「罪の轍」ネタバレあらすじを結末まで/(奥田英朗)やるべき事は復讐だべ

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作品情報

「このミステリーがすごい2020年版」など数多くのミステリー部門でランキングした奥田英朗による終戦直後に起きた「吉展ちゃん誘拐事件」をモチーフにした犯罪ミステリー最高峰。

吉展ちゃん誘拐事件を調べてしまうと先が読めてしまうので注意が必要です。

北海道礼分島に暮らす二十歳の寬治は捜査の手から逃れるためにオリンピック開催が迫る東京まで逃亡し窃盗で食いつなぐ生活をする。

警視庁捜査一課は南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に「莫迦」と呼ばれる北海道訛りの青年の噂を聞きます。やがて誘拐事件が発生すると「莫迦」と一緒にいた事が分かり、足で稼いできた刑事たちが大量の情報に振り回されながらも執念の捜査で全貌を明らかにする。

 

ネタバレとあらすじ

北海道礼文島に子どもの頃から住んでいる二十歳の宇野寬治は肉体労働はどうもやる気が出ずオリンピック開催が迫る東京に行こうと決意する。

窃盗で少年院に入っていたが東京に行くための資金のために再び手を染めるとバイクを譲ってもらった赤井にばれてしまいます。脅され仕方なく稚内まで船で行き質屋を回るが記念品を出したためにすぐにパトカーがやってきました。刑務所はもうゴメンだと逃げだし礼文島に戻るが赤井にバレているぞと教えられます。

東京に行くしかない。親分の金庫には大金が入っているから一緒にやらないかと誘うと子供がいる赤井は拒否するが「親方がいない今夜しかない」と言いました。

協力してくれた事に感謝する寬治だったが赤井が用意してくれた船に乗ってしばらく経つと軽油ではなく海水だと気付き嫌な予感がして金庫から奪った金を確認すると中身はガラクタでした。

荒れる海に送り出したのは完全な殺人計画であり憎しみが湧いてくるがこのままほっといたら飢え死にするかロシアに流れてしまうため利尻水道を南下します。数時間後、完全にエンジンは止まったが岸が見えたので必死で30分かけて泳いで助かりました。

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事件/寬治の生い立ち

警視庁捜査一課の刑事・落合昌夫は南千住で老人が死体で発見されたと連絡があり現場に向かうと金庫が開けられていたので強盗殺人だと分かります。

近場で空き巣事件が立て続けに起こっていたことから被害者と鉢合わせて殺害に及んだ事が予想され素人の犯行だと疑います。また被害者の元時計商の老人は資産家として有名だったが暴力団と繋がっていて銃の密輸などに関わっていました。

実家の旅館を手伝う町井ミキ子は近所の人から刑事が林野庁の腕章を付けた北海道訛りの青年を捜している知らされ今は亡き父親と同じヤクザをしている明男が家に1度泊めた事を思い出し関わるなと忠告します。

明男は「莫迦がねぇ、ただの空き巣で寬治は悪い奴に見えなかったけどな」と言います。父親は取調中に亡くなったので母親は朝鮮人だから警察に殺されたと思っておりミキ子も就職の面接ですべて落とされたのでそれが原因だと思っています。父親が亡くなってから会った事もない親戚があれこれ寄越せと訪ねてきたので縁を切るために一家で帰化したのです。

明男は作業着と腕章を捨てさせ仕事を寬治に紹介します。とても感謝されお礼だとご馳走してくれたが金はどうしたのか聞くと働いている場所の金庫から盗んだと言われ呆れます。

今まで邪魔者扱いされて育ってきた寬治は気絶をしてしまったときに病院で明男と居候させてもらっている踊り子の里子が看病してくれたのでとても嬉しい気持ちになりました。

明男はお礼だと言って渡されたインドの金貨を質屋に持っていくと24万と言われたので偽の身分証で買取ってもらいました。被害者宅で盗まれたものであり明男は逮捕されてしまうが左翼の弁護士のおかげで私文書偽造だけ問われ釈放されました。

明男は里子のアパートにおしかけ寬治を蹴飛ばすと「殺人事件の家で盗んだがオレは犯人じゃない、居合わせたんだ」と言いました。寬治は盗みを働いたときにやくざ風の男二人に見付かりもうダメかと思ったが金庫を開けるためのパールを取られると「逃げろ」と言われたのです。

 

北海道での寬治の犯行が明らかになり保安庁が水難事故だと判断したため家族から死亡届が出されていたがサロベツ海岸近くの林野庁詰所で作業着と腕章が盗まれていたことから繋がります。

落合刑事は犯罪歴は窃盗のみで暴力性はないのに礼文島で放火した事が気になり出張を願い出て向かいます。

莫迦と呼ばれていた事・気絶した事があるので頭どこかおかしいのかも・生きているかも知れないと告げたときに赤井が激しく動揺・・などが気になったが生い立ちを調べると私生児で生まれ5歳で母親が引き取ったがその時の夫は金に困ると寬治を車道に放り出して当たり屋をやらせていたと知ります。気絶するのは脳機能障害のためなのか。

労働者連合会が用意してくれた元印刷工場に寬治と福岡県で売春斡旋をしていた里子は避難します。里子は捕まる事を恐れて外に出ることが出来なくなったので寬治は空き巣を働くがなかなかうまくいきません。

明男は自分が逮捕されたことで事務所を捜索されてしまい金貨で手に入れた金はすべて吸い上げられてしまいました。しかも信和会の会長と義兄弟だった被害者が持っていた金貨であり幹部の立木から金を払うか寬治を連れてこいと脅されていました。信和会は組織は大きいが内輪の勢力争いが絶えないため立木は別の幹部が犯人だと疑っていました。

明男はダチを売り渡すような奴ではない、24万をなんとか工面しろと言われた寬治は初めて「仲間」だと嬉しく感じ明男と里子のためにも金はなんとかすると言いました。

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新たな事件/身代金が奪われる

空き巣が多発し目撃者の警備員に写真を見せたところ寬治だと判明します。人殺しをする奴が呑気に近場で空き巣を繰り返すのは考えられないので空き巣と殺人は別の人だと落合刑事は思います。

被害者の会社は娘婿の実雄が引き継いでおり信和会の花村一家組長と杯を交わしているのでマル暴は実雄を引っ張るとあっさり吐くが花井は韓国に飛んでいました。落合刑事は道警から連絡を貰い「赤井が莫迦なのをいいことに寬治を唆して盗ませ奪ったいた」と連絡をもらいます。死亡認定が取り消され逮捕状を請求したので寬治を捕まえれば拘束できる事になります。

寬治が賽銭泥棒を繰り返し小学生を数人連れて駄菓子屋に行っていた証言が取れまだ近くにいるのだと確信したが身代金を要求する吉夫ちゃん誘拐事件が発生し寬治が引き連れていた1人だと判明します。

東京スタジアムの駐車場にカブ(バイク)のカゴに50万を乗せて立ち去れと要求があるが「急に今から」と電話があり父親が向かってしまった事で現場に連絡が行き届かず急いで確認すると既に金はなくなっていました。

警察は犯人の声を公開すると情報提供は相次ぎ電話が鳴り続けます。そのため振り回される事になるが落合刑事は道警から連絡をもらい島の人達は寬治に似ていると証言している事を聞かされます。

寬治の母親に電話で聴取すると全然協力的ではなかったが犯人が使っていた言葉「なあん、じゃまない(心配ない)」を口した事で驚きます。母親の親が富山県からの入植者であり北陸弁だと知ります。

寬治の女だと疑われている里子が「熱海に行く」と行っていたことから落合刑事は向かうと佐藤の名前で南方系の女と高級旅館に泊まったカップルがいると突き止めます。里子は沖縄出身であり住所は里子が前に住んでいた場所であったため間違いないと思います。

 

容疑者

寬治が新宿のパチンコ屋にいたところを逮捕され一緒にいた明男も連行されます。逮捕容疑は北海道での窃盗なため地検に送致するまでに自供させなければいけません。明男は電話の声と似ていたから寬治がやったのか聞こうとしている時にいきなり手錠をかけられたと言い、寬治は憶えてないと縮こまっていたが落合刑事は「この声だ」と鳥肌が立ちます。

寬治は北海道の窃盗で逮捕されたあと南千住の住居侵入罪で逮捕されるが聞かれることは誘拐事件の事だけでした。

犯人の声を聞かされても「知らない、これは俺じゃない」と言い張ります。嘘発見器を装着されても思い出せそうで思い出せない子供の頃の事を考えていたので針が激しく揺れることはありませんでした。

腕に出来たばかりの引っ掻き傷を発見され「現在行方不明になっている里子を絞め殺す時に抵抗されて出来た傷じゃないのか」と問い詰められた時も意識を飛ばしました。

落合刑事は信和会の立木に金貨で脅していた事は不問にするから協力するよう要求していました。寬治と里子を匿っていた場所に突入させるから面倒みてくれと電話があり独断で許可したあと上司に伝え20人ほど待機させようお願いしました。

現場から寬治の指紋は検出されたが子供連れの少年を見たという人物は誰一人いなかった。また被害者宅で盗まれた高級時計が質屋に入れられ調べると姿を消した里子の鞄から同僚が盗んだものだと知ります。

寬治は明男がうたった事もあり被害者宅から盗んだ事を認めると「里子が小井戸に捨てられるかたちで死体で発見された」と聞かされます。被害者宅に連れていかれ正直にそのまま伝えると北海道で赤井が逮捕されすべて話したので情状酌量の余地はあると聞かされます。

聴取をとっていた警察は子供の話になると寬治が離人症と思われる症状を起こすことに気付きます。

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進展

熱海で里子と三泊もしたのにどこからも指紋は検出されず、大事な話になると寬治が黙秘するので警察は追い詰められます。

落合刑事は帰宅途中に「切符には指紋が付いている」と思いだし局の審査課という部署に集められると知りタクシーで向かい、里子が乗車している車両は聞き込み調査でおおよそ分かっているためその日付時間の乗車券を保管しておくよう頼みました。

寬治はいきなり小宮正三という人物を知っているかと聞かれ息を呑みます。意識が飛びそうになると刑事に殴られ、義父にされた事を聞かされているうちに何度も殴られたこと、そして当たり屋の道具にされた事を思いだし気を失います。

 

熱海行きの東海道線の乗車券から里子と寬治の指紋が検出されこれで寬治が熱海に行ったことが確実となります。

寬治は「弁護士と会うまで何もはなさい」と要求します。寬治は「悪さってゆうのは繋がっている、俺を作ったのは母親と義父だ、なんで自分が生きているのか分からなかった、でも莫迦になった理由が分かり、やりたい事が見付かって楽になった」と言います。

熱海旅行から帰ると里子は歌舞伎町で住み込みで働き、寬治は歌舞伎町の旅館に投宿した・・・までは認めるが、そこかさ先は寬治は否定しました。

しかし「どうせ娑婆からもう出られないんだ、白状しろ」と言われた寬治は驚きます。

結末/罪の轍

自分は娑婆から出られないと知った寬治は自分は死刑になるのかと聞くと1人なら無期、2人ならそうだと言われます。

寬治は里子と吉夫ちゃんを殺した事を認めるが「頭が混乱して里子の事件のことしか話せない、吉夫ちゃんの話は後にしてくれ」と言います。

里子殺しの事件で逮捕状が出たため実況見分に引き渡されすべてを話すがトイレに行ったときに指の関節を外し小窓から逃走します。

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警察は弁護士と会ってから寬治が開き直ったように話し始めた事が気になります。また中央新聞記者から「幼い頃に受けていた虐待が関係しているのか」と聞かれた事もありました。2人は繋がっているため何か知っているはずだと思い問い詰めると小宮正三の居場所を調べて欲しいと頼まれたことを知ります。

取り調べをしていた大場刑事が気に入っていた寬治は約束を破ってしまった事を気にして電話をかけます。

吉夫ちゃんの居場所を教え用が済んだら戻って必ず話すと伝えると「命を絶つなよ」と言われ言葉に詰まります。生まれてこなければ良かったと思っていた寬治は小宮に復讐したあと身を投げてもいい思っていました。

警察は寬治が電話をかけてきたときに東北本線「八甲田」のアナウンスが聞こえた事、また神社で金を盗んでタクシーで逃走した者が上野で降りた事を突き止め間違いなく青森に行き青函連絡船に乗るはずだと突き止めます。

青函連絡船を調べると追いつく事が分かりすぐに急行します。

 

落合は「小宮正三さま、奥様の良子さんが売店の前でお待ちです」とアナウンスを流すとパニックに陥っている様子の寬治を発見し「もう逃げられないぞ」と声をかけます。

しかし、寬治は船尾まで走り手すりを乗り越え海に飛び降りました。かなりの高さであり危険だったが刑事の一人も飛び降りました。

岸に上がった寬治は逃走するが4人の捜査員が追いかけ確保しました。

吉夫ちゃんが誘拐直後にすぐに殺されていた事で多くの人が涙を流し知事や首相が追悼の声明を発表しました。

葬儀に参列したミキ子は犯人が弟と繋がりがあるため責任を感じます。ミキ子の母親は「子供の命を守れないのか」と叫ぶと警視総監は深々と頭を下げました。

 

感想/罪の轍

あくまでも私の意見ですがちょっと苦手でした。同じような感覚をどこかで受けたなと思っていたら横山秀夫の「64」だった。刑事同士の会話があまりにも長すぎるため進んでいるようで進んでない感覚に陥る。

左翼・在日・ヤクザ・警察・・・時代背景が詳しく書かれている感じで犯人も寬治の他に怪しい人物はいないしミステリー要素はない。裁きがないのは別にいいですが寬治の犯行理由がはっきりしていないのでどうもスッキリしない。

すべては突発的な思い付きによる犯行で、幼い頃に当たり屋をさせられた原因による障害のせいなのか。はっきり言って莫迦なのか正気なのかもちょっと中途半端な気がした。これが原因なら障害についてもっと具体的に説明が欲しかったかな。出だしは面白くて東京に行ってどうするのかとワクワクしただけに残念。

1人1人のキャラの描き方はさすがと思うが、おそらくこの時代についてすごく詳しいお方なのでしょうね。このストーリーならもっと短くして欲しかったのが正直なところ。

 

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