キム・ギドク◆ナム・チョル(リュ・スンボム)◆オ・ジヌ(イ・ウォングン)◆取調官(キム・ヨンミン)◆室長(チェ・グィファ)◆チョルの妻(イ・ウヌ)

 

ネタバレあらすじ/TheNET網に囚われた男

北朝鮮で愛する妻子と暮らす漁師ナム・チョルはいつもように漁船で網を引きに行くがエンジンドラブルにより韓国へ漂流してしまいます。

韓国で身柄を拘束されるがチョルは何も見ないように目をつぶります。

所持品をすべて出しシャワーを浴びたあと用意された服を着て個室に案内されます。

早く国に帰りたいと訴えるが取調官はスパイに違いないと決め付けており生い立ちから今までのことを黙ってすべて書けと言いました。

警護担当となったオ・ジヌはチョルを監視していたが家族写真を大事に持ち韓国の街を見ないように窓も開けずにいたのでスパイとは思えないでいました。

 

スパイの疑い

チョルは出された朝食があまりにも豪華に見え頬張って食べるがまた取調が始まります。

軍事保安地域を見たと疑われ言っている事が少しでも変わればまた一からすべて書くよう強いられます。

トイレに行くといきなり背後から羽交い締めにされたのでチョルはあっさり返り討ちにするとジヌから銃を突きつけられます。

チョルはかつて特殊部隊の訓練を受けており銃のない相手なら5人は簡単に倒せるほどでした。

特殊部隊の事を隠していた事で取調官は間違いなくスパイだと訴え部隊の位置と隊員の数を白状しろと暴行します。

しかし、スパイではないと確信するジヌだけは「これは暴力、上層部に報告する」と止めに入ります。

 

今日の取調べが終わったかと思うと夜中に起こされ何度も同じことを聞かれます。

チョルは何度も同じ取調べを受け「いい加減にしろ」と取調官に掴みかかり怒りをあらわにします。

手錠をかけられたチョルは「北に帰りたい」と泣き叫ぶが取調官はスパイだと認めれば何年か刑務所に入ったあと韓国の金で楽に暮らせると語りかけます。

「何人スパイにでっち上げたんた!!」

取調官は「俺に逆らったら死んでも帰らない」と殴りつけます。

 

亡命の説得

ジヌは室長を訪ね、証拠もないのに暴力で嘘の自白をさせようとしていると報告します。

取調官には問題行動が多々あり市民団体も動いている事で室長はベトナム経由の疑わしい脱北者を担当しろと命じました。

しかし、室長は独裁国家に帰すことは出来ないから亡命するように説得しろと部下に命じていました。

家族を呼ぶのは不可能だと聞かされたチョルは独裁国家に洗脳されていないし平和に暮らしていたと亡命を断ります。

室長はチョルをソウルの街に泳がし心変わりさせようとします。

 

家族と引き離すのはどうなのかとジヌは訴えるが命令だと強く言われ仕方なく従います。

ソウルの街で1人残されてしまったチョルは目を開けるとそこには見たこともないような楽園が広がり歩きながら見渡します。

監視されている事に気付いたチョルは自棄になり走って逃亡します。すると男から暴力を振るわれる女性を目撃し助けに入ります。

家庭を守るために体を売っている事を知ったチョルは平和な国なのに何故なのか疑問を持ちます。

また、脱北者からソウルで有名な腸詰スープ屋にいる娘ダルレに伝えてくれと暗号のような言葉を聞かされた事を思い出します。

チョルは伝えに行くがダルレは父親が死んだと聞いても何の感情の変化もありませんでした。

 

自分の事を信じて待つジヌは裏切れないと思いチョルは戻ります。

見失ったあとスパイだと疑ってしまった事をジヌは詫びるとチョルは「優しく接してくれたことは忘れない」と言いました。

2人は統一後に会おうと約束しました。

しかし、ダルレがスパイだったためチョルへのスパイ容疑も高まり取調べが始まります。

ジヌはスパイなら戻るはずがないと室長に訴えるが取調官は暴力で自白させようとします。

監禁され長いこと暴力を受けていたチョルはスパイだと認めれば故郷に帰れると騙され母印を押してしまいます。

 

結末

朝鮮戦争で家族を失ったからといって無実の人をスパイにでっち上げるのは無理だと室長は言い亡命するようにもう一度説得させろと部下に命じました。

亡命しないと祖国に帰れない事を確認したチョルは舌を噛んで自殺を図るがジヌに助けられます。

室長はチョルのソウル見物の映像を記者に渡し無理にでも亡命させようとします。

しかし北朝鮮はチョルの家族が「祖国と家族を売るような人ではない」と訴える映像を流し「強制勾留した漁師を送還せよ」と反撃に出ました。

室長は亡命を諦め送還することを決定しました。

チョルはジヌから北朝鮮では大金となる金を頂き隠すため口に入れ飲み込みます。そして謝らない取調官に「おまえみたいな奴がいるから統一できないんだ」と灰皿で殴りつけました。

 

チョルは漁船に乗り込み娘への贈り物をジヌから受け取ると着ていた服を脱ぎ捨て祖国へ戻ります。

「朝鮮民主主義人民共和国 万歳!!」

チョルは党や国民から大歓迎され迎えられるが行き場所は家族の元ではなく国家安全保衛部でした。

船を乗り捨て泳いで帰ってこなかった事を責められ、韓国での出来事をすべて書くよう強いられます。

韓国での取調べと同じように何回も書き直され全財産の漁船であるため乗り捨てる事は出来なかったと答えるが受け入れられません。

厳しい尋問と拷問が続きニュースのための写真を無理に笑顔で撮らされます。家族と会いたい一心で耐えていたがお腹が痛くなりトイレに行かせてもらいます。

排泄物の中からジヌから貰ったお金を発見されてしまうが取調官は金を貰い秘密にする条件で家に帰らせてやると言いました。

解放された時には家族も保衛部から厳しい尋問、拷問を受け無理にテレビで訴えさせられたのだろうと気付いていました。

家族と再会しても家族には笑顔がありませんでした。

完全に憔悴してしまったチョルは特別監視対象者で漁師の仕事も奪われます。

我慢の限度を超え、国境警備の制止を無視し漁船に乗り込んだチョルは「魚をとらないと家族が食べていけない」と声を荒げます。

そして「撃ちたいなら撃てばいい」と言い残し警告を無視して漁船をだすとチョルは射殺されてしまいました。