作品情報・キャスト
「勝手にふるえてろ」の原作・綿矢りさ&監督・大九明子がのん/能年玲奈を主演に再びタッグを結成したドラマ
おひとりさま生活を満喫するアラサーの黒田みつ子は脳内の相談役「A」と会話しながら楽しく過ごしていました。
人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれます。勤め先の会社によく顔を出す年下のイケメン営業マン・多田に成り行きでオカズを分けるようになっていたが「会ったときから好きでしたよ」と「A」に言われます。
彼との関係をさらに深めるべきか思い悩むが・・・
ネタバレあらすじ/私をくいとめて
快適な1人生活
おひとりさま性格を満喫しているアラサーの黒田みつ子は自由に楽しんでいました。
みつ子にとって怒りや悲しみ、寂しさなどの感情で生まれた心の隙間は脳内にいる相談役Aと会話して埋めています。
イタリア人に嫁いだ皐月から酒が送られてきたので早速頂戴すると「真夜中の沈黙に身を浸すのは危険、やがて孤独に足を取られてしまいますよ」とAに言われます。
長いこと孤独なんだと自棄になるが好かれるにはどうしたらいいのか聞きます。
「人に聞けないけど自分にならいいでしょ?AはAnswerアンサーのAなんだからさ」
下着だけはあいかわらず派手であり「何年も人に見せてませんよね」とおちょくられるが「言葉遣いを治しましょう、語尾にハートを付けて話しましょう」と言われます。
好きになった年下くん
会社ではちょっと変わり者で目立つ存在ではないが気の合うノゾミ先輩に助けられています。ノゾミ先輩はストレスがたまると仕事中にどえらい破廉恥なことを妄想しているのだと言います。
会社の中には「かっこいい」とチヤホヤされすぎて調子に乗るカーターがいました。馬鹿なところセンスないところ、性格悪いところ、すべてバレて誰からも距離を取られているとみつ子は指摘するがノゾミ先輩を見て惚れているのだと気付き驚きます。
会社によく顔を出す年下の営業マン・多田と地元の駅前で偶然出会い彼が近所に住んでいることを知ります。
話の成り行きで自炊が苦手という多田のために時々オカズを分け与えるようになり1年が続きます。
「毎度毎度たまにやってきてはオカズを与えるこの関係はなんなんだ、Aはどう思う?」
どうせ今に彼女に怒られるからとかいう理由で来なくなるだろうね告げると「気持ちは分かります。多田さんの事が好きだから」とAに言われ「やっぱりそうか」と思います。
ランチに行くとピンクの服と黒の服を着た熟女の会話が耳に届きます。ピンクが結婚はしなくていいやと話すと黒は年下に告白されて付き合うと思うと言いました。
「ピンクの方がかすかに元気をなくした事を敏感に察知するのはお止めなさい」とAの声が聞えみつ子はコーヒーを吹き出します。
人といるのは努力が必要
無意識に商店街で多田を探している自分に気付くと「多田さんも好きなはず。わざわざ玄関までオカズ取りに来ないでしょう」とAに言われます。
休みの日、午前中に掃除を済ますと大の字に寝転び大滝詠一のメロディーを流し「水の音と大滝詠一の声って良いよね」とAに話します。
買物に出掛けると多田とばったり会い部屋の掃除話の流れから「家に呼ばれてみる?」と誘います。買い出しを済まし久しぶりにメイクをして机を広げ準備します。
花をプレゼントされ喜ぶが派手な下着が干しっぱだったので慌てて隠し間一髪のところで見られずに済みます。
食事をしながら「商店街の前にいつもいた茶色の犬が亡くなったんだよね。いつもの場所に茶色の椅子が置いてあるんだよね、切ないよ」と話すと会社では目立たないので「社交的なんですね」と言われます。
「お茶出しなんで大っ嫌いと思いながら笑顔で頑張ってるよ」
お話は弾むが多田はごちそうさまと帰って行きました。なんか虚しさを感じるが何を期待しているのかも分からない複雑な感情を抱きながら片付けをはじめます。
正直、1人でいるほうが楽しく帰ってくれてほっとした感じもあると告げると「誰かといるのは努力が必要なんだから当たり前でしょう」とノゾミ先輩に言われます。
誰もが抱く感情
皐月から年末にローマに来ないかとメールがあります。皐月は大学時代からの親友であり2年会っていないので飛行機は苦手で怖いが絶対に行くと決意します。
「一人旅の予行練習しときなさい」とノゾミ先輩に日帰り温泉のチケットをもらいます。
温泉に入ったあとステージでは爆笑ライブが行なわれており楽しむが酔っ払った男たちが女芸人に群がっているのを見て怒りが込み上げ「止めなさい」と怒鳴り声をあげたくなるのを押し殺します。
一人その場を離れると「落ち着いて」とAに言われるが、セクハラされても止めてとも言えず感情を押し殺しながら誤魔化していた事など思い出したくないことばかり思い出し怒りをぶちまけます。
「女芸人はうまくやり過ごしていた。私にはできない、苦しいよ」
ローマ行きの直行便に乗り込むみつ子はお守りを掴んで緊張します。お酒を飲んで眠り朝日で目覚めてトイレに行くと激しく揺れシートベルト着用の音が聞えます。
ガタガタ揺れ出し呼吸が苦しくなると「落ち着いて息を吸って、大滝詠一を聞きましょう」とAに言われます。苦しくて怖くて意味ないと震えるが「やってみましょう」とAの声が何とか届き、必死でイヤホンをしてスマホの再生ボタンを押すと大きく息を吸って吐くことができました。
皐月のお腹が大きく何も知らされていなかったみつ子はその事について何も言えず飛行機がすごく揺れたと言います。
皐月の旦那さんの家族に迎えられ楽しむと「この家族は皐月が褒められた時だけ笑うって知ってるのかな」と告げるとあいかわらず下着だけは攻めてるのねと言われます。
ローマを観光した夜、多田からメールありローマにいる事を伝えると炊飯器を使ってみたと知ります。「美味しく炊けましたか?」と聞くが「スリには気を付けて、良い旅を」と返信されたのでありがとうで会話は終了します。
なんとなく出掛ける気がうせてしまい家にいると皐月が久しぶりにデッサンを始めたのでみつ子もはじめます。大学時代に公園にあった大きなクジラを描いた事があり懐かしいと言われるが「皐月にとっては遠い過去かもしれないけど私にとっては現在であり公園の周辺から一歩も動けていない」とみつ子は言います。
皐月は逆にいろいろと変化し過ぎて困惑することもあり「こんな遠いところまで来て、ちょっとだけ後悔しているんだよ」と言い、心細かったと涙を流します。みつ子は「もうすぐお母さんになるんだね、おめでとう」と涙を流します。
無意識な恐れ
無事に日本に戻ってきたみつ子は多田にメールしようとするが止めます。「お帰りなさい」とAに言われ「多田は炊飯器を使ったらしいから私は用済みね」と伝えます。
皐月がイタリアに行った2年前みつ子はとても不安定な時期であり、その頃に皐月だけでなくAも消えた事を思い出していました。
恋人を作りましょうとAに言われ強引におめかしするための服を買わされ歯医者とデートしたが「患者に手を出したなんて思われたくないから表だって会えない、だからホテルを予約している」と言われました。
ご機嫌を取りながらホテル行きを断るのは大変だったんだからねと告げると自分は役立たずだとAは消えました。
「もう2度と消えないでね、約束だよ。だってAは私なんだから。あんな思いするなら1人の方がマシ」
結末/私をくいとめて
Aに勧められ多田に日本に帰ったことをメールするとディナーに誘われました。
ノゾミ先輩が東京タワーでカーターに告白すると知りみつ子は途中でわざとはぐれる約束で多田と共に同行します。
東京タワーの外階段を上り始めるとカーターはすぐに疲れたと言いだしたので2人は先に行ってると告げ上ります。
「付き合うことになった。期間限定で」
みつ子はなんじゃそれと思うが告白は成功したみたいと告げると多田から「俺たちも付き合ってみますか」と告白されます。告白されると思ってもみなかったみつ子は何も変らないよと言われ「ならできそう」と伝えます。
多田と沖縄旅行に行き楽しむみつ子だったが「おひとりさま満喫」期間があまりにも長いためにホテルの一室で息苦しくなってしまいます。
抱き締められて咄嗟に突き放してしまいお酒を飲むための氷を取ってくると告げ出て行きます。
「1人の方が楽、息1つできないよ、距離の取り方が分からない、どうすればいいの。ずっと1人でAと話し生きていくんだ。」と叫ぶと「大丈夫だから落ち着いて」とAに言われます。
「Aいるんじゃん、またいなくなったかと思ったじゃん。もう逃げたいよ、なんとかしてよ役立たず」
しゃがみ込んで眠ると浜辺にいてAがやってきました。中肉中背の男を見て「ちょうどいい」とつぶやきます。
「ひさしぶりの恋愛で不安になるのは分かりますが深く考えすぎて怖がってはダメですよ。私から離れようとしているのはあなたですよ。きっと大丈夫です」
落ち着いて夢から覚め部屋に戻ると多田から「さっきはゴメン。少しずつで構わないんだ。すごく好きだから」と言われ「私も好きです」と告げました。
感想/私をくいとめて
いや~びっくり。正直内容うんぬんよりも能年玲奈(のん)の演技がめっちゃすごかったな。こんなに演技うまかったのね、そしてすごく綺麗。
ところで、最後一緒に沖縄に向かう飛行機の中で終わったけど、すべて自分の中で考えている事だったのかな?Aはいなくあても飛行機にも乗れて恋愛にも一歩進みましたね。
のんと橋本愛は「あまちゃん」以来の共演だったけど「母親になるんだね、おめでとう」のシーンは演技ではなく素だったように見えた。
悩みや心の傷がない人はいないし特に「おひとりさま満喫」の人、誰もが共感出来るんじゃないかな。深く悪い方向に考えてしまうのは私と似ているけど少しずつちゃんとヒロインは進んでいるんですよね。